ファン育成、中華スマホ「ワンプラス」の効率的なやり方:「顧客の志向に立ち戻ることが大事」

中国の電話メーカー、ワンプラス(OnePlus)が5月第3週、スマートフォン新機種の販売を開始した。そしてそれに伴い、一夜限りのポップアップ店舗がオープンした。開店12時間前から店の外で列をなしていた参加者は、新しいスマートフォンを早く手にすることができ、実際にデバイスを分析できただけではなく、アクセサリの贈呈、アイスクリーム無料提供、そしてマルケス・ブラウンリー(MKBHD)やライナス・セバスチャン(Linus Tech Tips)、ジャスティン・エザリック(iJustine)といったガジェットのレビューで知られるユーチューバーへのアクセスまで盛りだくさんだった。

ワンプラスは審美的だ。ニューヨークのフラットアイアンビルに程近いポップアップショップ店内の様子を見ると、2人の参加者が電動スケートボード「ブーステッド・ボード(Boosted Board)」を持ち込んでいた。ほかにも、アンドロイドのロゴがAppleを食べている絵柄のついたシャツを着ている者もいた。ある電話バイヤーの友人は、2年物のファーウェイ(Huawei)の時計を身に着けていた。来店者の多くが、アンプルポケットがいくつもついた大きなバックパックを背負っていた(これもまたワンプラスの商品)。

ワンプラスの電話を購入していた人々は明らかにハイテク好きで、それを表現することを楽しんでいた。AppleのファンがiPhoneからMacBook、Apple WatchにいたるまでのAppleデバイスを数多く持ち歩く一方、ワンプラスのファンが持っているのはたいていひとつのワンプラス製デバイスだ。しかし、ブランドの親和性は明らかだ。背中に背負ったバックパックと、長い行列で待たされるのを辛抱している姿を見れば、競争の激しいハイテク業界において、ワンプラスがブランド愛好者を獲得したことがわかる。

スマホに重要なもの

ワンプラスを愛するファンの世界ができてから、まだ5年足らずだ。ワンプラスは2013年、中国トップのスマートフォンメーカーのオッポ(Oppo)でバイスプレジデントを務めていたふたりの創始者が立ち上げたものだ。ワンプラスが世に送り出したのは、これまでにない、そしてほかとは違うものでありながら、クオリティと価格面では実用的、というものだった。当時、興味のあるバイヤーが商品を購入するには、招待専用のリストに追加してもらう必要があった。最初の製品「ワンプラス・ワン(OnePlus One)」のリリースに先立ち、創始者はコミュニティメッセージボードフォーラムを立ち上げ、スマートフォンで本当に重要なものは何か、と人々に問いかけた。

「ネバー・セトル(NEVER SETTLE:決して現状に満足しない)」という当初の売り文句は、ブランドのタグラインとして、いまも継続している。ワンプラスはあらゆる機能において、競合他社に追随することをしない。たとえば、新しい電話機種も、完全防水ではなく(つまり、「水泳時には携帯しないでください」ということ)ワイヤレス充電もないが、ヘッドフォンジャックはまだついている。

「当社は、ひとつのセールスポイントを備えた電話を作っているわけではない。ユーザーはまだ (ヘッドフォンジャックが)必要だといっている。我々は、高いものを売りつけるのがよいことだとは思わない」と、ワンプラスのグローバルマーケティング責任者、カイル・キャン氏は語った。「人々は口コミを広げること、そして大きく革新的ではなくても、フラットな業態にロイヤルティを示すことで、我々に報いてくれているのだ」。

ファンたちの熱狂具合

ワンプラスは、ポップアップイベントを訪れた人々に白いシャツと黒い帽子、そして茶色のトートバッグをプレゼントした。それぞれの品には「ネバー・セトル」の文字が記されている。彼らのファンは、自分の意見を表現することを恥じない。ある興味深いバイヤーは、店に入るやいなや、まっすぐ電話が並んでいるテーブルに向ってすすみ、新しいカメラを試していた。

「カメラはそれほど良くはない。キメが粗いようようだ」と、彼は友人に話す。友人はその発言に反論し、もう一度試してみた結果、前モデルよりは良くなったということで一致した。

また、ある別のバイヤーはミッドナイトブラックの製品が欲しいため、列に並んでいるあいだ、店員に何度も「自分の分まで数が足りるか、それともとりあえずミラーブラックで我慢して、ミッドナイトは予約して後日まで待つことになるのか」と繰り返し尋ねていた。

多くの顧客は、店に入る前からワンプラスのことをすべて把握していた(また、それが欲しいと、はっきり思っていた)。MKBHDのレビュー動画もまた、ひとつの要因だ。彼の動画は5月第2週のリリース以降、250万近いビュー数を獲得している。客のなかには、オンラインフォーラムや「オープンイアーズ(Open Ears)」というオフラインのコミュニティイベントで同社のスマートフォンの進捗具合を継続的に追跡している者もいると、キャン氏はいう。

「信頼が成長している」

ワンプラスは元来がデジタルだということ、そしてベータプログラムやコミュニティイベント、さらにYouTubeのインフルエンサーにレビューユニットを提供するなどのオーガニックな取り組みを続けてきたので、有料のマーケティングはほとんど実施していない。アンドロイド市場の競争力が高いヨーロッパやインドでは、複数の伝統的なテレビ広告に投資している。

どんな有料広告でも「口コミというかたちで、戻ってくる。インドで実施した『キャント・テル(Can’t Tell)』のテレビキャンペーンでも、顧客の志向に立ち戻ることになった。我々にとって、どんなことがあっても、それが一番大切なことなのだ」と、キャン氏はいう。

今回のポップアップ店舗では、ニューヨークとサンフランシスコあわせて1700名、そしてロンドンでも900名が来店している。世界中で、1万4500人が集まった。

「年を追うごとに、その数字は大きくなっている」と、キャン氏はいう。「前回も来てくれたユーザーが、今度は友人や家族を連れてくる。信頼が成長し続けていると実感できる」。

Kerry Flynn(原文 / 訳:Conyac