チェース銀行、 Pinterest を「住宅ローン」販売に活用

JPモルガン・チェースの住宅ローン部門、チェース・ホームレンディング(Chase Home Lending)は、Pinterest(ピンタレスト)を利用して、顧客に融資の検討を促している。ボードを飾るのは、バスルーム、キッチン、地下室のリフォーム事例集だ。

同社が9月20日にリリースした「チェース・ドリームボード(Chase Dream Boards)」は、リフォームやDIYを計画している見込み顧客のための、キュレーションされたPinterestボードだ。ユーザーは、計画のタイプ、好みのスタイル、予算、リフォーム資金の調達方法などを尋ねるアンケートに回答すると、結果とPinterestに保存されたユーザー情報をもとにした、アドバイスやサンプル画像を見ることができる。Pinterestはチェースに、ユーザーのプロフィールデータと、おすすめ商品の選択のためにユーザーが答えたアンケートの結果を提供する。顧客は、ドリームボードのページや、Pinterestから直接、住宅ローンを申請することができる。

チェースがすでに保持している顧客情報と、Pinterestのデータを組み合わせることで、ローン申請のプロセスは簡素化できると、JPモルガン・チェースのホームレンディングでマーケティング・コミュニケーション責任者を務める、エイミー・ボニタティバス氏はいう。

「顧客が検討しているプロジェクトを明確に理解できるので、連絡をもらえれば、すぐにでも承認できるくらいだ。多少の追加情報が必要なこともあるが、ユーザーにどういった融資が認められるか、我々はきわめて正確に把握している」と、彼女はいう。

KPIはインタラクション

ドリームボードのヘビーユーザーの多くは、すでにチェースの顧客である可能性が高い。そのため、このPinterestツールを利用して得た追加情報をもとに、ローン申請プロセスを迅速化できる。顧客がすぐにはローンを申請しない場合も、関心をもつ見込み顧客として、チェースは将来彼らを対象にターゲット広告を提示することができる。

Pinterestボードに表示されるアドバイスには、HGTVのリアリティ番組パーソナリティ、ジョナサン・スコット氏とドリュー・スコット氏のおすすめや、チェースからの提案、それに「インスピレーションを与える」ビジュアルなどがある。

ドリームボードに関して、チェースがもっとも期待を寄せているのは、Pinterestが顧客の意図を垣間見せてくれる点だ。ボニタティバス氏によれば、顧客はドリームボードを利用したからといって、そう簡単に説得できるわけではない。そのため、チェースが成功の指標とするのは、コンバージョンではなくインタラクションだ。ちなみに、チェースがPinterestを利用してローン商品を売り込むのは、これが2度目だ。2017年には、プロモーテッドビデオピンを使って抵当住宅ローンを宣伝した。同社によれば、このビデオピンの滞在時間は、2017年のビデオピンを利用したPinterestキャンペーンすべての平均よりも、39%長かったという。

Pinterestユーザーが大挙してローン申請することはないにしても、チェースは彼らの関心を、プログラマティック広告のターゲティングに利用できると、ボニタティバス氏はいう。加えて、実際にコンバージョンが発生するのは、コンテンツを利用し、ターゲット広告を提示された見込み顧客に、メールが送られた後になる可能性もある。同社によれば、正式発足の前の2週間のプレリリース期間で、1000人のユーザーがアンケートを最後まで埋めたという。

理にかなった2社の提携

住宅リフォーム用ローンを宣伝したいチェースにとって、Pinterestはぴったりの選択だと、アップアニー(App Annie)でマーケット分析責任者を務める、アミール・ゴードラティ氏はいう。Pinterestは、DIYやリフォームの計画に予算面の条件を付け加え、顧客が計画を実行に移すのを後押しする役割を果たすからだ。

「このプロジェクトでの2社の提携はきわめて理に適っている。Pinterestは発見に重きをおいている」と、彼はいう。「実行のためのハードルを下げると言ってもいい」。

このキャンペーンはまた、チェースがマーケティングにおいて、利率など商品付帯条件を前面に出す従来のやり方ではなく、小売的なアプローチを採用していることの表れでもある。

「これはいわば、大規模小売が主導権を握る世代に向けた戦略だ。単に『メールアドレスを入力してください』というのではなく、『夢の住宅リフォーム計画をお手伝いします』と語りかけるのだ」と、ヒュージ(Huge)でペイドソーシャル担当アソシエイトディレクターを務める、マーク・シツマ氏はいう。「ユーザーがPinterestボードを見た20分後にウェブサイトに飛ぶことは期待できない。だが、Pinterestからのトラフィックであれば、(銀行側は)情報を顧客関係管理システムに取り込んでトラッキングできる。もしかしたら、4カ月後にそれがローン契約につながるかもしれない」。

Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:ガリレオ)