カナダグース(Canada Goose)は初となるサステナビリティレポートを2019年に公開した。同ブランドはこのフォローアップの内容を含む、2020年版のレポートを4月15日に公開。2019年に設定した目標の進捗状況のほか、2025年までの達成を目指す目標も新たに立てている。
カナダグース(Canada Goose)は初となるサステナビリティレポートを2019年に公開し、持続可能性への取り組みについて注目すべきコミットメントを数々示した。同ブランドはこのフォローアップの内容を含む、2020年版のレポートを4月15日に公開。2019年に設定した目標の進捗状況のほか、2025年までの達成を目指す目標も新たに立てている。
同社の事業によって生じた二酸化炭素(CO2)の200%の量を相殺(カーボンオフセット)するなど、取り組みには進歩がみられる。ブランドがサステナビリティの具体的な目標を設定し広く公開することで、取り組みの方向性が明確になるというメリットが証明された形だ。カナダグースで重点的に投資しているのは、カーボンオフセットと再生材料だが、毛皮の使用を停止するかどうかは示唆されていない。
その代わりに同社が年内に注力する主な取り組みは、在庫にある全商品を調べ、綿やナイロン、ポリエステル、ダウンなどを含むすべての材料をよりサステナブルな材料に置き換える方法を探ることだと、ニアム・マクマナス氏(デザインディレクター)とギャビン・トンプソン氏(コーポレートレスポンシビリティ担当バイスプレジデント)は挙げる。マクマナス氏によると、同チームではPFM(preferred fibers and materials、推奨される繊維や材料)という用語を使用しているという。
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サステナビリティを強調すること
同社では今年1月、PFMを初めて商品に本格導入した「エクスペディション パーカ(Expedition Parka)」を発表した。このパーカにはリサイクルポリエステル、染料を使っていない生地、顧客から買い戻して再生したファーを用いることで、カーボンフットプリント(調達や生産などを通じたCO2排出量)は30%減、ウォーターフットプリント(調達や生産などで消費・汚染された水の総量)は65%減を実現した。
「我々のすべての商品を調べ、どのようにすれば、もっとも大きなインパクトを与えられるか考えた」とマクマナス氏。「エクスペディション パーカ(同ブランドでもっとも人気のあるモデルのひとつ)をまったく新しい、よりサステナブルなモデルに置き換えるような施策が、目標に向かって強力に進めることとなる」
同ブランドの2019年の目標には、ブルーサイン(Bluesign、繊維業界において持続可能なサプライチェーンを経た製品を認証する)の原材料規格に参加することが掲げられていた。ブルーサインの認証を得た生地を、2025年には90%までに到達させることが目下の目標で、トンプソン氏によるとすでに45%に達しているという。多くのブランドはグリーンウォッシュだと批判されることを避けるため、サステナビリティの目標にある程度の進展がみられるようになってから発表するようになっている。
総売上高は、前四半期比で5%増
特にファーについては、同ブランドは今後も使用を継続するが、新しいファーではなく再生ファーに軸足を移していく。またすべての商品について、ファーなしで購入できるオプションも用意したと同氏は述べる。2021年初頭の時点では、フード縁の取り外し可能なファーと、その量に応じたギフト券を交換できる売り戻しキャンペーンを実施。目標は2022年までに、再生ファーに完全移行することだという。
「新しいファーの仕入れを終了することを、我々は約束する」とトンプソン氏。ファーの問題には「迅速に取り組んでおり」、2022年までの目標は達成を見込んでいると補足した。
カナダグースは、フード縁にあしらわれたコヨーテのファーが特徴で、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International)などの団体から残虐だと批判されてきた。4月上旬にはサックス・フィフス・アベニューが毛皮製品の販売停止を発表するなど、最近は多くのファッション大手がファーフリー(毛皮を扱わない)を推し進めている。
サステナビリティを強調することで、ブランドの財務面への悪影響はなかった。2月に発表された最新の収益報告書によると、オンラインでの売上は40%増で、特に中国での成長がめざましい。総売上高は前四半期比5%増、4億7400万カナダドル(約428億円)に達した。
[原文:Canada Goose sets ambitious sustainability goals, but stops short of going fur-free]
DANNY PARISI(翻訳:田崎亮子/編集:長田真)