MANAGING THROUGH CRISIS

「30%の新規顧客増を見込んでいる」:ボビイブラウンのバーチャルコンサルテーションが、好調な滑り出し

新型コロナウィルス禍により、バーチャルビューティコンサルテーションが急速に人気を高めている。しかし、多くのブランドにとっては馴染みの薄いものであり、売上に直結するか否かは依然として未知数だ。

そんななか、コスメブランドのボビイブラウン(Bobbi Brown)が展開する、バーチャルビューティコンサルテーションプログラム「アーティストリィ・ライク・ネヴァー・ビフォア(Artistry Like Never Before)」が、好調な滑り出しを見せている。まずは、5月19日にロイヤルカスタマーの1.2%にあたる年間購入額が600ドル(約6万4000円)前後の上客を対象としたパイロット版を導入し、6月8日に対象を全ロイヤルカスタマーに広げ、続いて6月23日、すべての顧客に公開した。同社GMステファニー・デイヴィス氏によれば、コンサルテーションを受けてから3時間以内に46%の人々にコンバージョンが見られ、パイロット版からコンバージョンした顧客の51%がサイトを再訪して追加購入したという。

「いまのところ、このプログラムの規模は小さい、だが拡張する可能性は非常に大きい。我々にいわせれば、ハイタッチ(人間同士の心の触れ合い)とは、つながりと信頼性にほかならない。One to Oneのコミュニケーションによって、顧客との繋がりや情報共有の場、そして、オンライン上でのエンゲージメントを生み出すことが可能だ」と同氏は語る。さらに、パイロット版の試行中、コンサルテーションを受けた既存客がフォローアップメールを非顧客と共有したことで、新規顧客数が15%急増したとことも明らかになっている。

コンサルテーションの中身

ボビイブラウンのバーチャルコンサルテーションは3種類からなる。ファンデーションのカラーマッチングを行なう15分コース、既存の商品を使ってメイクを指導する30分コース、そして4人までのグループを対象とした1時間コースだ。5月以来、同社が提供したコンサルテーションは150回を越えており、デイヴィス氏によれば、30分コースの人気がもっとも高いという(ただ、1時間コースは6月23日にはじまったばかり)。

なお、このバーチャルコンサルテーションは通常、所定時間内にメイクアップアーティストが3つの製品を勧め、後日、商品の感想などを訊ね、ワンクリックで購入できるリンクを貼ったフォローアップメールを送るという流れで運営されている。クリニーク(Clinique)など、同じくエスティローダーカンパニーズ(Estée Lauder Companies)の一部ブランドも、こうしたバーチャルコンサルテーションを実施しているという。

誘い込むことが目的

経営戦略コンサルティング企業、サイモン・クチャーアンドパートナーズのパートナー、シーカ・ジャイン氏いわく、ボビイブラウンが実施しているようなバーチャルコンサルテーションは、既存の対面式コンサルテーションに、YouTubeでメイク術を見せるインフルエンサーの親しみやすさを融合し、そこに商品を直接販売するメイクアップパーティ(メイクアップアーティストなどを招き、複数人でメイクの方法を共有する場)の要素を加えたものだと分析する。氏によれば、バーチャルな環境においては、カウンター越しの店員との対面時に感じるプレッシャーがないのだという。

その分、顧客にしてみれば商品を買わずに立ち去りやすくなる。そのため、バーチャルコンサルテーションを提供するブランドには、デジタルでの顧客リレーションシップの向上と、より優れた販売戦略が必要になるという。

「ビューティパーティやこうしたコンサルテーションの目的は、人々を誘い込むことにある」とジャイン氏。「それ自体がレベニュードライバー(収益作用因)なのではなく、あくまでも人々に経験してもらうものだ。そしてコンサルテーションが気に入れば、人々は商品を買ってくれる」。

30%の新規顧客増が見込める

従来のeメールによるアウトリーチに加え、ボビイブラウンは現在、Facebook、インスタグラム、YouTube、さらは試験的にPinterest(ピンタレスト)などの、ペイド&アンペイドソーシャルメディア、そしてインフルエンサーを利用してバーチャルコンサルテーションを宣伝している。なお、同サービスには、ホームページBobbiBrownCosmetics.comからアクセスできる。

同社は2020年末までに、このプログラムを通じて30%の新規顧客増を見込んでいると、デイヴィス氏は述べる。また、将来的には、コンサルテーションを福利厚生の一環として提供することも考えているという。現在は4人のメイクアップアーティストで回しているが、今後何週間かのうちに、具体的な数は明かさなかったが、増員も行っていくようだ。

「コンサルテーションの人気は、今後ますます高まっていくと思われる。ロイヤルカスタマーやエンゲージメント率の高い顧客層だけでなく、一度は試してみたいと思うような顧客にも広がっていくだろう」と、ジャイン氏は予想する。

[原文:How Bobbi Brown’s virtual consultation feature brought in new customers

EMMA SANDLER(翻訳:SI Japan、編集:Kan Murakami)