「『お金を火にくべる悪習』が、 D2C 業界にはある」:デイリー・ハーヴェストのレイチェル・ドローリ氏

サブスクリプション型冷凍食品販売会社であるデイリー・ハーヴェスト(Daily Harvest)の創業者、レイチェル・ドローリ氏が起業を思い立ったのは、「そのとき、ちょうど空腹だったから」だったからだ。そして、いざ起業したあとは、彼女の脳内はデイリー・ハーヴェスト一色に染まり、全身全霊を傾けてブランド構築に尽力した。

「以前から起業してみたいと思っていたし、これなら支持されるんじゃないか、という気がした」と、ドローリ氏はふり返る。

「ただ、私のなかにはハッキリとしたニーズがあったのだが、本格的にはじめる前に、ほかの人も同じニーズを抱えているのかどうか、手応えが欲しかった。それで、ロング・アイランド・シティに業務用の厨房を見つけて、グローサリーストアのトレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)から野菜や果物を仕入れて、手作り冷凍食品の販売をはじめてみたが、本気でやっていくなら、自分に厳しくしないとダメだと決意した。その際、自分をごまかしたくなかったから、ひとつハードルを設けた。それが、見ず知らずのお客さんの数を知り合いの5倍以上にする、というもので、これを達成できたら、勝負してみようと決めた。そうなればもう、私を不憫に思う友人や母の知人に支えられているわけじゃない。身内や知人とは関係のない、ひとつ上の次元に到達できたということだし、それは本物のビジネスの証だと考えた」。

現在、ドローリ氏はVCの資金援助を受け、社のさらなる進化を目指している。資金の一部は同社のコンテンツストラテジーに回し、ブランドストーリーの共有に役立てるつもりだという。

米DIGIDAY副編集長シャリーン・パサックがドローリ氏と膝を交え、事業構築の過程、資金援助を受ける前に投資家と連絡を取り合った理由、CAC(顧客獲得単価)高騰への対抗策について語り合った。以下は、その音声データと要約だ。

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資金援助に向けてVCの知見を活用

「シードラウンドの投資を募ったあと、自分が作ろうとしている会社像をより明確にすべきと、強く思った。ベンチャービジネスの性格上、近いうちに別のラウンドの投資を募る必要が出てくるのは、わかっていたから。それで、やる以上は、ちゃんと利益の出る会社にしたいと考えた――当時の私にとっては、とても大事なことだったし、それはいまも変わっていない。そこで、たくさんのシリーズA投資家の方々に『あなたにとって、見るからに理想のシリーズA会社とは?』と、訊いて回った。まだ、商品を売り歩く前の話だ。『私はこういう事業をしようと思っているのだが、あなたが口約束だけでなく、どうしてもお金を投じてみたいと思える理想の状態とは、どのようなものなのか? ぜひ教えてほしい!』と」。

ひとつのカテゴリーに収まりにくい会社を売り込む難しさ

「よく訊かれたのは、『競合他社はどこか?』だ。そのたびに、それは皆さんがどの業界を頭に思い浮かべるかに寄る、と答えていた。冷凍食品業界に分類されることが多いが、そういう人には、冷凍豆で勝負はしていない点を指摘した。(いわゆるテレビディナー商品)ハングリー・マン(Hungry Man)とも競合していない。たしかに、ミールキットや(ファストフードとファミリーレストランの中間業態である)ファストカジュアル、クイックサービス(ファストフード)、アンビエントやコーヒーショップのシェアは奪っている。さまざまな業界にまたがっているのは事実だが、そこを目指しているわけではない。そういう説明が投資家の理解に繋がったのだと思う」。

CAC高騰の潮流との戦い

「お金を火にくべる悪習と、私は呼んでいるが、それとの戦いはある。いま、D2C業界にはVC資金が溢れている。誰でも資金を募れるからなのだが、それゆえ、問題の解決にお金を湯水のように使うこともできる。『周囲から何と思われようが関係ない。この問題を解決するために、とにかく金を注ぎ込んでやる。そうすればこの先も顧客を獲得していけるし、CACが250ドルまで上がろうが、べつに構わない。誰か(お金を出してくれる人)は必ずいるはずだから』という感じだ。この姿勢は非常に危険だ。これでは、Facebookだけが儲かり、その他大勢が割りを食わされる。だから、私は早い時期に決めたし、私に投資してくれた人々にもはじめから伝えていた。私はそこには参戦しない、と。私は優良で、頑強な、サステナブルな会社を築く、という事業を行なっている。ほかの人が馬鹿なことをしているせいでCACが上がっているのなら、私はほかのチャンネルに行き、それとは違うことをしようと決めた」。

Gianna Capadona(原文 / 訳:SI Japan)