RaaSという新しい業界の台頭によってパタゴニアやナイキなどのファッションブランドは大規模な再販の動きが促進している。トローブ、アーカイブ、スレッドアップといった企業はRaaS上の問題に対処できる完全なパッケージを備え、数十のブランドをこの分野へと導いている。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
パタゴニア(Patagonia)やナイキ(Nike)などのファッションブランドでは大規模な再販を取り入れるようになっており、これはサービスとしての再販、RaaS(リセール・アズ・ア・サービス)という新しい業界の台頭によって促進されている。トローブ(Trove)、アーカイブ(Archive)、スレッドアップ(ThredUp)といった企業は再販ビジネスを運営する上でのあらゆる問題に対処できる完全なパッケージを備え、数十のファッションブランドをこの分野へと導いている。
RaaS分野への投資
多数のブランドがこの分野に進出するにつれ、サービスとしての再販の競争はますます激しくなっている。ダグネドーバー(Dagne Dover)、M.M.ラフルール(M.M.LaFleur)、オスカー・デ・ラ・レンタ(Oscar de la Renta)といったブランドの再販ビジネスを担当するRaaSプラットフォームであるアーカイブは、1月25日、ライトスピード・ベンチャー(Lightspeed Venture)とベイン・キャピタル(BainCapital)が主導する800万ドル(約9.2億円)の資金調達ラウンドを発表し、大きな支援を受けている。また、オスカー・デ・ラ・レンタのCEO、アレックス・ボーレン氏、ゾラ(Zola)の共同創設者のシャン・リン・マー氏、クレド・ビューティ(Credo Beauty)の元CEOのドーン・ドブラス氏、デザイナーのスティーブン・アラン氏、サックス・フィフス・アベニューの元社長マリゲイ・マッキー氏ら、ファッション業界の大物がこの投資に参加した。
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このラウンドにより、ちょうど1年前の2021年2月に設立されたアーカイブの総資金は1000万ドル(約12億円)になった。同社は1億2000万ドル(約138億円)以上を調達しているトローブに遅れをとってはいるものの、2021年2月に250万ドル(約2.9億円)を調達したリフローント(Reflaunt)のようなほかのRaaS企業よりも先を行っている。これらの企業に対する業界の関心は、RaaSへの意欲と成長の余地があることを示している。
アーカイブの共同創設者兼CEOのエミリー・ギトンズ氏は、次のように述べている。「再販はホットな分野であり、世界的には1300億円(約15兆円)と見積もられているので、複数の企業が関与する余地がある。最新の資金調達によって、ピアツーピア再販プラットフォームの開発を加速し、パートナーブランドのために新しいカスタム機能を構築し、顧客の経験に物理的なタッチポイントを追加し、大量在庫の倉庫ソリューションを提供し、エンジニアリングチームと運用チームを拡大したりして、会社の成長が促進できる」。
各RaaSの相違点
アーカイブは、その差別化要因としてブランドごとにカスタムの差別化された再販体験を構築する能力を宣伝している。ギトンズ氏は、顧客にサービスを提供する例として、オスカー・デ・ラ・レンタの再販サイトを挙げる。このサイトには、アーカイブのほかのブランドパートナーにはない、さまざまなルックのショーの映像が含まれているという。
これは、アディダス(Adidas)、アバクロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch)、ファブレティックス(Fabletics)など約20ブランドと提携しているスレッドアップとは対照的である。スレッドアップのブランド提携の多くは基本的には類似しており、各ブランドの顧客エクスペリエンスにほとんど違いはない。
その代わり、スレッドアップの差別化要素は顧客から中古製品を買取り再販することにフォーカスしている点だ。同社は、提携ブランドの消費者にクローゼットを片付けるためのクリーンアウトバッグを提供しており、不要な服をブランドに送り返すとストアクレジットが得られるというインセンティブを提供している。
一方、トローブのセールスポイントは会社の規模と社歴である。同社は多くの競合他社よりもずっと早く2012年に設立された。しかし、同社はまずピアツーピアの再販市場としてスタートし、2017年にサービスとしての再販へ移行している。
ブランドにとってどのプラットフォームを使うかという選択は、購入者と販売者の間の選択の相互作用など多くの要因を伴う決断事項だ。アーカイブはピアツーピアの再販に特化しており、トローブは委託販売にフォーカスしている。
「ピアツーピアの再販プログラムを持つことは我々にとって重要だった」とワイス氏は述べている。「この分野のほかの企業はそれほどパーソナルには感じられないホワイトラベルの提供を促進している。(Facebookなどの非公式チャネルで)顧客のあいだで売買が頻繁に行われていることは知っているので、現在起こっていることを再現するのが重要だと感じた」。
スレッドアップと連携するメイドウェル(Madewell)にとって、決定的な要因は確立したコミュニティと実績を持つパートナーを見つけることだったという。
メイドウェルのシニアバイスプレジデントで持続可能性担当のリズ・ハーシュフィールド氏は「(スレッドアップのおかげで)この分野において我々は大いに信頼されている」と、9月に米Glossyに語っている。
[原文:Competition between resale-as-a-service providers heats up as brand demand grows]
DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:小玉明依)