ダノン(Danone)が所有するヨーグルトブランド「ライト+フィット(Light + Fit)」はストリーミング広告戦略を強化する方針だ。他のストリーミングサービスに加えて、初めてNetflixにも広告投資をし、より若い […]
ダノン(Danone)が所有するヨーグルトブランド「ライト+フィット(Light + Fit)」はストリーミング広告戦略を強化する方針だ。他のストリーミングサービスに加えて、初めてNetflixにも広告投資をし、より若い消費者層へのターゲティングを改善することを目指している。
34年の歴史を持つ同ブランドは、先月、既存の主要な高齢層の顧客を疎外することなく、ミレニアル世代やZ世代の注目を集め、さらなるシェア拡大を目指すための取り組みを発表した。その一環として、ライト+フィットはデジタル動画への投資を増やし、HuluやYouTube、そして従来型のテレビCMと併せてNetflixをメディアミックスに追加している。
デジタル領域で若い消費者を獲得する
ダノン北米のギリシャヨーグルトと機能性栄養部門のバイスプレジデントであるサービ・マーチン氏は、「我々の目標に到達するためには、メディア戦略やメディアバイイングに重要な転換点を作る必要があった。プレミアムデジタル分野で若い消費者を獲得するためにメディアミックスをシフトさせる一方で、既存の従来型テレビの広告購入を通じて核となる顧客を保持したい」と述べた。
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これまで、ライト+フィットのメディアバイは従来型のテレビCMに重点を置いていたとマーチン氏は語る。しかし、広告を時代に合わせてアップデートし、コードカッター(ケーブルテレビを解約しCTVなどに移行する人々)にリーチする取り組みの一環として、デジタル動画がより大きなパートを占めるようになった。その結果、同ブランドのメディア予算は増加傾向にあったという。
昨年、ライト+フィットのメディアミックスの39%がデジタル動画だったとマーチン氏は述べている。今年、その数字は64%に上昇した。さらに、マーケティングや広告活動はPR、検索、ソーシャルを通じて強化され、充実したメディアミックスを形成していると彼女は付け加えている。
マーチン氏は具体的な数値を明らかにすることを拒否したため、ライト+フィットのデジタル広告支出のうち、どれだけがストリーミング広告に充てられているのかは明らかではない。しかし、パスマティックス(Pathmatics)からの有料ソーシャル広告に関するデータも含めたヴィヴィックス(Vivvix)の調査によると、昨年、同ブランドはメディアに530万ドル(7億4000万ドル)を支出している、これは2021年に支出した1230万ドル(18億円)よりも大幅に少ない。
ブランドのCTV広告ブーム
最近では、メレル・フットウェア(Merrell footwear)やドクター・ティール(Dr Teal’s)のセルフケア・ウェルネスライン、女性向け下着ブランドのアドア・ミー(Adore Me)などのブランドが、デジタル動画に割り当てるメディア支出を増やしている。
実際、今年初めにDIGIDAYリサーチが発表した研究では、エージェンシーのクライアントは、従来型のテレビよりもCTVへの投資を選ぶ傾向にあることが明らかになった。具体的な数字で言うと、テレビ広告に支出するクライアントを持つエージェンシー勤務のプロフェッショナルの4分の1以上が、予算の適度な部分をCTVに割り当てており、CTVに大部分を割り当てていると回答したのは3分の1近くもいた。
広告代理店ダガー(Dagger)のシニア戦略ディレクター、アビー・ヒル氏はDIGIDAYへのメールで、「ストリーミング(における広告)は視聴者もより注意を持って視聴しており、ブランドのプロダクトに興味を持ってもらえる可能性も高い。そのような視聴者をCTVはブランドに提供することができる」と述べた。「これにより、ブランドは質の高い視聴者に対して認知度を高め、直接的なブランドアクションを行うことができるようになる」。
常に消費者の動向は注視する
チップス・アホイ(Chips Ahoy)のような一部のブランドは、デジタルチャネルに投入する予算を増やすため、ほぼ完全に従来型テレビの広告予算を終了させている。しかし、その戦略はライト+フィットには適していない。同ブランド(の消費者)は「やや高齢層に偏っている」とマーチン氏は語り、この主要な視聴者層にリーチするために従来型の広告予算を維持する計画だ。「私たちの核となる部分を維持し続けるためには、彼らがいるチャネルで関連性を保持し、引き続き存在感を示す必要がある」と彼女は述べている。
しかし、方向転換が必要となれば、ライト+フィットも方向転換をするだろうと彼女は付け加えた。
「もし上手くいかない場合は、我々は常に敏捷性を持ち、方向転換をするつもりだ」とマーチン氏は述べ、「ブランドがさらに成長を再開して、新たな消費者を獲得するためのチャネル全体でのメディア投資が行われているなか、方向転換にも敏捷に対応することは特に重要だろう」。
[原文: Danone’s Light & Fit brand doubles down on digital video ad spend but won’t let go of linear TV ]
Kimeko McCoy(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)