THE CONFESSIONS

「インフルエンサーマーケティングは、『多重下請構造化』しつつある」:日本のあるプランナーの告白

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インフルエンサーはいまや、マーケティング活動に欠かせない存在となった。だが、このところインフルエンサーマーケティング市場において、「多重下請構造化」が問題視されはじめている。

クライアントから依頼を受けた支援企業が、下請け、孫請けへとプロジェクトを委託するケースが広がりつつあるという。その結果、一部ではインフルエンサーの質の低下といった事態も見られているようだ。

匿名を条件に本音を語ってもらうDIGIDAYの「告白」シリーズ。今回は、昨今顕在化しつつあるインフルエンサーマーケティング業界の負の側面について、あるエージェンシーのプランナーが語ってくれた。なお、読みやすさを考慮して、掲載内容には若干の編集を加えている。

──昨今のインフルエンサーマーケティングについて、どのような点を問題視している?

インフルエンサーマーケティングは、インスタグラムをはじめとしたソーシャルメディアの普及に伴い、いまや大小問わずさまざま企業が活用する手法となっている。しかし一方で、このところ質の低いインフルエンサーが増えているという話をよく耳にするし、私もそう感じている。

──「質の低下」とは具体的にいうと?

主にマイクロインフルエンサーといわれる人々についてだが、モチベーションが低かったり、態度が悪かったり枚挙にいとまがない。しかしこれは、インフルエンサー自身の問題というより、業界の構造的な問題だ。

というのも、インフルエンサーマーケティングが世の中に急激に浸透する一方、業界が「多重下請構造化」しつつある。支援会社とインフルエンサーのあいだに、二重三重に中抜きが入るので、インフルエンサーに適性なフィーが支払われず、アサインされるインフルエンサーの質も低くなるというわけだ。

潤沢な予算があり、「とにかくインフルエンサーを呼んでくれ、あまり質は問わない」というようなプロジェクトであれば、そもそも質を気にする必要はないかもしれない。ただ、そんなプロジェクトばかりではないし、インフルエンサーに適切なフィーが支払われていないとしたら、それは問題だ。

──インフルエンサーにはどの程度配分されるのか?

たとえば、フォロワー単価4円で支援会社が案件を受注したとしよう。インフルエンサーのフォロワーが2万人だとしたら、単純計算で8万円の売上になるが、そもそもインフルエンサーには「今回2万円くらいしか出せないんだけどやってくれる?」といった形で話しが持ちかけられる。残り6万円を2重3重に下請している企業で分け合うわけだ。外注することが悪いといっているわけではない。ただ、不必要に中間業者を噛ませるのはいかがなものか。

──それは支援企業の規模には関係ない?

ある程度の支援企業であっても、小さな支援企業であったも、何重にも中抜きを噛ませているケースは見られる。また、これは知人の話しだが、支援企業にいる人間が、個人で仕事を請け負っているケースもある。「所属企業だと金額が高くついてしまうので、個人のツテで安く受けますよ」といった具合だ。こうしたケースは多くの場合、まるっと外注先に振ってしまうことが多いので、商流が見えずブラックボックス化する。

──広告主はどのような対策を取ればいい?

ひとつは、適切な支援企業を見つけることだ。無闇に外注せず、良心的な支援を行なっている支援企業がいるのも知っている。ただ、クライアントの担当者が直接インフルエンサーと繋がるのが一番の解決策だと思う。自分でいうのもおかしな話だが、特にマイクロインフルエンサーの活用に関していうと、支援企業は必要ないとすら思う。

最近は、インフルエンサーと広告主をマッチングするサービスも出てきているので、活用を検討してみてはどうだろうか。インフルエンサー側に管理画面を付与して、そこにクライアントが求人のような形で募集を出す。そこにインフルエンサーが応募をするという仕組みだ。

──インフルエンサーマーケティングの世界は、今後どうなっていくべき?

多重下請構造の改善はもちろんだが、インフルエンサーマーケティングのKPIが、ここ数年変わっていないことも問題だ。フォロワー数やエンゲージメント、インプレッションなど追っても、実際にオーディエンスに響いているとは思えない。これは業界のブラックボックスとなっている。

KPIが変化していないということは、インフルエンサーマーケティングという手法自体が、数年前からあまり進化していないということを意味する。実際、いまだ「とりあえずインスタ映え」させれば良いといった感覚の企業は、広告主にも支援企業にも多い。インスタグラムが黎明期のころはそれで良かったかもしれないが、インフルエンサーマーケティングが手法として世の中に浸透しつつあるいま、新たなアプローチが求められている思う。

Written by 村上莞