マーケティング活動において、以前にもまして重要視されているSNS活用。それに伴い運用者には、これまで以上に細やかなオペレーションが求められているが、その担い手は常に不足している。SNSマーケティングの第一人者である林雅之氏は、こうした課題に対し、オペレーターの人材育成と彼らが評価される環境の重要性を主張する。
SNS活用は、いまや企業のマーケティング活動に欠かせない要素だ。しかしその担い手は、常に不足している。
多くのマーケターはつい数年前まで、「バズらせる」ための手段として、SNSの活用を検討することが多かった。しかし最近は、生活者とエンゲージしていく、引いては企業やブランドのファンを増やすための方法のひとつとして、SNSの活用を考えているマーケターが多い。そのため、これまで以上に、細やかで丁寧なオペレーションが、企業のSNS運用担当者には求められている。
また、プラットフォームの頻繁な仕様変更や炎上のリスクとも向き合い続ける必要もある。それらすべてを、ひとりの担当者に委ねるには、さすがに荷が重い。つまり、いまや企業のSNS活用には、それに特化した組織やスキルなども求められているのだ。
「こうした課題を解決するには、オペレーターの人材育成が必要だ」と、SNSマーケティングの第一人者である林雅之氏は語る。「マーケティングのオペレーターが、正当に評価される環境作りをしなくてはいけない」。
採用と育成の仕組み
林氏がCEOを務めるコムニコ(comnico)は、SNSマーケティングに特化したエージェンシーだ。毎月、合計1000本以上におよぶSNSの投稿コンテンツの制作から、実際の投稿までを請け負う同社は、チームビルディングを行うことで、それを実行可能とした。そのため、人材の採用から教育までの仕組みの肝として、「comni;code(コムニコード)」というカルチャーコードを用意している。
comni;code とは、コムニコの社員が大切にすべき価値観・考え方を言語化した行動指針。「Promise(社会に対する約束)」「Philosophy(チームとしての哲学)」「Value(コムニコパーソンとしての5つの行動指針)」という3つの視点でまとめられている。これらすべてに共感できるかどうかを、面接者には必ず確認し、少しでも共感できなければ入社を見合わせることを薦めているという。
「弊社では、適性のあるポテンシャル人材を採用し、戦力化するための仕組みを構築している」と林氏は語る。「ポテンシャル重視である以上、重視すべきはカルチャーフィットだ。いくらスキルがあったとしても、私たちの企業文化に合わない場合は、残念ながらお断りしている」。
こうして採用された新たなメンバーは、コムニカレッジと呼ばれる、研修制度を受けなければならない。具体的には、SNSのオペレーション業務に関わる授業を合計13コマ受講することに加え、コムニコが設立した「一般社団法人SNSエキスパート協会」の初級、上級の資格を取ることが求められる。ここで得た知識をベースに、メンターのもとでOJTを進めていくことで、マーケターを戦力化しているという。

「スキルよりも何よりも、カルチャーフィットが大事だ」と語る林氏
成長を促す環境作り
また、同社では月に1度、MRP(Most Remarkable Person)として、その月に活躍したスタッフを、社内投票で決定している。これも、「いかにcomni;codeにそった活躍をしているか」が基準になっているという。
コムニコの取締役COOを務める、長谷川直紀氏は「SNS運用をはじめとしたマーケティングオペレーションを担う人材に求められるのは、チームワークだ」と語る。「続けて林氏は、実際の業務面でも、彼らが自ら成長できる環境を用意することが大切だという。コムニコでは、ひとりあたりの作業時間や、生産効率をかなり綿密にプロットし、どこで効率が落ちているか、もしくは、どこの業務が共通化できるかを可視化。そうすることで、彼らが自身で改善を行えるような環境作りを実践している。

コムニコで実施している業務効率化のための工数管理シート
こうした取り組みは、ノウハウとして蓄積され、日々の投稿やその分析などを行う、独自のSNS運用ツールの開発にも役立っている。現在同社では、企業のSNSアカウントでの投稿管理や効果測定にかける作業を大幅に軽減する「コムニコマーケティングスイート」や、競合他社などのSNS運用のパフォーマンスを確認できる「POST365(ポスト365)」、そしてTwitterやインスタグラム(Instagram)上でのキャンペーンの作業を効率化する「ATELU(アテル)」など、さまざまなツールを自社で開発・販売を行なっているという。

「オペレーションを担う人材に求められるのは、チームワークだ」と長谷川氏
オペレーションは接客
「エンゲージしてもらい、ファンになってもらうためには、接客を行うように、生活者とコミュニケーションを行わなければならない。マーケティングオペレーションは、まさに『接客』と同義だ」と、長谷川氏は述べる。続けて林氏は、これは決して、SNSに限った話ではないと付け加えた。「自社サイトやECサイト、メールマガジンなどの運用も、すべて含まれる」。
コムニコが属するラバブルマーケティンググループ(LMG)は、SNSマーケティングに限らず、日本No.1のM.O.S(マーケティングオペレーティングサービス:Marketing Operating Service)を目指している。現在さまざまなLMGグループ会社があるなかでも、コムニコはグループ内でもっとも成長し、M.O.S.を実現している企業として、現在LMGを牽引している。
「オペレーションは、マーケティング工程におけるエグゼキューションの部分、つまり『後工程』だ」と、林氏は締めくくる。「マーケティングのデジタル化により、今後、この『後工程』の重要性は一層高まり、人材不足も顕著になるだろう。そのとき私たちは、業界全体の課題を解決できるような存在でいたい」。
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