「ブランドがインハウス化したは、エージェンシーのせい」:とあるマーケターの告白

インハウスマーケティング化の潮流は ますます加速しており、 エージェンシーを介するビジネスモデルの今後という、これまでにもたびたび議論されてきた話題が再び注目されている。

匿名性を保証する代わりに本音を語ってもらうDIGIDAYの 「告白」シリーズ。 今回は、エージェンシーが正当な判断を下せないのであれば、彼らに頼りすぎず、自らが主導権を握っていく以外に方法はないと考える、とあるグローバル企業のシニアマーケターに話を聞いた。

以下が簡明にまとめたその抜粋だ。

――あなたはプログラマティックおよびメディアバイイングのインハウス化に携わっている。専門のエージェンシーを雇えば済む話にもかかわらず、あえてそうする理由は?

エージェンシーのせいで、私のようなマーケターはこれまで、社内に多くの知識を取り込むよう努めてきた。そうだね、専門技術/知識のインハウス化が我々にとって有益なのは間違いない。データのコントロールやトラッキングができるし、それによって社内メディアスペシャリストを置いた、より透明性の高いサプライチェーンを築けるうえ、彼らスペシャリストたちはこちらのブランドを愛し、よりよく理解してくれることになる。

ただ、じつを言うと私は、エージェンシーと仕事をするほうが好きなんだ。インハウス化の場合、きわめて優秀なメディア専門家を雇い入れるだけで大金を要するかもしれないし、その専門技術/知識の維持にもそれなりの資力が必要となる。すべてがめまぐるしく動く現在、我々マーケターにはそうした最新テクノロジーについて自分たちよりも明るいエージェンシーが欠かせない。エージェンシー業界は競争が非常に熾烈であり、そういうつねに革新を求められるなかで、彼らはしのぎを削っている。かたや、社内の専門技術/知識だけで進めると、物事が停滞しかねない。会社には社内政治や諸々の手続きが付きものであり、そのせいで迅速な意思決定が阻害されるからだ。

――つまり、懸念はあるが、エージェンシーが果たせる役割はまだあると?

プログラマティックに関する全スキルのインハウス化に努めるよりも、よりフットワークの軽いエージェンシーを使うほうが得策だと思う。クライアントが技術/知識をインハウス化するには、長い時間を要しかねない。さまざまな問題やトレンドに素早く対応したくても、社内のルールに縛られたり、社内政治によって制約を受けたりするからだ。我々の場合は、いま複数の他社が採用しているハイブリッドモデルを構築しようとしている、と言ったほうが近い。つまり、知識はインハウスでまかない、実務の多くはエージェンシーに任せる、という手法だ。

――さまざまな欠点を承知のうえで、あなたはメディアマネジメントの一部をインハウス化している。理由は?

エージェンシーを使う既存のビジネスモデルは破綻しており、それを修復するはクライアントがもっと金を出すしかないと言われているのは知っている。けれど、複数のエージェンシーと仕事をしてもほぼ実りのないことが明らかな現況において、それで問題が解決されるとは考えにくい。共同作業が必要なことはエージェンシーも承知しているし、なかには共同作業を望むところさえあるが、それでも彼らはしない。彼らにはそれぞれの意図があり、それが我々の意図とは一致しないからだ。そのため、彼らは皆、我々の予算をなるべく多く勝ち取るという一点に集中し、まあ、それは理解できるのだが、困ったことにほかのエージェンシーに対して、アカウントまたはキャンペーンにおいて妨害工作を働いてしまうんだ。だから、まずはエージェンシーが自身のビジネスモデルを見つめ直し、それを未来に向けてどう適合させられるかを考える、すべてはそこからだと思う。

――つまり、エージェンシー間の競争は革新の源になりうる一方、絶え間ない競争には悪影響があると?

仮に、いま私にキャンペーン用の予算が100万ドルあり、それを複数のグローバルエージェンシーに分け与えるとする。すると、どんなことが起きるかというと、たとえばあるメディアエージェンシーはその予算を取れるだけ取ろうとし、その結果、ほかのクリエイティブエージェンシーから横取りできそうな部分に対し、彼らを貶めるような妨害工作を働いた。Facebookのキャンペーンでエージェンシーが誤ったアセットをわざと使用し、その誤ったフォーマットを提供した罪をクリエイティブエージェンシーに着せようとした例はいくつも目にしてきたし、エージェンシー1社が共有すべきデッドラインをあえて守らず、ほかのエージェンシーの評判を落とそうとしたケースも見てきた。複数のエージェンシーに共同作業をさせると、そういうばかげたことが起きる――使う側にしてみれば、子どものお守りと変わらない。

――ではあなたの場合、どうエージェンシーに共同作業をさせる?

ごく基本的なやり方に聞こえるかもしれないが、ワークショップを開き、その場に私も同席するのが最良の方法だと思う……そうすれば、エージェンシーは共同作業に対してオープンにならざるをえないし、それはつまり、プロセスや戦略について各社があらかじめ意見を統一し、さらにはレポートの共同作成/提出についても同意することを意味する。私がエージェンシーにいちいち指示をするのとは違う。こうすれば、すべてはチームプレイとなる。ワークショップに参加する全員がそこに同じ価値を見いださなければ、機能しないからだ。

ただしこの場合、私がつねに目を光らせていなければならない――要するに、必ずしも機能はしないということだ。そのため、ほかとうまくやれないエージェンシーがいれば、替える。まずは注意し、再度警告を与えて、それでも改善がまったく見られない場合は、仕方がない、別のエージェンシーを探すと伝えてきた。これは私がブランド側として仕事をしたどの会社でもあったことだ。[エージェンシーとしての]規模がどんなに大きかろうが、関係ない。態度が悪いのは、私にしてみれば、致命的なんだ。

Seb Joseph(原文 / 訳:SI Japan)