「エージェンシーの #MeToo 問題は、トップが原因」:女性ベテラン幹部の告白

セクハラ問題が広告業界を揺るがすなかで、クビになりそうな者もいる。だが、多くの例では、エージェンシーはこの問題に関して後手に回っているように感じられる。

業界人に匿名で本音を語ってもらう「告白」シリーズ。今回は、大手エージェンシーの人事部と広報部で働いてきたエージェンシーのベテラン女性社員が、人事がしばしば問題になる理由を語る。

以下の会話は編集し、要約している。

――広告業界に「#MeToo」運動が起きていることについてどう思うか?

規模の問題だ。規模が大きくなるほど、社風を保つのが困難になる。それに、エージェンシーが維持してきた社風は、クールであろうと努めるというものだ。広告業界は、誰もが幼い子どものように振る舞う業界だ。誰もがクールでありたいと思っている。ヒップホップアーティストのような話し方をする郊外の中年白人男性が、CEOを務めている。

――厄介ですね

もちろん。白人特権の匂いがぷんぷんしている。多くのエージェンシーのトップと一緒にいると、おそらくもっともリベラルで民主主義的な場のように感じられる。ほとんどの場合、彼らは社会正義を求めるタイプだが、白人特権を持って話している。皆がどうやって、いまの仕事を得たか見ればいい。名門校に入学し、父親が業界の人間を知っている。多様性について理解しているというが、そうは思えない。何が政治的に正しいのか知っているかもしれないが、それを理解しているとは思わない。

――どういうところにそれが表れているのか?

広告業界の社風は、性的な仄めかしだらけだ。性的な冗談を言い、会話のなかで「fuck」という言葉を使う。不適切だが、社風全体がこんな調子だ。だが、いま起きつつあることは、それとは逆方向に進んでいる。残念ながら、いい方向にではない。業界人は職場で話すのを恐れているのだ。

――人事部はそれにどう関わるのか?

ふたつある。ひとつは、現況に直面してエージェンシーの社風が変わりつつあること。社員はこれまでのように振る舞うことを恐れている。もうひとつは、インスタグラムのアカウント「Diet Madison Avenue」と#MeTooのせいだろうが、人事部が注意を払っていること。ただし、そうすべきだからではなく、それが義務だから、注意を払っているだけだと思う。だが、実際のところ、自分よりも重要な上級幹部について苦情を言っても、人事部は上級幹部の方の肩を持つ。

――説明してほしい

そうではないと本人たちはいうけれど、人事部はサイロ化されている。サイロ化されているのを私は知っている。広報部と連携しているようには感じられない。

――例を挙げてほしい

仮に解雇するとしても、セクハラ問題が理由ではない。解雇について説明するメールがエージェンシー全体に送られる場合もある。だが、たいていの場合、何が起きているかというと、社員が解雇され、社内で噂を耳にする。これでは、社風が台無しだ。社員は、仕事を失うのではと恐れ、腹を立てている。

――ソーシャルメディアは、多くの噂や疑惑を明るみにしてきた

社員はすでに真実を知っている。社員は馬鹿ではない。最高幹部を解雇している企業があれば、たいてい、ハラスメントや虐待の加害者を守ってきたほかの最高幹部がいる。消極的なリーダーや企業によって社風が毒されているなら、それを調整することが大事だ。上層部と一般社員との大規模なミーティングを考えているわけではない。少人数のグループ単位や部署単位、フロア単位で行っているエージェンシーは、十分に存在しない。上司と経営幹部から話を聞くことがとても重要だ。「問題に対して先手を打つ」という広報の基本に従って、すべきことを行っているマーケティング企業が十分に存在するとは思わない。

――人事部は噂にどう対処しているのか?

人事部は対処していない。広報部が会話に加わらなければならないが、頻繁にそうしているとは思わない。ほかの業界と違って、エージェンシーは先手を打っていないと思う。周囲でそういうことが起きていないふりや、噂が流れていないふりをしているだけのCEOと一緒に働いている。そんなことは、決して起きていないというふりをしたいと彼らが思っていて、噂はそのうちに消えるのがわかる。

――それはなぜ?

これは憶測だが、人事担当者は女性だ。情報漏洩という点では、精神的に超タフな女性は最高の番人だ。広報担当者も同じだ。もっとも尊敬されている広報担当者のなかには、記者に対して厳しく、何があろうと会社を守る者もいる。人事担当者も同じことをする。エージェンシーには問題があるが、抱えているのは人事部の問題だ。

Shareen Pathak(原文 / 訳:ガリレオ)