こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です ※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります 従来のようにモールに向かうにせよ、自宅のソファーに […]
こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります
従来のようにモールに向かうにせよ、自宅のソファーに座ったまま商品を探すにせよ、感謝祭(11月24日木曜日)からサイバーマンデー(11月28日月曜日)までの5日間に過去最高の数の人々がショッピングを行った。
全米小売業協会(National Retail Federation、NRF)、Adobe Analytics、小売専門家らによる初期の見解によると、ブラックフライデー(11月25日金曜日)の週末に買い物客の数が増え、支出額も増加した。
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この時期は、インフレの影響を受け、過去2年間のロックダウンや、在庫と配送の困難に対処するために便利なショッピング方法を探している人が多いため、割引、対面ショッピング、モバイル注文のすべてが大幅な増加を記録した。
Adobe Analyticsは、ブラックフライデーの支出額が前年比で2.3%増加し、91億2000万ドル(約1兆2500億円)に達したと報じている。サイバーマンデーの売上は前年比で5.8%も急増し、113億ドル(約1兆5500億円)となった。これらの数字はインフレの調整を行っていないため、支出額の増加は、少なくとも部分的には物価の上昇に起因していることになる。
NRFのプレジデント兼CEOを務めるマシュー・シェイ氏は次のように述べている。「この週末を見れば、これがはるかに販売を促進する環境になっているのは明らかだ。外出してショッピングを行い、実際に出向いて物事を行うという、パンデミック前のような行動への復帰が伝統的と感じられただけでなく、そのプロモーションもより伝統的で、2019年のホリデーシーズンのように感じられた」。
ブラックフライデーからサイバーマンデーまでの活動の詳細と、それがホリデーシーズン期間中の小売業者に何を示唆するのかについて、以下に記す。
1億9670万:買い物客の総数
このショッピング期間は参加者数が過去最高となり、1億9800万人近くの買い物客が店頭または対面で商品やギフトを買い求めた。
今年はインフレが進んでいるため、売上高をドルで見ると伸びているように見えるが、買い物客の総数からは「一般的な信頼」が見てとれると、シェイ氏は述べている。
多くの買い物客は、伝統的なクリスマス・ショッピングに対する需要を溜め込んでいるのだろう。そして、インフレを懸念する買い物客は、ギフトの代金を支払うために貯蓄を取り崩す可能性があると、同氏は述べている。ホリデーショッピングの買い物でクレジットカードを使う人は約38%にのぼると、シェイは述べている。
同氏は次のように述べている。「過去最高の数の消費者が買い物にくり出し、過去最高の金額を買い求めている。これらの消費者は明らかに、自分たちの収入と支出との相違や不足分を補填する方法を見つけている」。
1億2270万:実店舗を訪れた人々の数
この週末に実店舗を訪れた人々の数は、昨年の1億500万人から17%増加した。
この客数の増加は、パンデミック前の客足の復活を表している。2019年のブラックフライデーの週末には1億2400万人の人々が店内で買い物をし、2018年も同様だった。
この成長の一部は、コロナウイルスのパンデミックに関連する規制や健康への懸念が減少したことで促進されたものだと、シェイ氏は語る。また、在庫の問題である可能性もある。昨年のこの時期に比べて、店舗が商品の在庫を用意している可能性が高いからだと、同氏は述べている。
「人々はこうした体験を懐かしみ、今年も大挙して押し寄せてきたのだ」と、同氏は述べる。
86%:このホリデーシーズンにより多くのセールを期待している買い物客の割合
ブラックフライデーという重要なイベントを乗り切ったからといって、小売業者が大幅な値引きを控えるとは限らない。NRFによると、買い物客10人のうち9人近くは、今シーズンの残り期間に大きなセールを期待している。
シェイ氏は、この結果について「買い物客がこれらの機会を探し求め、エンゲージを続け、次の4週間もショッピングに出かけることで、継続的な推進力が生まれる」と述べている。
これに対して、小売業者はオンラインでも店内でも一貫したセールやプロモーションを行うとともに、「利便性を提供するため、あらゆる努力を惜しまない」ことが必要だと、同氏は述べている。
「消費者がショッピングに出かけるのは、良いセールを目にしたときや、自分が探しているものと一致するプロモーションを得たときだ。つまり、これらの消費者消費者を惹きつけるには、価値と価格を提供することが必要だ」と、同氏は述べている。
eコマースソフトウェアプラットフォームのパックビュー(Pacvue)の共同創設者でプレジデントを務めるメリッサ・バーディック氏は、多くの人々は良いセールに期待してブラックフライデーまで買い物を待っていたと語る。これは時には、「カートで待機」、つまりオンラインのショッピングカートに商品を入れたあとで、新しいセールがはじまるまで注文を待つような行為となった。
「今年の勝因のひとつは、『割引』だった。割引しなければ、人々は買い物をしない」と、同氏は述べている。
59%:サイバーマンデーの買い物客のうちモバイルを使用していた割合
サイバーマンデーにオンラインで買い物をした客は約7700万人で、その大多数はスマートフォンを使用していた。NRFは、サイバーマンデーにオンラインで買い物をした客のうち4570万人がモバイルデバイスを使用しており、2021年の3980万人から増加していることを明らかにした。
パックビューのバーディック氏は、この傾向から、小売業者はモバイルページを最適化し、いつでも閲覧可能な状態になっていることを確認する必要があると語る。これには、プロモーションを簡単に見つけてモバイルページに表示できるようにすることや、商品のメーカーがリスティングに合わせてさまざまな画像やビデオを掲載していることを確認することも含まれる。
「管理面においては、画像が確実にモバイル用に最適化されているか、ピンチして表示できるかを確認することだ」と、同氏は述べている。
9億4260万ドル(約1290億円)から9億6040万ドル(約1320億円):ホリデーの合計売上額の予測
NRFは、12月31日までのホリデーセールシーズンが昨年よりも6%から8%増加し、過去最高になると予測している。しかし、この支出のすべては、より必要不可欠なアイテムや、値引きされたものに集中するかもしれない。
「消費者は1年中セールや割引を探し求めており、ホリデーシーズンも同じなのは明らかだ」と、シェイ氏は述べている。
NRFによる調査の対象になったホリデー週末の買い物客のうち、50%は衣服とアクセサリを購入した。約3分の1はおもちゃを、27%はギフトカードを、24%は電子機器を購入した。
パックサンのバーディック氏は、ゲーム機の大きなリリースがなかったために、電子機器の売上は以前の年よりも鈍っている可能性があると語る。また、人々はより実用的で不可欠なアイテムの購入に移行している。たとえば、昨年のAmazonでもっとも多くクリックされたブラックフライデーのセールは200ドル(約2万7400円)のラップトップだった。今年は6ドル(約822円)のレギンスだったと、バーディック氏は語る。
「消費者は、欲しいものではなく必要なものを買い求めており、セールになるまで購入を控えている」と、同氏は述べている。
[原文:By the numbers: What Black Friday trends tell retailers about the rest of the holiday season]
MELISSA DANIELS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Ivy Liu