DTC ERA

「いまこそ、画期的なマーケティングモデルを構築すべき」:ファッションD2C クヤナの共同創業者、カーラ・ガラルド氏

「消費者はファストファッションに飽きており、それがD2Cの台頭に繋がった」。ファッションD2Cブランドのクヤナ(Cuyana)の創業者、カーラ・ガラルド氏はそう考えている。

同氏は米DIGIDAYの姉妹サイトのモダンリテールに対し、「2010年ころまでには、すでにその兆候があった。多くの消費者が品質への不満を指摘していた」と語る。「製品を作る工場の問題についてもさまざまな報道がなされた。そしてついにファストファッションバブルが崩壊し、D2Cという新たなビジネスチャンスが生まれた」。

ガラルド氏は、2011年にシルパ・シャー氏と共同でクヤナを創業。同社はワービー・パーカー(Warby Parker)がアイウェア業界にもたらした革新的な取り組みを、ファッション業界に持ち込んだ。「それはまったく迷いのない選択だった」と同氏は当時を振り返る。

「当時、バーティカルな市場を狙ったビジネスが数多く成功していた。我々はこれを受け、アクセサリーや衣料品といった分野に照準を定めた」。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、同社の取り組みは大きく変化した。以下、ポッドキャストでの会話から、読みやすさのために若干の編集を加えてハイライトを紹介する。

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ファストファッションの衰退によるD2Cの隆盛

「クヤナのブランドコンセプトが市場に広まった背景には、いくつかのトレンドがあった。まずは、ファストファッションバブルの崩壊だ。2010年ころ、すでに消費者はファストファッションに飽きていた。ファストファッションが流行しはじめた当初、その波は大きく、消費者はいつもワクワクしながら商品を選び購入していた。しかし同時に、『ファストファッション疲れ』を叫ぶ人や、品質に対する不満を持つ人も見られていた。また、製品を作る工場の問題についてもさまざまな報道がなされた。そしてついに、ファストファッションバブルは崩壊。D2Cという新たなビジネスチャンスが生まれたのだ。次のトレンドは、サプライチェーンに関するものだ。以前なら、高級ブランド専門の工場が多くあったが、いまは稀だ。というのも、多くの高級ブランドが、製造コスト削減を目的にアジアに進出し、そうしたイタリア製の革、アルゼンチン製の革、スコットランド製のカシミアといった私たちの心をくすぐるような製品を作る専門工場を置き去りにしたからだ。このことは私たちにとって、大きなチャンスになった。良いプロダクトを作る工場を取り込む余地ができたのだ」。

コロナ禍はビジネスに打撃を与えたが、ミッションステートメントを示すチャンス

「ある意味、コロナはクヤナというブランドの価値を改めて示す機会になった。現在、消費者はかつてないほどブランドの理念に注目している。非常に厳しい目でブランドの選別を行っているのだ。そして、当社の理念は彼らの目にかなっている。来年以降の店舗営業に関しても、いまのところあきらめるつもりはない。我々のビジネスモデルはおそらく一般的なものではないだろう。だからこそ、長期的にどう展開していく必要があるかを見極め、判断していかなければならない。今後は、これまでの実店舗運営で養った知見をいまより重視していくべきなのか、いま起きている消費動向は一時的なものに止まるのか、我々は常に分析を続けている。ただ、いまのところ、我々の事業はデジタルに大きく恩恵を受けていることは間違いない。コロナにより、消費者がオンライン購入へシフトするなか、クヤナへの注目度も上がっている」。

ワービー・パーカー以前

「ワービー・パーカー出現以前、実店舗を持つ企業のあいだで重要視されていたのは、サプライチェーンだった。『コスト削減と高い効率性をいかに実現するか』、我々は常に最高の仕組みを追い求めていた。しかし同時に、常に優れた品質をも追い求めた。そのなかで、サプライチェーンを構築してコストを最大限削減し、消費者に競争力のある価格帯で商品を提供する。各社は、常にこの枠組みのなかで競い合っていた。しかし、ワービー・パーカーが消費者への直接販売というモデルを打ち出し、時代が変わった。これは収益性という点において、大きなメリットを生んだ。流通業者ではなく、消費者に直接、卸売価格で販売するようになったからだ。これにより、我々の進むべき方向は非常に明確になった。アクセサリーや衣料品といった分野でも、バーティカルな事業であれば『やってみる価値がある』、そう考えた。もちろんD2Cモデルにも課題は多数ある。いまこそ我々は、適切な仕組み作りを考えなければならない。流通業者の力は借りられない。いまこそ我々は、自分たちの力で画期的なマーケティングモデルを構築しなければならない。それが我々に課された使命だ」。

[原文:Cuyana co-founder Karla Gallardo on how the pandemic strengthened the brand’s mission statement

PIERRE BIENAIMÉ(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)