「ビューティ業界では『エセ環境保護』が横行している」:あるエコフレンドリーブランド幹部の告白

美容業界でも、サステナビリティを訴える声はますます大きくなりつつある。だが、その基準や方法については、いまだ透明性を欠いている。

環境に配慮した決断を下すべき点は、材料の調達/生産から、パッケージング/配送、リサイクルといったポストコンシューマーソリューションに至るまで、多岐にわたる。これはつまり、より良いサステナビリティ実現への道は荒野であり、ブランドによる営利目的利用、曖昧化、過誤の余地があることを意味する。

匿名を条件に本音を語ってもらうDIGIDAYの「告白」シリーズ。今回は、米DIGIDAYの姉妹サイト「Glossy(グロッシー)」が、あるエコフレンドリーブランドの創設者に、業界におけるグリーンウォッシング(環境保護に熱心なふり)の現状、サステナビリティ実現に向けた第一歩、顧客の反応について話を伺った。

──サステナビリティを訴える声が多く聞かれる現況をどう捉えている?

業界中でグリーンウォッシングが横行している。とりわけ大きな問題を抱えているのは、実は消費者が目を向けない所だ。消費者はサプライチェーンという全体の流れを知らなければ、使い終わった製品がどうなるのかも知らない。一般の人々はそこまで考えていない。つまり、ブランド側は好き勝手にやれる自由を手にしているのも同然であり、多くの場合、それはもっとも金のかからないやり方を選ぶことを意味する。ブランド側がコストというと、たいてい、目の前にあるコストだと短絡的に受け取られる。しかし、弊社が語りたいのは生涯にわたる総コストなんだ。たとえば、2万5000年も保つプラスチック製キャップを使うことで、この惑星にどんな被害が及ぶのか? といったことだ。

──グリーンウォッシングの具体例は?

一般に、カーボンオフセットを実践するパートナーは、さまざまな分野への投資を奨励する。投資先はクリーンエネルギーでもいいし、植林でもいい、あるいは学校の建設や土着コミュニティの保護でもいい。ただ、人は目に見える測定基準を欲しがるし、木は明らかな基準となる――たとえば、我々も販売した製品1ガロンにつき1本、植樹をしている。南米で多くの活動をしているカーボン・ファンド(Carbon Fund)とも、カーボン・オフセッツ・トゥ・アリヴィエイト・ポヴァティ(Carbon Offsets to Alleviate Poverty)とも協力してきた。ただ、はっきりいってしまえば、カーボンオフセッティングは環境危機にバンドエイドを1枚貼る程度のものでしかない。

──エコフレンドリーを目指すうえで、もっとも困難な点は?

我々は地産を心がけているのだが、この業界には、それを阻む悪夢のような状況がある。サプライチェーンは間抜けもいいところで、製造段階で、材料をまず、たとえばシンガポールに送り、それからカナダに送るといった手間を平気でかける。配送/フルフィルメントセンターも頭の痛い問題だ。我々はこれまで多くのフルフィルメントセンターを試し、行く先々で、うちは紙しか使わない、プラスチック/ビニールはダメだと、念を押した。イージーポスト(EasyPost)を使ったときも、「粘着テープは紙製にしろ、ビニールテープは使うな」とはっきり伝えた。にもかかわらず、彼らは結局、ビニールテープを使ったんだ。そこで仕方なく、フルフィルメントセンターをインハウス化し、自社の地下でオーダーに対応するしかなくなった。大騒動だったよ。

サステナブルパッケージの調達も困難を極める。現在、容易に手に入るものではないからだ。たとえば、ポストコンシューマー再生プラスチックキャップもそうで、どこも製造していない。製造業者に話を持ちかけても、冷たくあしらわれるのがおちだ。理由は、製品として不完全だからで、ぱっと見ではわからないのだが、色が濁ってしまう。また、心理トリックを利用したものもある。再生可能な素材、もしくはアルミニウムや木といった自然素材に見えて、じつは内部にプラスチック/ビニールが使われているから、これはいいと思っても、結局リサイクルはできない。

──サステナビリティのメッセージに対して、顧客は受容的?

「うちは環境第一!」などと言った途端、いいカモにされる。エコをマーケティングに利用していると、全方位から一斉射撃を受けてしまう。でもまあ、それはそれで構わない。というのも、それが我々の前進につながるからだ。たとえば、ガラス容器が広く受け入れられるかどうか、定かでなかったのだが、ソーシャルメディア上で[ガラス容器を]求める声が寄せられていたし、それで「再生プラスチックが不十分だというなら、ガラスを試してみようじゃないか」と考えた。というわけで、現在、うちの製品には再生プラスチック、ガラス、アルミニウムの容器が使われているし、それぞれに利点と欠点がある。

──つまり、消費者は御社がエコフレンドリーかどうかを気にしている、と。ですが、その対価を喜んで払いたいとまで思っている?

これは経験則だが、暗い未来といったネガティブなイメージを打ち出すと、顧客は離れてしまう。しかも、それは倫理的にも問題が多い。いわゆるスケアタクティック(脅し戦略)だからだ。我々のアプローチは、それとは違う。多くの環境問題には、ポジティブに立ち向かえると考えている。人々にうちの製品を買いたいと思わせるのは、第一に品質であり、次がブランド力、その次に来るのが環境配慮だ。環境問題の解決に向けて多くの予算と時間を費やしてきたが、我々のブランドについて語るときは、製法の話からはじめる。古き良き米国が謳歌した快適性を犠牲にしてまで、エコを重視する考えには馴染めないし、この業界はそもそも、便利と快適の上に成り立っている。

EMMA SANDLER(原文 / 訳:SI Japan)