新型コロナウィルス、ファッションブランドへも大打撃:「戦争勃発に匹敵する支障」

コロナウイルスが広がり続けている。そんななか、さまざまなカテゴリーのファッションブランドたちは、店舗閉鎖、移動規制、そして勤務形態の変更といった形で影響を受けている。

グローバル・ファッションにおいて、中国は製造における重要なハブであり、消費者が存在する重要なマーケットでもある。中国は世界の繊維製造の半分以上を供給する。ウイルスはまだ初期ステージであり、現時点で26カ国にわたる推計2万人が感染している(※原文記事は2月5日公開)。その大部分は中国にいる。しかし複数の情報源が、事態がこのまま悪化すれば非常に大きな影響を与えるだろうと述べた。

オフィスも工場も閉鎖

ブーツ・ブランドのエリアット(Ariat)のCEOであり共同ファウンダーのベス・クロス氏は、先週(※1月最終週)だけでも特筆すべき影響が目に付くと述べた。エリアットの中国オフィスは月曜日まで閉鎖しており、米国拠点で勤務する従業員のうち5人は旧正月のために中国に帰省していたが、米国に戻れずにいるエリアットのサプライチェーン・ロジスティクスの大部分を取り扱う中国企業のひとつは来週まで閉鎖の予定(※原文記事掲載当初の状況)だ。中国国内の工場も閉鎖しており、こちらはいつ再稼働するかの目処が立っていない。ブランドにとって中国での売り上げはビジネス全体では小さいが、製造パートナーとしての役割は大きい。

「あと数回のローンチに関してはすでに完了しているが、それ以降となると分からない」と、クロス氏は言う。「非常に大きな、ややこしい混乱に発展する、というのが私の個人的な意見だ。有難いことに我々は株式非公開企業であり、(ビジネスの)多様化がなされている。そのためひとつの出来事が大きな影響を我々に与えることは通常は起きない。しかし、これは非常に大きな出来事だ。中国がもしも、他国と戦争を行うことになればどうするか、ということを話してきたが、これはその規模に感じられる。業務に対する支障という点では」。

閉鎖によるビジネスへの影響がさらに大きくなるのに時間はそうかからないだろう、とも述べた。事態が進むにつれて、ブランドたちは他国へ製造をシフトさせたいと思うかもしれないが、これにも課題があるという。

「中国は製造をするのに、少し高くなりつつある。一般的には、ベトナムに移ったところも多い。しかし、小さいレストランで全員がテーブルを得ようとしている様子に似ている。ベトナムは量を処理できない。インドはクオリティが同じではない。メキシコはほとんどが小規模な工場だ。カンボジアは中国が持つインフラを持っていない。そして、これらの場所は中国から多くの部品を入手している。そのため最終的には中国への話が戻る」。

現在進行形で展開する閉鎖と強制的な遅延の結果、ブランドたちは国境を越えて、代わりの解決策を見つける必要が出てきている。

働き方を大幅に見直し

ケッズ(Keds)のプレジデント、ジリアン・ミーク氏はウイルスが原因で起きている問題に対処するために彼女のチームはクリエイティブにならなければいけなかった、と語る。その一方で安全ガイドラインを遵守し、中国人従業員たちの安全も確保する必要があった。

「先週、大きなプロダクトミーティングがあったが、ウイルスのせいで通常なら直接会ってミーティングに参加するアジアのパートナーたちは移動ができなかった。アジアは我々にとって非常に重要だ。そのため何らかの判断を下すときには、彼らの関与が必要だ。件のミーティングは3日間に渡って靴を見て、重要な決断を下すものだ。我々の中国オフィスは閉鎖しているため、すべての靴を中国のパートナーの自宅に送り、電話越しに長いワークショップを行った。これは我々の時間では深夜0時に行われたが、仕事のためだった」。

今回の規制によって、勤務ツールをアップグレードし遠隔勤務をする必要が出たと、エリアットのクロス氏は語る。クオリティのより高いウェブカムを中国人従業員がビデオ通話するために購入し、通常なら直接会って行われるミーティングや議論を、ズーム(Zoom)のようなカンファレンスソフトウェアを使ったミーティングへと移す、といった具合だ。

これらは中国政府がさらに情報を提供するか、ウイルスの被害拡大が収まるまでの一時的な対処法だ。しかし事態がおさまらない場合、もしくは収まったと言えるほどの情報が存在しない場合、ただビデオ通話の数を増やす以上の深刻な問題を抱える可能性がある。

「何が起きるか誰も知らない。今回の状況で人々は勤務の形を強制的に変えることになるだろう。事態がすぐに収まらなければ、プロダクトの目に見える形での遅延のリスクが生まれる。波及効果もあるだろう」と、クロス氏は言う。

Danny Parisi(原文 / 訳:塚本 紺)