DTC ERA

新興 D2C 靴ブランド、なぜリフレッシュ休暇を導入したか? :「企業文化の試金石となる瞬間を生みだすため」

DIGIDAY無料メルマガに登録しませんか?

平日朝9時にマーケティング業界の最新情報をお届けします。利用規約を確認


D2Cシューズブランドのクル・フットウェア(Kuru Footwear)は今年、福利厚生に新たな項目を加えた。それがサバティカル休暇、いわゆるリフレッシュ休暇だ。この制度は、従業員が人生の目標達成を支える側面もあるが、それだけではない。同社でマーケティングを統括するCMOのショーン・マクギニス氏によると、この制度は、従業員がお互いにシェアできる「企業文化の試金石となる瞬間を生みだす」手段でもある。

デルタ変異株の猛威で在宅勤務が余儀なくされるなか、多くの企業が従業員のエンゲージメントを高め、企業文化を育てる新たな方法を模索している。業界の専門家やアナリストによれば、従業員の燃え尽き症候群は雇用主にとってパンデミック以前よりもリスクが甚大で、経営陣は、企業文化を育てるための新たな方法が、燃え尽き症候群の軽減と人材定着率の向上に役立つのではないかと期待しているという。ユタ州ソルトレイクシティを拠点する企業クル・フットウェアも、そうした企業のひとつだ。

マクギニス氏いわく、リフレッシュ休暇の制度は「燃え尽き症候群の軽減のためにわざわざ用意されたものではない」が、リフレッシュ休暇を取得すると「バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)」を実現するための時間がとれるので、休暇を取得した本人の「燃え尽きレベルを改善した」のは間違いないようだ。クル・フットウェアではこれまでのところ、従業員45人のうち3人が今年のリフレッシュ休暇をすでに取得しており、ほかにも3人が取得予定である。

企業側にもメリットがある

クル・フットウェアの場合、リフレッシュ休暇の期間は、従業員の勤続年数によって違う。同社に3年間勤務している従業員には、人生の目標達成にリフレッシュ休暇1週間と1000ドル(約11万円)を取得する資格がある。6年勤務の従業員は2週間のリフレッシュ休暇と2000ドル(約22万円)、9年勤務の従業員は3週間と3000ドル(約33万円)の手当が取得可能だ。

「10年間勤務すればリフレッシュ休暇が1カ月取得できるように設定している企業もある」とマクギニス氏。「ただし、それではわずかな従業員しか対象にならない。10年というのはあまりにも先の話なので、今ここにいる社員のエンゲージメントを高めたり、職場の環境を改善したりするのにはあまり役立ちそうにない。私たちが必要としていたのは、現在働いている従業員にとってもう少し現実味のあるものだった」。

連続勤務数10年でなくても数年の勤務期間でリフレッシュ休暇が取得できる制度ならば、従業員の定着に効果を発揮するのではないか――そう話すのは、ブランドアナリストで、ブランドコンサルティング会社メタフォース(Metaforce)の共同創業者アレン・アダムソン氏だ。「福利厚生にリフレッシュ休暇を加えると、社員が『この会社でもっと活躍したい』と思うようなインセンティブになる」。同氏は、若い世代のほうが頻繁に転職を繰り返す傾向があるとも話す。リフレッシュ休暇の導入は、長い目で見れば企業側にもメリットがある。というのも、「そのうち従業員の価値が飛躍的に高まる」からだ。

「妥協も必要と悟るべき」

広告業界専門のリクルーター、クリスティ・コルデス氏によると、社員のワークライフバランスを向上させるために勤務時間を調整するのは、社員の定着率にも効果を発揮する可能性がある。「業務内容はギュッと『濃縮』してきた。技術革新により電光石火のごとく世の中が変わっているというのに、経営陣は依然として8時間労働の体制に固執している」とコルデス氏。「妥協も必要。それを悟った企業だけが勝ち残るだろう」。

クル・フットウェアでは、出社勤務体制に戻ったら、オフィスの一角にバケットリストの専用スペースを用意しようと考えている。リフレッシュ休暇を取得した従業員には、そのバケットリストで達成できた目標にチェックをいれてもらう。「従業員には、自分が達成したことや、なぜそれが自分にとって重要なのかを仲間同士でシェアしてもらいたいと私たちは考えている」と同社のマクギニス氏は話す。「新型コロナウイルスの感染拡大で、まだ手をつけられる状態にないが、出社勤務が可能になったら実現させるつもりだ」。

[原文:‘Create cultural touchstone moments’: Why this direct-to-consumer shoe brand added sabbaticals for employees this year

KRISTINA MONLLOS(翻訳:SI Japan、編集:長田真)