クリスチャン・ルブタン・ビューティは、100ドル（約1万4860円）のルージュ（Rouge）シリーズよりも手頃な価格帯で、8年ぶりに主要製品となる口紅を発売する。

10月1日に発表された新しい口紅、ルージュ・スティレット（Rouge Stiletto）は、若い新規顧客にアピールし、口紅を頻繁に使用してもらうことを目的として、60ドル（約8920円）で販売される。口紅はプーチ（Puig）のライセンス事業の売上の70％を占める。2015年以来、同ブランドのルージュの処方は改良され、口紅はミニサイズで発売されている。だがスティレットは、洗練されたスリムなスティックタイプでは初のフォーマットとなる。新しいスティレットのスティックには、クリーミーなルミマット（Lumi Matte）とグロッシーシャイン（Glossy Shine）の2種類の質感があり、ルージュスティレット・ルミマットは10月1日発売、グロッシーシャインは11月に発売される予定だ。

ルージュが8年前に100ドル（約1万4860円）という価格でデビューしたとき、その戦略はラグジュアリーを宣言することだったと、ニッチブランズ＆ウェルネス（Niche Brands & Wellness）のチーフブランドオフィサー、トーマス・ジェームズ氏は語る。

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「我々の商品を愛してくれる人たちに使ってもらいたい。100ドルの口紅というこの位置づけは自己制限的だったが、クリスチャン・ルブタンはオブジェのメゾンであることを表明した」。

来年スタートする流通戦略の要となる新製品

ジェームズ氏いわく、スティレットはクリスチャン・ルブタン・ビューティのさらに大きな流通戦略の焦点としても機能する。同氏は詳細についての言及を避けたが、その流通戦略は2024年初頭からスタートする予定だという。クリスチャン・ルブタン・ビューティは、ハロッズ（Harrods）、ニーマン・マーカス（Neiman Marcus）、バーグドルフ・グッドマン（Bergdorf Goodman）などのラグジュアリー小売店で販売されている。だがセフォラU.S.（Sephora U.S.）やアルタビューティ（Ulta Beauty）では扱われていない。クリスチャン・ルブタン・ビューティのゼネラルマネージャーであるカッサンドル・シオン氏は、スティレットを2024年にデビューするリキッドリップスティックを含む新製品ラインにすることが目的だと付け加えた。

クリスチャン・ルブタンならではのスタイルとして、スティレットのマーケティングはセクシーな女性のエンパワーメントを強調している。ビジュアルアセットには、ドラマ『POSE/ポーズ』の女優ドミニク・ジャクソン氏、活動家でモデルのレオミー・アンダーソン氏、モデルのダフィー・グレネヴェルド氏とティアン・イー氏が起用されている。スティレットは、デジタル広告、パリ・ファッションウィークのローンチパーティ、TikTok広告を含む360度のキャンペーンで紹介される。

「象徴的なクラフツマンシップのメゾンを持つこと、同時にZ世代にふさわしい存在でありたいと思うこと。そのバランスがつねに重要だ」とジェームズ氏は言う。「華々しく始めることではなく、長期的に築き上げることが目的だ」。

リップ製品をめぐる消費者の嗜好が変化している

マッキンゼー（McKinsey）の「2023年ファッションの現状（2023 State of Fashion）」レポートによると、ラグジュアリーおよび超高級美容市場は、現在の約200億ドル（約3兆円）から、2027年までに約400億ドル（約6兆円）に倍増すると予想されている。この成長を牽引するのは、消費者の需要の増加と、高価格帯での商品展開を目指す美容ブランドである。一方、少なくとも米国では、リップ製品をめぐる消費者の嗜好が変化している。より多くの消費者が、クリーム、グロス、オイルタイプのような栄養成分が含まれているリップ製品に傾倒している。クリスチャン・ルブタン・ビューティの場合は、栄養を与える革新的な処方と予想外の製品の仕上がりを取り入れることで、顧客の欲求に訴えようとしている。

「ノーメイク風メイクのトレンドはいまもまだ超関連性がある。口紅は終わったとは言わないが、当社では赤だけでなくヌードシェードも持つようにしてシェードの幅のバランスを見直している」とシオン氏は述べた。「派手な口紅もいくつか揃えつつも、新しいトレンドにも取り組み、ほかのシェードや唇に心地よく刺激を与えない処方のようなものを（ブランドに）取り入れることが大切だ」。

[原文：Christian Louboutin Beauty debuts first new lipstick product since 2015]

EMMA SANDLER（翻訳：Maya Kishida 編集：山岸祐加子）