クレアーズ(Claire’s)が、モールブランド以上の存在になろうとしている。 62年の歴史を持つアクセサリーチェーンのクレアーズは今、ブランドとビジネスの再構築を目指した「数年間のプロセスの真っ只中」にいる […]
クレアーズ(Claire’s)が、モールブランド以上の存在になろうとしている。
62年の歴史を持つアクセサリーチェーンのクレアーズは今、ブランドとビジネスの再構築を目指した「数年間のプロセスの真っ只中」にいる。そう説明するのは、同社でエグゼクティブバイスプレジデント兼CMOを務めるクリスティン・パトリック氏だ。
そのために同社は、ファッションデザイナーのニコラ・フォルミケッティ氏をクリエイティブディレクターに起用したほか、パリのファッションウィークでハイエンドな店舗を展開したり、メタバース体験を構築したりするなど、さまざまな取り組みを実施している。また、店内看板を利用するだけでなく、フルファネルマーケティングや広告のアプローチを採り入れ、この2年でマーケティングを進化させてきた。
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新世代のマーケティングを取り込む
「誰が顧客なのかを考えれば、我々のブランドは新しいテクノロジーに関して先駆者となる必要がある」とパトリック氏は述べ、「クレアーズはエイジレスなブランドだが、主要な顧客層はZ世代とアルファ世代だ」と主張した。また、「今後はクリエイティブな観点でAIを活用した取り組みに乗り出す予定だ。メタバースにはすでに参入しており、我々は常に、コンテンツの観点から製品を紹介する新たな方法を探し求めている。これからはコンテンツが、我々の活動において重要な役割を果たすだろう」とも話す。
コンテンツ強化策の一環として、クレアーズは大学生を対象とした「カレッジクリエイターズ(College Creators)」プログラムを通じて、Z世代とともにTikTokコンテンツを制作している。コンテンツの作成と編集でクリエイターの支援を得た結果、同ブランドはクリエイターのメアリー・クレア氏によるTikTok動画>で125万ビューを獲得するなど、バイラル動画で成果を上げてきた。
パトリック氏の説明によれば同社の狙いは、クリエイターと手を結んで自社のプラットフォームをこの世代に委ね、より多くの情報を消費者に提供することにある、という。というのも、同社の調査で消費者がより多くの情報を求めていることが明らかになったからだ。
ブランドコンサルティング企業メタフォース(Metaforce)のパートナーであるミッチ・ラトクリフ氏は、「消費者と同じ年齢層のインフルエンサーと連携することで、クレアーズは若い買い物客が時間を費やすチャネルで自社をアピールできる本物のオムニチャネルプレゼンスを築いている」と話す。
90年代のノスタルジーとTikTokの熱狂が融合した場所
クレアーズは昨年、クリエイターと手を組んで同世代の消費者にアピールするコンテンツを増やすだけでなく、62年の歴史で初めてとなるテレビのテストを実施した。パトリック氏によれば、「我々がこれらもテレビのテストを続けるつもりだ」という。「メディアバイイングのシステムを構成するさまざまな方法を検討している。今後は、コネクテッドTVが我々にとって重要になるだろう」。
クレアーズが広告に費やした金額や広告予算の配分については、パトリック氏が具体的な説明を拒否したため明らかではない。ただし、同社の広告費の大半はデジタルメディアに集中していると、パトリック氏は強調した。ビビックス(Vivvix)のデータによれば、クレアーズが2022年にメディアに費やした金額は425万ドル(約5億8675万円)で、2021年の270万ドル(約3億7280万円)から増えている。
「クレアーズは、90年代のノスタルジーとTikTokの熱狂が融合した場所だ」と、メカニズム(Mekanism)のパートナー兼最高ソーシャル責任者であるブレンダン・ガハン氏は言う。「クレアーズの成功の秘訣は、広告ではなくTikTokを制作することにある」。
「Get Rready With Me(私と一緒に出かける準備をしよう)」の動画や、さまざまなルックスを演出する方法に関するヒントやアドバイスなど、TikTokネイティブ風のコンテンツを作ることで、クレアーズはオーディエンスにアピールするコンテンツを生み出しているようだ。ガハン氏によれば、同社のTikTokフォロワーはこの1年で倍増し、27万5000人を超えているという。
[原文:Claire’s evolves beyond its mall brand roots to ‘be a first mover’ and appeal to Gen Z, Gen Alpha]
Kristina Monllos(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:島田涼平)