Tearsheet(ティアシート:米DIGIDAYの兄弟メディア)では、シティのグローバルコンシューマー担当のCMOに先ごろ任命されたジェニファー・ブレイサウプト氏に話を聞いた。同氏は我々の取材に対し、顧客との関係構築、他部門とのコラボレーション、それに新しい任務を担ううえでの個人的な目標を語った。
昔からある銀行のなかでも、シティ(Citi)は、先陣を切って新しいテクノロジーを導入している金融企業のひとつだ。
シティは、既存の支店を「スマート支店」に転換し、モバイルファーストのバンキング体験を富裕層の顧客に提供する取り組みを早くから行っている。また、モバイルバンキングのイノベーターとして、決済トラブルへの対応やカードの更新状況を追跡できる機能をアプリで提供している。シティによれば、同行のオンラインユーザーの数はメキシコシティの人口を超え、モバイルユーザーの数は香港の人口を上回っているという(シティは具体的な数を明らかにしていないが、メキシコシティの人口は800万以上、香港の人口は700万以上だ)。
テクノロジーによって消費者のニーズが変化し、消費者の集中力が以前より続かなくなっていると見られるなか、銀行はさまざまなチャネルに進出して顧客にリーチする必要がある。つまり、店舗の窓口にいる行員だけが、顧客と深い個人的関係を築く責任を担う時代は終わった。現在は、支店、Webサイト、モバイルアプリ、ソーシャルメディアなど、顧客が時間を費やすあらゆる場所で、マーケターが顧客との関係を構築すべく懸命に取り組んでいる。
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Tearsheet(ティアシート:米DIGIDAYの兄弟メディア)では、シティのグローバルコンシューマー担当のCMOに先ごろ任命されたジェニファー・ブレイサウプト氏に話を聞いた。同氏は1999年にシティに入行。さまざまな上級職を歴任し、顧客エンゲージメントの向上や、長期的なブランドロイヤルティの構築に取り組んできた。同氏は我々の取材に対し、顧客との関係構築、他部門とのコラボレーション、それに新しい任務を担ううえでの個人的な目標を語った。
——キャンペーンの成果はどのように測定しているのですか?
我々にとって重要な指標は、認知度と顧客の選択肢のなかでの優先性、すなわちより従来型マーケティングチャネルに関係している指標です。Webサイトのトラフィックと自然検索、それに当行の商品を検討している人はカードの獲得につなげられるため重要です。そのため、すべての取り組みをマス広告で行い、当行の商品やサービスに対する需要を喚起しています。また、カード申込状況を追跡しているほか、顧客エンゲージメントが向上しているか、商品がどのくらい頻繁に使われているかといったこともチェックしています。
——テクノロジーによって、仕事のやり方や顧客にリーチする場所にどのような変化が起こりましたか?
まさに、顧客の最前線に立つという変化です。顧客はシームレスなやり取りやセルフサービスを期待しています。つまり、銀行の支店や店頭に出向いたり、電話をかけたりする必要をなくしたいと考えているのです。そこで重要になるのは、「モバイル+何か」を考えるだけでなく、モバイル全般について考えることです。なぜなら顧客はモバイルの世界にいるからです。
——業界をリードするために、ほかのチームと協力している分野は?
仮想現実(VR)です。VRは本格的な広がりを見せはじめており、我々にとって重要なテスト環境となっています。2025年までには、この市場がおよそ6920億ドル(約77兆円)の規模に達する可能性があります。VRはまだ初期の段階ですが、将来的には、VRが銀行の支店やそのほかの場所で顧客体験の一部になる可能性があります。
——エンゲージメントの面では、どのようなテストを行っているのですか?
我々はNBCと長期的な関係を築いており、テレビ番組「トゥデイ(Today)」主催のコンサートの協賛をしています。DNCE(ディー・エヌ・シー・イー:米人気バンド)とのコラボで、ロックフェラー・センターで「トゥデイ」史上初のVRコンサートをライブ放送しました。VRヘッドセットを使ってこのライブに参加したい人を一般の人々から募ったところ、3万件の応募が集まりました。我々は当選者にヘッドセットを送付し、ロックフェラー・センターのプラザで行われたショーをライブで観られるだけでなく、自宅にいる人たちもまるで会場にいるかのようにライブを楽しむことができました。これは我々にとってはじめてのVRへの進出でした。
——新しい職務を担うことになったあなたの目標は何でしょうか?
シェア・オブ・ボイス(SOV:競合企業や競合製品・サービス間における広告出稿量やメディア露出量のことを指す。日本パブリック・リレーションズ協会から)をグローバルな消費者向けビジネスにおいて創りだすことです。シティでは非常に多くの取り組みを実施し、各種の商品やサービスを宣伝していますが、消費者向けブランドプラットフォームを構築する時間や能力はこれまでなかったため、いま取り組んでいるところです。確固たるブランドボイスとブランドの地位を確立することは、とてもエキサイティングな仕事です。
Tanaya Macheel(原文 / 訳:ガリレオ)