テレビを離れて、 ストリーミング 動画を試す 広告主たち

ストリーミング動画が人気を博すなか、イギリスの菓子・飲料メーカーであるキャドバリー(Cadbury)は、ストリーミングサービスにおける広告配信を試みている。同社は最新キャンペーンでテレビCMを削り、そのかわりにYouTubeやFacebook、Amazonプライムなどで広告を展開する予定だ。

同社のブランド、クリームエッグ(Creme Egg)の広告を見ても、英国では1月からイースター(今年は4月12日)にかけて、テレビCMは放映されない。

キャドバリー・クリームエッグのブランドマネージャーを務めるラファエル・キャピターニ氏は「テレビはメディア計画に含まれていない」と明確に述べている。同ブランドの広告はFacebook、YouTube、Amazon、屋外広告といったチャネルで展開される。さらにAmazonのサイトで流すだけでなくIMDbやFireTVのサービスにも登場する予定だ。Amazonはこのキャンペーン用に2本の短い動画を制作した。この動画は、Amazonプライムのストリーミングサービスで流される。

キャピターニ氏は、各チャネルの予算の振り分けの具体額は明かしていない。だが、テレビで削られた予算のうち大きな額が、FacebookとYouTubeに向けられているとのことだ。

テレビなしでどれだけできるか?

またキャドバリーの予算全体に増減はないという。2017年、同社はイースターに向けてチョコレート製品キャンペーンを行い、その支出は全体で1000万ポンド(約141億円)だった。そのうち400万ポンド(約56億円)がクリームエッグに使われている(今年の支出額については同社は明かしていない)。

「YouTubeとFacebook、屋外広告でリーチを最大限獲得したい」とキャピターニ氏は語る。

これらの広告は、イーターテインメント(Eatertainment)というクリームエッグ独自のストリーミングサービス用に制作された映画やシリーズ番組の予告編のなかで、ほかの倍の頻度で配信される予定だ。従来型テレビ広告枠の供給が横ばいとなっているいま、テレビ視聴者をめぐるストリーミングサービスの争いは加熱している。それを受けて、キャドバリーは通常のCM以外の動画広告を模索しているのだ。

「テレビを今後一切利用しないというわけではない。だが従来型のテレビは視聴者が減少している。現状、テレビなしでブランドとしてどれくらいできるかを知る必要があるのだ。それにより、将来テレビ業界が細分化したときでも優れたバランスを見極められるようになる」とキャピターニ氏は語る。

ネットユーザー向けのコンテンツ

イーターテインメントはクリエイティブエージェンシーのエルビス(Elvis)が制作した20本の動画を配信する。内訳は、7分間の動画が2本、1エピソードが2分のシリーズ動画が2種類となっている。その内容はマインドフルネスや、特定の音が心地よさを感じさせるASMRなどとなっている。キャピターニ氏は、動画はクリームエッグの一番楽しい食べかたについて話題を喚起することを狙っているという。

キャドバリーのような消費財の企業が、小規模なメディアプランにテレビを含めないのは珍しいことではない。だが、イースターなどの主要な販売期間中に、こうした試みが行われるのはまれだ。

「クリームエッグのキャンペーンは4カ月だ」と、キャピターニ氏は語る。「この短い期間で、10年間変わることのない商品への期待感を高め、売上を伸ばすというのは大きなプレッシャーだ。そんななか、最善の方法がデジタルと屋外広告にリソースを集中することだったのだ」。

他社も同様にテレビ離れの動き

広告主はストリーミングサービスでオーディエンスにいかにリーチするかを競い合っている。サブスクリプションでも、広告付きの配信サービスでもそれは同様だ。P&G(Procter & Gamble)やバドワイザー(Budweiser)など、一部の広告主は広告抜きのサービスでも番組のなかで商品を登場させたりタレントを活用したりといった販促を行っている。一方、ハイネケン(Heineken)やデュラセル(Duracell)はロク(Roku)Amazonが構築した動画広告商品を利用している。

スペシャリストワークス(Specialist Works)のオーディオビジュアル部門でグループディレクターを務めるグレゴー・チャルマース氏は「ストリーミングサービスの成長と増加により、広告市場ではデータ主導の気運が高まっている」と語り、次のように述べた。「従来のプラットフォーム以外のコンテンツを利用する消費者が増えた。それにともない、スカイ(Sky)の主導でアドレッサブルTVが登場したが、ITVやチャンネル4(Channel 4)も従来のテレビ向けキャンペーンにおいて新たな購入ルートを開拓しつつある」。

Seb Joseph(原文 / 訳:SI Japan)