2020年、小売業者や主だったマーケターのなかには、サイバーマンデーをサイバーウィーク、あるいは非公式なサイバーマンス(月間)のように扱うものがいて、たった1日で11月の売上の多くを確保したと自慢している。こうした動きは、パンデミックによるeコマースの急増を考えれば、まったく驚くことではない。
2020年、小売業者や主だったマーケターのなかには、サイバーマンデーをサイバーウィーク、あるいは非公式なサイバーマンス(月間)のように扱うものがいて、たった1日で11月の売上の多くを確保したと自慢している。
サイバーマンデーを1日から数日あるいは数週間に延長することは、パンデミックによるeコマースの急増を考えれば、まったく驚くことではない。今年はオンラインでのホリデーシーズンの買い物が増えているため、早期のセールで買い物客の注目を集めることは理にかなった動きとみられるが、業界アナリストたちによると、出荷が遅れるのではないかという不安が、人々をホリデーシーズンの買い物をいつもより早くする方向に向かわせているという。
「これまでの年では、消費者たちは(この時期の)セールを待つように訓練されてきたが、今年は違う。ブランドは、前例のない割引を1年を通して提供してきた」と、広告エージェンシーであるヤードNYC(Yard NYC)の最高経営責任者(CEO)、ルース・バーンスタイン氏はいう。「もっとも販売促進に力を入れている小売業者でさえ、競争に打ち勝つために、今年は違う行動をとらなければならない」。
Advertisement
境目が今年は一層曖昧になった
サイバーマンデー用にとっておいた割引の拡張は論理的な行動だとしても、このことがマーケターにとってより困難な環境を作り出し、この特別な1日は今後あまり意味のない日になるかもしれないと指摘する業界アナリストもいる。そしてもちろん、進化はすでに起こっていたという専門家もいる。
フルサービスコンテンツエージェンシー、インダストリアル・カラー(Industrial Color)のCEO、マシュー・ションピニー氏は、「サイバーマンデーには成功体験がある。サイバーマンデーはサイバーノーベンバーになり、サイバーディッセンバーにさえなろうとしている。もはや特別なものではなくなった」と述べる。
その理由はさまざまだ。近年、ブラックフライデーとサイバーマンデーとの境目は曖昧になっている。ブラックフライデーのセールはオンラインで利用でき、サイバーマンデーのセールも事前に宣伝されるからだ。この境目が今年は一層曖昧になった。このようなこともあり、買い物客はいま、どこで買い物しようともその割引を受けられることを期待する。割引が予想され、しかもそれが何日も続くことが予想されているので、割引がブランドを目立たせる手段にならず、場合によっては、底値競争になりうる。
今年はサイバーマンデーが進化し、マーケターは、割引だけでなく新たな特典や限定商品をここで提供してほかとの差別化を図ろうとするようになるだろう、とエージェンシーの幹部たちが言う理由もここにある。
「サイバーマンデー」のコンセプト
もちろん、サイバーマンデーは割引だけが重要なわけではない。2005年、感謝祭後の月曜日にオンラインショッピングが増加することを追跡したショップ・オルグ(Shop.org)の幹部が「サイバーマンデー」という用語を作り出し、プレスリリースを出した。ショップ・オルグの元エグゼクティブディレクターでコマースネクスト(CommerceNext)の共同創業者であるスコット・シルバーマン氏によると、この用語は感謝祭後の月曜日に職場でオンラインショッピングをする現象を定義するものだったという。職場では、高速インターネットを利用でき、愛する人にのぞき見されることなく買い物ができるという利点があるからだ。
シルバーマン氏は「カレンダー上のプロモーションアイテムとして存在したわけではなかった」と言い、プレスリリース後にウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)がこの用語を取り上げ、そこからこの日についてのメディアの報道が「雪だるま式に増えた」と付け加える。「2006年に向けて、小売業者たちはサイバーマンデーの時流に乗り、その日のための販売プロモーションを開始した」。
以来、サイバーマンデーは、多くの小売業者やブランドにとって、何カ月も前からセールや広告のプランを練って迎える重要な日になった。
ホリデーシーズンの勝者となるのは?
サイバーマンデーのコンセプトがたった1日の出来事を超えて進化しているとしても、新型コロナウィルスの流行中や流行後もセールや割引の実施に対する熱意は残るだろうと、業界アナリストたちは考えている。セールがより長く続くなかで目立つ方法を考えることは、マーケターにとって前進するための課題となるだろう。
2020年に関していうと、「ホリデーシーズンの勝者となるブランドは、セールや特典にフォーカスせず、代わりに、感情に訴えるストーリーと結びつけたところだ」と、バーンスタイン氏はいう。「この困難な時期に、顧客を安心させ、理解してもらえるようにすることは、人々の心を動かし、シーズン全体を通してそのブランドで贈り物を買うことに駆り立てるだろう」。
KRISTINA MONLLOS(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:長田真)