ファッションブランドはこの1年で、(性別を問わない)ジェンダーニュートラルな衣料品を提供する傾向を強めており、子ども向け衣料品メーカーが追従しはじめている。たとえば、ストックホルムを拠点とするトッカ・ボッカ(Toca Boca)は、ジェンダー規範による制約にとらわれない製品ラインを売り出す最新の企業だ。
ファッションブランドはこの1年で、(性別を問わない)ジェンダーニュートラルな衣料品を提供する傾向を強めており、子ども向け衣料品メーカーが追従しはじめている。
トッカ・ボッカ(Toca Boca)は、ジェンダー規範による制約にとらわれない製品ラインを売り出す最新の企業だ。ストックホルムを拠点とする同社は、9歳未満の子ども向けモバイルゲームアプリを扱う企業として2011年に設立。ゲーム内容は、性差に偏った思考を避ける目的で、車や料理、ヘアスタイリングといったテーマが中心だ。トッカ・ボッカの方針は、母国であるスウェーデン国内の進歩的な変化を反映している。スウェーデンでは、ジェンダーニュートラルな幼稚園が台頭し、それに伴い生徒のあいだで寛容の精神や社交性が高まっていると報告されている。トッカ・ボッカは現在、ゲームの包括的な(性差のない)要素を反映した衣料品や玩具のラインを展開しようとしている。同ラインは7月17日から、米大手量販店ターゲット(Target)の店舗で販売される。
小売分野のデータ分析プラットフォームを運営するエディティッド(EDITED)のデータによると、ジェンダーニュートラルな子ども向け(特に2歳未満の乳幼児向け)衣料品が増え、この分野の新商品は他分野を上回るペースで登場しているという。たとえば、ユニセックスのワンジー(幼児用の上下一体型の衣服)は、過去数年で38%増加している。
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「性差の面で包括的」
ターゲットを小売業者に選んだのは戦略だったと、トッカ・ボッカの最高執行責任者(COO)であるキャロリン・インゲボルン氏は明かす。ターゲットは、男女に分けられたマーケティングを店舗で減らすべく一丸となって取り組んできた。2015年には、玩具と家庭用品のコーナーの一部で、「男子用」と「女子用」という表記を撤廃すると発表。「玩具コーナーでは、棚の後壁へのピンクやブルー、黄色、グリーンの壁紙使用など、性別に関連するものも取り除く」と、ターゲットはブログで通知した。
トッカ・ボッカは、ユニセックスな商品がある一方で、「女子用」や「男子用」に分類された商品もあるという意味で、自社が「性差の面で包括的」だと述べている。包括的な製品を宣伝する子ども向けブランドでは依然として、男女別に分類されている製品と分類されていない製品とに分かれている。
たとえば、eコマースサイト「クロウズ・ウィズアウト・リミッツ(Clothes Without Limits)」は、ジェンダーニュートラルなカテゴリーに分類されるブランドがいくつかあり、ユーザーは年齢やテーマ、販売会社、新作商品といった基準で閲覧できるが、性別では閲覧できない。同様に、カナダのユニセックス製品ライン「マトンヘッド(Muttonhead)」は、ウェブサイトで性別について記載せずに、ジェンダーニュートラルなカラーの子ども向け衣料品を提供している。
少年よ、よき人になれ。皆と同じように。女性をおとしめる昔の少年ではなく。少なくとも、私たちが正しく育てればそうなる!――ドリュー(@ayanasmama)は、「少年は
少年よき人になる!」と書かれたヘザーグレーの半袖Tシャツを着ている。
多様性委員会を組織
トッカ・ボッカは、米国の大手小売業者を通して知名度を高め、性差面での包括性に関して風潮を変えたいと考えている。商品開発にあたって、チームは、性差や民族、人種、セクシャリティに焦点を絞って、大学や非営利団体出身の専門家5人で構成された外部の多様性委員会に相談している。
「連携している社内の多様性委員会は、すべての商品が包括的で、子どもが疎外感を抱かず、万人向けのものがあるかをチェックリストで判断している」と、インゲボルン氏は語る。
トッカ・ボッカの消費者向け製品担当責任者であるマチルダ・エングマン氏は、自社アプリのビジュアル要素と方針を衣料品や玩具に盛り込むことに注力していると語る。
「ジェンダー規範を押しつけたくない。万人向けのものを用意したい」と、エングマン氏は語る。「性別に関係なく、誰もが何かを見つけられることが大事だ。はじめからそういうことに取り組んできた」。
Bethany Biron(原文 / 訳:ガリレオ)