DIYプロジェクトやメイクのヒント、健康を意識した料理にフォーカスした、コンテンツとeコマースの混合型Webサイト「ブリット+Co.(Brit+Co.)」を運営するブリット・モーリン氏(30歳)は、サンフランシスコに住む2児の母だ。起業家と母親の顔をもつ、同氏の一日を追った。
ブリット・モーリン氏(30歳)にとって、ビジネスを組み立てるのは自分のブランドで販売しているDIYボックスを組み立てるのによく似ていた。アイデアを自分の前に広げる。そして、存在が感じられる物の制作に特化したデジタル企業を作った。
ブリット氏が立ち上げたブリット+Co.(Brit+Co.)は当初、料理や結婚など、ミレニアル世代の女性向けのトピックを扱った一連のアプリを制作する企業だった。しかし、それはうまくいかなかった。
「コンテンツビジネスの成長はアプリビジネスより早かったので、我々は全力でメディア企業になることにシフトした」と、ブリット・モーリン氏は語る。「ブリット+ Co.」は、DIYプロジェクトやメイクのヒント、健康を意識した料理にフォーカスした、コンテンツとeコマースの混合型Webサイトだ。ライフスタイルを提案するブランドとして、これまでにベンチャーキャピタルから2700万ドル(約27億円)以上の資金を調達している。
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ブリット+Co.は、決してトラフィック多の多いWebサイトではない――インターネット調査企業のコムスコア(comScore)によると、ブリット+Co.には2016年6月に米国で240万人の訪問者があったという――が、オーディエンスは根強く支持してくれている、とモーリン氏。主要な祝祭日の際に作られるSnapchat(スナップチャット)のユニークなポップアップチャンネルなど、複数のソーシャルメディアプラットフォームを通じて、毎月8000万人のユーザーにリーチしているとモーリン氏は主張する。
ブリット+Co.の広告売上のおよそ98%はネイティブアドによる。ブリット+Co.はさらにDIYキットやハウツー動画、イベントチケットの販売で収入を得ている。たとえば、サンフランシスコで開催された同社の恒例企画「Re:Make(リ・メイク)」フェスティバルには1万5000人が参加した。モーリン氏は、会社は「近いうちに」利益を上げるようになる、と述べている。
そんなモーリン氏の典型的な1日の暮らしを教えてもらった。
06:00 am 起きてニュースをチェック。電子メール、インスタグラム、Snapchat、Facebook、Twitter、テキストメッセージ、気になっている株価、「ニューヨーク・タイムズ(New York Times)」など。ほかにもいろいろと目を通す。
06:15 am できるときは体力作りのトレーニングをする(スヌーズ機能のある目覚まし時計がテニスシューズまでの行く手を阻む)。トレーニングするときは、家のすぐそばを通る美しい北カリフォルニアトレイルのひとつを軽く走るのが普通だ。走っているときは音楽でなくポッドキャストを聴く。ポッドキャストを聴きながらのランニングは学生の頃からの習慣でやめられない!
07:00 am 赤ん坊の世話。新たに加わった日課だ。オースティンは5月に生まれたばかりで、朝一番に世話をしてやらなくてはならない。幸い、オースティンはよく寝る子なので、朝ご飯が7時になっても大丈夫。
07:30 am よちよち歩きにつきあう時間。長男のアンセルは生後21カ月で、目が覚めた瞬間から幸せ一杯のハイテンション。仕事へ出かける準備をはじめる前の数分間、アンセルと遊ぶのが楽しみだ。
08:00 am 急いでシャワーを浴び、髪を整え、メイクして、洋服を決める(私はふだん、自分でもときどき出演するNBCの「ザ・トゥデイ・ショー」をつけておく。テレビに映っているスタッフにダサいと思われないようにもしなくては)。毎朝、クローゼットを放り出して、カプセル型衣装箪笥に変えられないかしらと思う。そうすれば服選びにかかる時間が節約できるのに。スティープ・ジョブズはその点で本当に優れていたのかもしれない……。
08:30 am 朝食! 私のは、緑の野菜ジュースとコーヒーとエゼキエルパンのトースト。私はちょっと健康オタクだ。
08:45 am 家を出る。会社まではクルマでセコイアの森を抜け、ゴールデンゲートブリッジを渡る。控えめに言っても、ちっとも退屈なドライブルートではない。脳の働きをもっとよくするためと娯楽のために、運転中もポッドキャストを聴くのが好きだが、ときには何もかけずに、考えごとをしたり仕事の準備をしたりもする。
09:15 am オフィスに到着。自分の予定表を「取り込み中」にしておいて、出社から2時間は誰とも面会しないようにしておく。そのあいだ、夜のうちに届いたメールを読んだり、自分の仕事を片付けたりしてから、ミーティングに臨む。
11:00 am 我々が毎年開催しているカンファレンス兼フェスティバル「Re:Make」のマーケティング担当とイベント担当のチームと、2週間に1度の合同打ち合わせ。この日は、カンファレンスの講演者(モデルで女優のタイラ・バンクス氏やオンラインアパレルショップ「ナスティ・ギャル(Nasty Gal)」の創設者であるソフィア・アモルーソ氏など)の講演準備と、フェスティバルに集まるおよそ1万5000人を収容する会場設備計画の最終確認をする。小さなミスはいろいろと起こりうるが、強迫性障害のようにそればかりを気にしすぎないようにしている(「Re:Make」の計画は、私の結婚式のプランを考えるより1000倍大変。#bridezilla)。
11:30 am ブリット+Co.のエンジニアチームの管理職に応募してきた人物と面接する。我々のサイトに対してどうやってより深いエンゲージメントをもたらすつもりか、そして、分散して存在するオーディエンスに新しい技術を使ってリーチすることについてどのように考えるか、それを聞いて判断する。
00:00 pm ランチを持って、チームメンバーとの最後の会合に向かう。ブリット+Co.が受けた数百万ドル規模の提案依頼書(RFP)への対応を話し合う。私は大学で広告を専攻したので、クライアントのためにキャンペーンを成功させる方法を考えるときはいつもワクワクする。独創的でビッグなことを考えるのが大好き。
00:30 pm Snapchatの「ディスカバリー」チャンネル向けのコンテンツを見直す。Snapchatに掲載するコンテンツには特に強い思い入れがあるので、テーマの発端や動画のアイデアから細かい文法のミスやデザインの失敗まで、すべてを徹底的にチェックして見直す。
00:58 pm 次のミーティングへ向かう途中にオフィスに寄って、片付けをする。壁に掛けた額縁が歪んでいると我慢できない(私は強迫性障害だと言わなかった?)。
01:00 pm Pinterest(ピンタレスト)のスタッフたちとミーティング(Pinterestはご近所さんで、サンフランシスコの同じ通りを下ったところにある)。彼らのプラットフォームで起きている、新しくてエキサイティングな出来事について話し合う。ブリット+Co.は、クリエイティビティーやDIYを焦点にしていて、ピンタレストでかなり巨大なオーガニックリーチを持っているので、ピンタレストのチームとは頻繁に意見交換をしている。
02:00 pm ブリット+Co.の動画「ウォーターカラーカリグラフィーFTW(Watercolor calligraphy FTW)」の撮影でスタジオに来ていた講師に挨拶しに行く。
02:03 pm 近く公開を予定しているページの新しいデザイン変更について、製品/技術評価。ユーザーの7割がコンテンツを消費する場所となった携帯電話で評価をする。
02:30 pm アンジェリカ・テンプルと1対1の打ち合わせをする。彼女はブリット+Co.のエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターで、私が一番最初に雇った人物だ。ロジスティックスに関わることを話すこともあるが、この日の案件は簡単なものだったので、ビジネスに関して思いつく奇抜なアイデアについて数分間のブレーンストーミングをした。我々は文字通り「話し合うべきこと」と名前を付けたGoogle Docファイルを持っていて、そこにはたくさんのおかしな話題のほかに、膨大なだじゃれのリストも含まれている。
03:00 pm ハロウィーンの準備をはじめる。最初の写真を撮らなきゃ! 事前に用意をしてくれたみんなのおかげで、30分で衣装を5回も着替えた。そしてもちろん、すべてをSnapchatに投稿した。当然ね。
03:30 pm 直後にある役員会の前に、最高財務責任者(CFO)と最新の損益計算書をサッと見直す。万事整っている。企業の最高経営責任者(CEO)として、それは見ていて何より安心する光景だ。
04:00 pm 役員会。変わり続けるメディア界の状況とそれに関連するビジネスの最新情報について話し合い、現在我が社が取り組んでいるいくつかの大きな事業について少し議論した。我が社の役員会はこのうえなく協力的で、メディアに関する知識を豊富に持っているので、話をするのがいつも楽しみだ。
05:00 pm オフィスを出る前に「B+C Slack」のフィードをもう一度チェックして、この数時間に何か大事なことを見落としていないか確認する。
05:05 pm オフィスを出て、ほかの親たちと同様に家路につく。ここからは子どもたちと遊び、夕飯を食べさせ、お風呂に入れて、寝かせるための時間。7時までにすべて終わらせる。
07:30 pm シリコンバレーの女性起業家の小グループと夕食会。ときどき集まって、意見交換したり、お互いを励まし合ったりしている。生きていくのは大変だが、自分はひとりではないと知ることは助けになる。
09:00 pm 今日中に書かなくてはならないメールを書き、やり残した仕事を片付ける。たいていはベッドの上で。
10:30 pm 白状しよう。私は重症のコンテンツ中毒だ。だから、朝、日中、夜に放送される主なトーク番組はほぼ録画してある。寝る前の1時間はそれを見て、最近テレビで作られているコンテンツの種類を研究している。運がよければ、やはり録画しておいた「ゲーム・オブ・スローンズ」や「シリコンバレー」のようなドラマも見られる。
11:30 pm ベッドに入り、すべてをリセットして新しい1日を迎える準備をする。
Jordan Valinsky(原文 / 訳:ガリレオ)
Photo courtesy Brit Morin