FIFAワールドカップの開催期間中、ペプシコ傘下のフリトレー(Frito-Lay)は、パーティに欠かせないスナックブランドとして主役の座を狙っていた。米DIGIDAYは、ペプシコフーズ(PepsiCo Foods)のヒスパニック事業部門でシニアマーケティングディレクターを務めるグスタヴォ・セシリオ氏に取材した。
FIFAワールドカップの開催期間中、世界の有名ブランドは皆それぞれのマーケティング戦略に全力で取り組んでいる。それもそのはず、この大会は世界何百万というファンの視線をほぼ1カ月にわたって釘づけにするのだ。
そしてもちろん、ファンたちは友人や家族とパーティを開き、イベントを催し、ともに試合を観戦する。ペプシコ傘下のフリトレー(Frito-Lay)は、こうしたパーティやイベントに欠かせないスナックブランドとして、主役の座を狙っていた。米DIGIDAYは、ペプシコフーズ(PepsiCo Foods)のヒスパニック事業部門でシニアマーケティングディレクターを務めるグスタヴォ・セシリオ氏に取材し、ファンの味覚を掴むために同社が採用した多文化的なアプローチについて語ってもらった。
なお、インタビューの内容は紙面の制約と読みやすさを考慮して編集・要約している。
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――フリトレーのW杯マーケティング戦略について聞かせてほしい。
スナック菓子は家庭でのスポーツ観戦と密接に結びついており、フリトレーはFIFAワールドカップと提携した史上初のスナック菓子ブランドだ。サッカーは北米でいまもっとも成長著しくホットなスポーツであり、我々の目標は家庭でのワールドカップ観戦体験をより充実させることだった。そのために新しいフレーバーを開発したほか、サッカーファンのデジタルコミュニティを作った。コマーシャルのあいだもファンの笑顔を絶やさないために楽しいコンテンツを提供することに注力している。
FIFAワールドカップの北米リージョナルサポーターとして、北米の各地域で異なる戦略も実施した。フリトレーの商品構成において、ラテン系消費者はとくに重要だ。彼らのサッカーへの情熱を念頭に、フリトレーサブリタスとガメサクッキーズのキャンペーンをテレビとデジタルを使ってスペイン語で展開した。
――ターゲットがヒスパニック系の場合だと、広告コンテンツはどう変わるのか?
「ラ・セレクシオン・イデアル(理想的なセレクション)」というCM映像は、一家そろって情熱、誇り、熱意をもって試合を観戦するというラテン系家族の伝統に焦点を当てている。家族で観戦中のパーティシーンに審判姿の人物が現れ、スナック類とクッキーの取り合わせを紹介するという活気あふれるキャンペーンだ。この30秒の動画は、著名なメキシコ人スポーツコメンテーターのクリスチャン・マルティノリとルイス・ガルシアがナレーションを担当し、4人のメキシコ代表選手が登場する。このほか、マリアスクッキーズのCMも制作した。アスリートを育てる母親の愛情と役割を称える20秒のスポット広告だ。
――「サッカー観戦のお供」としてフリトレーのスナック菓子を選んでもらうために、デジタルとソーシャルではどんな戦略を用いたか?
「理想的なセレクション」とマリアスクッキーズのCMは、いずれもその続きをデジタルで展開している。加えて、我々のブランドはカネラテレビ(Canela TV:スペイン語の動画配信サービス)でもスポンサーを務めており、FIFAワールドカップに向けて「セリエ・ムンディアリスタ」シリーズを制作した。
――若い視聴者、とくにZ世代にリーチする必要上、広告コンテンツをどう進化させてきたか?
Z世代は、51%が数分おきにスマホの画面を見ており、また、ほかの世代と比べて一度に多くの画面を操作している。そのため、従来のリニアなキャンペーンに加えて、携帯画面でのブランド露出を強化する方向に投資を増やしている。たとえば、W杯キャンペーンの一環として、オンライン上でインタラクティブなファン体験が楽しめる「パス・ザ・ボール・チャレンジ」を展開した。カタールW杯決勝戦への招待など、当選者にサッカー関連のグッズや賞品を進呈する懸賞キャンペーンだ。同キャンペーンは、スナック菓子を愛するサッカーファンへのご褒美というだけでなく、好きなチームを応援するファンの心をひとつにするためのプラットフォームとして企画された。
――出場国にちなんだ、W杯向けの限定フレーバーに込めた思いは?
FIFAワールドカップの限定フレーバーは、世界の料理からインスピレーションを得て開発された。フリトレーならではの方法で、試合を楽しむファンを応援し、より豊かな観戦体験を実現したかった。マリネ風味のアドバダス味、波形厚切りの豚肉タコス味、ハラペーニョのベーコン巻き味など、自国チームの勝利を応援しながら、世界各国のフレーバーを楽しんでほしい。
――「サッカーそれともフットボール」のCM、加えてデヴィッド・ベッカムら有名選手の起用について聞かせてほしい
サッカーと呼ぶべきか、フットボールと呼ぶべきか。この球技の名称をめぐるスポーツ界最古の論争のひとつをテーマにこのCMを制作した。サッカー選手のデヴィッド・ベッカムとアメリカンフットボール選手のペイトン・マニングというスポーツ界の世界的レジェンドが、サッカー派とフットボール派を代表して活発な論戦を展開する(ほかにも有名なサッカー選手たちがカメオ出演している)。撮影現場では誰もが楽しい時間を過ごした。そして最終的には、誰もがある一点で同意する。このスポーツをどちらの名称で呼ぶにせよ、観戦パーティに行くときは必ずスナック菓子を持って行こう。
Denny Alfonso(翻訳:英じゅんこ、編集:島田涼平)