「 #MeToo 運動、男性はもはや覚えてすらいないのでは」:若い女性のエージェンシー社員による告白

#MeTooは、間違いなく職場におけるセクハラと性差別の問題を浮き彫りにした。だが、広告エージェンシーがそうした問題への対処方法を見出すには、まだまだ時間がかかりそうだ。

業界人に匿名で本音を語ってもらう「告白」シリーズ。今回は、広告エージェンシーに勤める20代の女性に、いまだ業界にはびこる性差別について語ってもらった。

なお、以下のインタビューは内容を明瞭にするため若干の編集を加えている。

――#MeTooによって、職場におけるセクハラと性差別について語られるようになったが、広告業界はいまだに男社会だと感じるか?

この業界では男性が非常に優遇されている。#MeTooによって心を動かされたのは女性だけだと思う。男性はもはや覚えてすらいないのではないか。実際、男性の同僚による気分の悪くなるような話をいまだに耳にする。アジズ・アンサリによる女性写真家への暴行スキャンダルが明るみに出たときも、同僚の男性がミーティングで皮肉でも冗談でもなく「なんでも暴行と言われる時代だな」と言い放ったのを覚えている。その同僚には静かにするようにと注意した。

――いま横行している性差別の例を挙げてもらえるだろうか?

私たち女性に話を聞くときでもそれは感じる。うちの会社に来たメディアが私や同僚の女性社員に質問するときも、女性からの答えは信じていないのがわかる。同僚の男性にも聞いて欲しいと私たちに頼んで、その男性の同僚が言ったことをそのまま鵜呑みにするからだ。給与水準もいまだに男性の方が高い。一度、私とまったく同じ仕事をしている男性に給与を訊ねたことがあるが、その男性の給与は私よりも5000ドル(約56万円)高かった。さらにほかの人から、私より仕事をしていないのに、肩書が私よりも高く、給与も1万7000ドル(約192万円)高い男性のアソシエイトマネージャーがいるという話を聞いた。

――さらに、エージェンシーで働いていて、セクハラの被害にあったことがあるとのことだが、何があったのだろうか?

1年ほど前、以前勤めていたエージェンシーでは、私と3人の男性社員がチームを組んでいた。完全な男グループで不愉快な思いをたくさんした。とりわけ、そのうちの1人が極めて不適切な性差別的冗談をよく口にしていた。ある日、昼食のときに3人がどの女性を抱きたいかというゲームをはじめた。抱きたいセレブと同僚の名前をラップのように韻を踏んで並べていた。そのうちの1人が私の名前を出したので頭にきたが、その後も3人は私をからかい続けた。だから人事部に行ってセクハラを訴えた。

――その後どうなった?

エージェンシーは弁護士を呼んだのだが、うまく対処してくれなかった。弁護士は最終的に私の同僚を何人か呼びだした。私の顔に泥をぬるようなやり方だ。結局なにも変わらなかったばかりか、不思議なことにエージェンシーは数カ月後に私を一時解雇した。私がセクハラを訴えたせいなのではないかと思っている。

――エージェンシーに対してなんらかの行動を起こしたか?

起こさなかった。一時解雇された翌日に、いまのエージェンシーに雇われたからだ。本当に運がよかったとしか言いようがない。それにあれほど大きな企業を相手取って行動を起こすような時間もお金もなかった。

――セクハラが許容される風潮がなくならないのは、職場での性差別的な行動に原因があると思うか?

間違いなくそうだ。女性が軽視されていれば、それだけ軽く扱われてしまう。以前のエージェンシーで、私が「クソ」と言っただけでオーバーに囃し立てる男性がいた。男性だって口汚く話しているのに。これは性差別だろう。こうした行動が、さらに性差別的な振る舞いを助長するのだ。

――広告業界で、あなたと同じような企業文化のエージェンシーに身を置く女性はどうすれば良いだろうか?

ふざけた出来事を耳にしたら、女性は互いに助け合うために立ち上がるべきだ。男性の側がもっと学ぶべきだと思う。このような、たちの悪い環境を作り出している責任が女性側にあるとは思えない。

――良い方向に変わっていくと思うか?

あまり期待はできない。変化するとすれば、それはたとえばウォータークーラーの側で性差別的なことを言っている男性を見た別の男性が不愉快だと感じ、聞こえないふりをせずに「やめろ」と言えるようになったときだろう。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:SI Japan)