この1年間で、メゾネット(Maisonette)やドップル(Dopple)などの専門小売店や、ファーフェッチ(Farfetch)といった幅広くファッションを扱うマーケットプレイスで、高級志向の子供向けファッションスタイルが増えている。
この1年間で、メゾネット(Maisonette)やドップル(Dopple)などの専門小売店や、ファーフェッチ(Farfetch)といった幅広くファッションを扱うマーケットプレイスで、高級志向の子供向けファッションスタイルが増えている。子供服市場はこの2年間、成人男性と成人女性のファッション市場よりも急速に成長し、昨年世界で2520億ドル(約27.6兆円)、米国で340億ドル(約3.7兆円)に達した。エッセンス(SSENSE)からフィア・オブ・ゴッド(Fear of God)まで、複数の大手ラグジュアリーブランドたちが、この半年で子供服ラインをローンチしている。
メゾネットの共同ファウンダー、シルバーナ・デュレット氏によると、この理由は簡単に説明できるという。子供たちは消費者にとって、ソーシャルメディアブランドの一部になりつつあるのだ。子供たち自身は週に5日、同じスパイダーマンのシャツを着ても何の文句もないかもしれないが、親のインスタグラムにとっては、子供たちは写真のなかで綺麗な服装をしている必要がある。
「#MommyAndMe」がトレンド
新型コロナウイルスのパンデミックにより、より多くの人々がお互いの交流のためにスマートフォンを使うようになり、また学校が閉鎖されたことで、より多くの子供たちが家にいるようになった。これらの要因が組み合わさって、子供たちの写真をオンラインに投稿することが増えた。パンデミック以前にも人気のあったハッシュタグ「#お母さんと僕/私(#MommyAndMe)」を使った、母子でペアになった服装を着た写真の投稿の数は、2020年にはインスタグラムに500万回以上投稿されたという。
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こういったミレニアル世代の親たちに応えたいブランドにはふたつの選択肢がある。ひとつは、従来の卸売モデルで子供服を購入するメゾネットのような小売業者を使って子供服カテゴリをテストするか、もうひとつは、子供服コレクションを製造し、通常のチャネルで販売する形で市場に飛び込むかだ。
「高級ブランドからは多くの関心が寄せられている」とデュレット氏は言う。「基本的に大手のファッションブランドはすべて、今は子供向けの商品を出している。特にファーフェッチのような場所では、成長が続いている。自分の家族がオンラインでのブランドになっており、そのことが大きな原動力になっている」。
メゾネットにはジバンシー(Givenchy)のようなヨーロッパの大手ラグジュアリーブランドがいくつも存在する。だが、デュレット氏によると、メゾネットのビジネスの大部分はターニャ・テイラー(Tanya Taylor)のような中規模ブランドで行われているという。ターニャ・テイラーは3月に最初の子供向けラインを自社のダイレクトチャンネルとメゾネットでローンチしている。メゾネットは2020年の間に顧客数を倍増させ、売上を3倍にしたが、これはターニャ・テイラーのようなブランドがこの分野に参入したことも一因だ。昨年、ジバンシー、ヴェージャ(Veja)、ダグネドーバー(Dagne Dover)などのブランドもメゾネットに加わった。デュレット氏は昨年、特に子供向けのラインをまだ持っていないブランドからの関心が「劇的に増加」したと述べた。メゾネットは、ほかのブランドの販売から収集したデータを使ってガイダンスを提供し、新規参入のブランドに子供服市場への最良の参入方法をアドバイスする。
メゾネットの共同ファウンダー、ルイザーナ・メンドーザ・デ・ロッチア氏は「(子供服市場に参入するアプローチとして)我々は限定商品をプッシュする」と語った。「多くのブランド、特にこの分野に新しく参入するブランドに対しては、この手法でアプローチする傾向がある。彼らがコミットする前に市場をテストする絶好の手法である」。
パックサンの成功事例
しかし、独自のチャネルを活用することを選択するブランドたちもある。カリフォルニアに拠点を置くアパレルブランドのパックサン(PacSun)は、4歳から14歳までの子どもを対象とした、ジェンダーフリーの子ども向けカテゴリを7月に立ち上げる。
パックサン社のブリー・オルソン最高ブランド責任者によると、このコレクションは主に自社のオンライン・チャンネルと店舗を通じて販売されるが、ノードストローム(Nordstrom)でも販売されるという。パックサンは2020年に売り上げを倍増させ、TikTokアカウントのフォロワー数を1年足らずで70万人近くにまで伸ばした。
「パックサン・キッズ(PacSun Kids)は我々が長い間構想してきたものだ」とオルソン氏は語る。「ブランドの核は16歳から24歳をターゲットにしているが、ポジショニングが確立された今、ほかの分野にも進出できるだけの強いポジションにいると感じている」。
最近になってキッズラインを立ち上げたブランドは、主にソーシャルメディアで宣伝している。エッセンスは先週、2021年秋の子供向けファッションのローンチのために十数件の投稿を行い、100万人のフォロワーから8000〜1万4000の「いいね!」を獲得した。コメントの多くは、フィア・オブ・ゴッドのキッズラインのローンチが数秒で売り切れになったことへの不満の声だった。
[原文:Children’s fashion is growing because ‘your family becomes your brand’]
DANNY PARISI(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)