いまマーケターに求められているのは、動画を「作ること」ではない。動画で「いかに結果を残すか」ということだ。いまや累計導入社数400社以上を誇る動画生成スマートエンジン「 リチカ (RICHKA)」。それを展開するカクテルメイク株式会社CEOの松尾幸治氏に、動画のマーケティング活用を成功させるための極意を訊いた。
いまマーケターに求められているのは、動画を「作ること」ではない。動画で「いかに結果を残すか」ということだ。
ついに5Gがサービスインした2020年。インターネットの誕生以来、ずっとテキスト中心だったデジタルコンテンツが、動画や音声・ARなどよりリッチな方向へ、急速にシフトしている。そのため動画は、いまや「やって当然」のマーケティング施策となった。実際、その製作コストも、以前に比べて格段に下がっている。
だからこそ、もはや「動画さえ作っておけば安心」という状況ではない。むしろ、「猫も杓子も」状態のため、かつてないほどに競争率が上がっている。つまり、そのような状況下において現代のマーケターは、動画で確実に結果を残さなくてはならないのだ。
「実際、『作りたい動画』を制作することに注力するあまり、マーケティング的視点が欠けてしまうケースは少なくない」と、動画を軸とした情報のDX支援やコンサルティングを行うカクテルメイク株式会社の代表取締役、松尾幸治氏は語る。「どんなに動画のクオリティが高くても、マーケティング視点が欠けていたら、目的を達成できる可能性が下がってしまう」。
カクテルメイクでは、広告代理店や大手メディアなど、累計400社以上に導入されている動画生成スマートエンジン「リチカ(RICHKA)」を提供している。プロクオリティの動画を、誰でも簡単に作れるリチカでは、これまで20万本に及ぶ動画が作成されてきた。松尾氏はその膨大な動画におけるPDCAを通し、動画でマーケティング成果を出すためのフレームワーク「リチカ式動画マーケティング」を確立したという。
本稿では、そんな松尾氏に、結果を残せる動画の作り方について、話を訊いた。以下、そのインタビューの抜粋だ。なお、読みやすさを重視して一部編集してある。
──まず、動画をマーケティングで活用する意義を、あらためて教えていただけますか?
これまで、もっとも強い動画メディアは、いうまでもなくテレビでした。インターネットができてからもしばらくは、大容量の情報処理が難しかったため、その事実は変わらなかった。それが、3Gから4Gに変わったくらいから、通信速度や通信容量の制限がなくなってきました。その結果、スマートフォンでの動画閲覧が可能になり、マーケティングにおける動画活用の幅は劇的に広がりました。加えて、今後5Gが本格的に普及しいけば、さらに多様なマーケティング施策の実現が期待できます。
昨今の生活者は、テレビだけでなくスマートフォンやタブレット、サイネージなど、さまざまな場所での動画視聴に慣れてきています。また、YouTubeのような動画メディアだけではなく、Facebook、インスタグラム、Twitterなど、ほかのSNSでも動画対応が進んだほか、TikTokなど、新たなプレイヤーも出現しました。このタイミングでの動画活用に参入するのは、有効といえるでしょう。
しかし、同時に懸念もあります。それは、自分たちが「作りたい動画」ばかりを制作してしまいがちになることです。これでは、マーケティング視点が欠けているため、動画のクオリティは高くできても、目的を達成する可能性が下がってしまうのです。
──なるほど。そんな状況に陥らないためには、どうすれば良いでしょう?
マーケティング視点を持ち、正しいプロセスに従って、コンテンツ制作を行うことが大切です。我々は、動画制作のプロセスを3つに分けられると考えました。ひとつめは「①情報設計」です。ここでは、施策の目的からしっかり逆算した設計が求められます。そして次が「②配信面の最適化」、最後が「➂デザイン(見せ方)」です。
①と②に関しては、マーケティング的視点が求められます。クリエイティブやデザインの話になる前に、情報設計や配信面への最適化について議論することで、マーケティング的視点を導入することができるのです。
動画活用に失敗してしまう企業によくありがちなのは、最後のデザインの部分が先行し、そこにばかりリソースを割いてしまうケースです。クリエイティブ単体ではレベルの高いものであっても、情報設計や配信面の最適化が適切にできていなければ、マーケティングで成果を出すことはできません。大切なのは「カッコいい動画」を作ることではなく、良質なユーザー体験を提供することです。

──それは、つまり…クリエイティブは二の次だと?
いえ、誤解しないで欲しいのですが、私たちはクリエイティブを重要な要素として捉えています。しかし多くの場合、クリエイターは動画を制作するプロであって、情報設計や配信面への最適化については、精通していないことがほとんどです。クリエイターが本来の能力を正しい形で活かすためにも、クリエイティブの前段階である情報設計や画面の最適化は、施策の目的を理解しているはずのマーケターがしっかりと取り組むべきだと思います。
クリエイターに多くを任せて、結果うまくいかないと「やっぱり動画は難しいな」というのでは、クリエイターに酷ではないでしょうか。
──なるほど。ちなみに、動画はPDCAを回すのが大変そうですが、それについて解決策はありますか?
はい。一般的な広告施策であれば、広告の一部分を変更してA/Bテストをすることは簡単にできるのに、動画だとそれが難しい。それは、ビジュアルを変えたら良いのか、それとも動画の長さを変えた方が良いのか、もしくは最初のメッセージに手を入れるべきなのか、検討するべき変数が非常に多いからです。そのため、テストをするにしても「とりあえず、もう少しカッコよくしてみよう」といった風に、定性的、感覚的なテストになりがちです。
しかし、制作プロセスを分解するように、コンテンツに関しても、要素分解すればPDCAを回し易くなります。考え方としては、Webのランディングページと似ています。具体的には、コンテンツをキャッチ(導入)、ボディ(本編)、クローズ(結び)の3要素に分類します。たとえばキャッチの文言を変えるのであれば、それ以外の要素には変化を付けず、キャッチの変更のみに絞ります。
「ここがイマイチだから、動きを変えてみよう」といった感覚的な修正ではなく、変えるべき要素と目的を明確にしてPDCAを回していけば、成功確度は高まっていきます」。


3要素の分類は、配信面のPDCAにも活用できる
──興味深いですね。とはいえ、いざ実行するのは骨が折れそうです
はい。おっしゃる通り、企業の方がゼロベースからこれらを実行するのは、簡単ではありません。そこで我々は、動画活用に関する考え方を体系化した「リチカ式動画マーケティング」というフレームワーク集に基づいて、リチカ活用のお手伝いをしています。
いままで定性的、感覚的な動画マーケティングの施策を打ってきた結果、なかなかうまくいっていなかった。そうした企業の状況を通して見えてきたのが、動画の要素分解を行い、一定の法則と一定の仮説を抽出し、それに基づいてPDCAを回せすことの重要性です。そして、それを形にしたのが、リチカ式動画マーケティングです。クリエイティブ設計のフレームワーク「AIBAC」や、キャッチの洗練度を高めていくためのフレームワーク、「BENIN」といったものが含まれており、非常におすすめです。我々は、リチカ式動画マーケティングに基づいてリチカを使っていただくことで、動画活用を成功に導くことができると考えています。
また、リチカは動画のPDCAを回す際、前述した要素ごとにテストを実施する機能なども搭載しています。たとえば、キャッチですね。リチカを活用すれば、簡単に3パターンのキャッチをテストすることができます。
──それはすごい。では、今後マーケティングにおける動画活用はどう変化していくとお考えですか?
マーケティングにおける動画活用は、今後さらに一般化する一方、実施する企業には差別化が求められると思います。
生活者は、1日にスマートフォンを150回以上起動しているといわれていますが、1回当たりの起動時間は約1分だそうです。そのわずかな時間のなかで、生活者はSNSでやりとりしたり、インスタグラムやTikTokを見たり、さまざまな形でスマートフォンを使用しています。企業側は、その細分化した時間に入り込むため、リッチかつ情報密度の濃い、マイクロコンテンツ化された動画作りを心がけるべきでしょう。

「マイクロコンテンツ化された動画作りが重要になる」と松尾氏
──なるほど。では最後に、カクテルメイクおよびリチカが今後目指すものを教えてください
いま、私たちは自社を「リッチコンテンツカンパニー」と定義しようと考えています。実はサービス名の「リチカ」も「情報のリッチ化」から来ているんです。親父ギャグみたいですけれど(笑)。
いよいよ5Gがサービスインされ、大事になってくるのは、文字、画像、動画を問わず、いままでと比べてよりよい、そしてより豊かなコンテンツだと思っています。そのような環境のなか、我々は企業の動画制作、そしてそのマーケティング活用をトータルでサポートできるよう、サービスを強化していきたいと思っています。
幸いなことに、こうした姿勢をご理解いただけたのか、直近ではFacebookの公式クリエイティブパートナーとして認定されたり、ヤフーとの共同研究を実施する流れもできてきました。
いまや、マーケティングにおける動画活用は「やるかやらないか」ではなく、「いつはじめるか」という段階にあります。このトレンドに乗り遅れないためにも、過去に一度、動画活用に挑戦したけれど、うまくいかなかったという方にこそ、ぜひもう一度リチカでチャレンジしていただきたいと思います。動画のマーケティング効果を、ぜひ実感していただきたいですね。
※「リチカ式動画マーケティング」が気になる方はこちらからお問い合わせいただきたい
▼松尾 幸治(まつお ゆきはる) カクテルメイク株式会社
2011年に大学卒業後、動画ベンチャーへ入社。23歳で取締役に就任し、プロダクト・クリエイティブ部門を管掌。2014年に独立し、制作会社として当社を創業。動画制作やYouTuberの企画運営を通して得たノウハウをもとに動画生成スマートエンジン「リチカ(RICHKA)」をローンチ。動画や音声などのリッチコンテンツを軸に、マーケティング支援やプロダクト開発など幅広く事業を展開。
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Written by DIGIDAY Brand STUDIO(滝口雅志)