ラグジュアリーブランドは、中国で急成長しているメッセージングアプリ「WeChat(微信)」に、どんどんリソースを割いている。
6億人のユーザーに直接プロダクトを販売することができる「WeChat」。中国の消費者1500人を対象にした、2016年のベインアンドカンパニーの調査によると、なんと60%の消費者がラグジュアリー商品に関するオンライン情報は「WeChat」と「Weibo(微博:中国版のTwitter)」から得ていると回答。ブランド各社が「WeChat」に力を入れているのは当然だ。
この記事ではバーバリー、コーチ、シャネルの「WeChat」利用法を紹介する。
ラグジュアリーブランドは、中国で急成長しているメッセージングアプリ「WeChat(微信)」に、どんどんリソースを割いている。
6億人のユーザーに直接プロダクトを販売することができる「WeChat」。中国の消費者1500人を対象にした、2016年のベインアンドカンパニーの調査によると、なんと60%の消費者がラグジュアリー商品に関するオンライン情報は「WeChat」と「Weibo(微博:中国版のTwitter)」から得ていると回答。ブランド各社が「WeChat」に力を入れているのは当然だ。
この記事ではバーバリー、コーチ、シャネルの「WeChat」利用法を紹介する。
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バーバリー(Burberry)
ファッション業界のなかでは、もっともデジタルに精通していると広く認識されているのが、バーバリー(Burberry)だ。同ブランドがパートナーシップを結んでいるのは、Snapchatの「ディスカバー」やApple Music、インスタグラム、そして「WeChat」と幅広い。バーバリーにおける「WeChat」の利用方法は、新商品やトレンドプロダクトの告知、また公式サイトへの誘導としてリンクの掲載などが挙げられる。
また、クラシックスタイルの紹介や過去のイベントの振り返りで、ノスタルジックな演出も試みている。たとえば、そこで、伝統ある「ヘリテージトレンチコート」の歴史について知ることができたり、2014年にオープンしたバーバリーの4つ目のフラグシップショップのファッションショーを360度映像で振り返ることができるのだ。上海のフラグシップは、アジアで最大の大きさを誇る店舗となっている。

WeChatのユーザーはデバイスを動かすことで華やかなショーを360度楽しむことができる。
バーバリーはまたカスタマーサービスにも「WeChat」を活用している。筆者がバーバリーの「WeChat」アカウントにメッセージで北京での最近のセールについて質問をしたところ、24時間以内に返答がきた。

WeChatにおけるバーバリーのカスタマーサービス
さらに各地域のイベントに関連した「WeChat」キャンペーンも展開。2016年1月6日から19日にバーバリーは、旧正月(2月8日)のためのギフトコレクションを披露した。「WeChat」ユーザーにはゴールドのラッピングが施された筒状のギフトの写真が送られ、「振ったり、クリックしたり、スワイプして開けてみて下さい」と伝えられた。

旧正月キャンペーン
ユーザーは筒のなかの手紙を「開いて」読むことができ、メッセージをカスタマイズして友人・知人に送ることもできた。カスタマイズするオプションを選ぶと、バーバリーのカシミアマフラーの色をセレクトしたうえ、文面作成、そして友人に送付できる。

挨拶文を作る画面
そうやってカードを送った後、「WeChat」上でバーバリーの旧正月コレクションから買い物できる仕組みになっている。またキャンペーン参加者たちは皆、バーバリーの限定封筒を抽選で当てることができた。当選者たちが封筒を店頭でピックアップすることで実店舗への客足を増やすこともでき、売上も促進することができるのだ。
コーチ(COACH)
バーバリーが「WeChat」を主にコンテンツマーケティングとカスタマーサービスに活用しているのに対し、コーチは製品のプロモーションとロイヤリティプログラムに重きをおいている。L2のリサーチによると、ファッションブランドのたった17%、時計・宝石ブランドの16%しか「WeChat」でのロイヤリティプログラムを実施していない。
ユーザーがコーチの「WeChat」アカウントをフォローすると、電話番号を入力してメンバー登録するよう促される。登録者には抽選でコーチのバッグが当たるという。メンバー専用のセクションでは、メンバーシップカードを管理し、限定のオファーを見ることができる。

メンバー登録を促す画面
ロイヤリティプログラムのほかには、「店舗発見(Discover Stores)」というメニューを使うと、ユーザーはコーチの公式サイトに飛ばされ、そこで地図を使って、最寄りの店舗を見つけることができる。2015年6月の時点でコーチは、日本、中国、韓国、台湾、マレーシア、シンガポールに500以上の直営店を展開している。
「WeChat」と「Weibo」を公式サイトとつなげる点でもコーチはうまい。たとえば2015年の母の日には、#MyFirstCoach(私の最初のコーチ)というキャンペーンを行った。それは多くの娘にとって、母親が人生ではじめての指導者・コーチであるという点にスポットライトを当てたものだった。「Weibo」のユーザーたちは自分と自分の母親が一緒に写った写真をアップロードし、写真がコーチのホームページに掲載されたら、同社の腕輪がプレゼントされた。

WeChatにおける#MyFirstCoach キャンペーン
コーチはこの#MyFirstCoachキャンペーンをプロモートするためにモーメント広告も買っている(モーメント広告の最低価格は約330万円になる)。L2のリサーチによると、このキャンペーンによってコーチの「WeChat」フォロワーは3万5000人増加し、5000人からのサブミッションと200万インプレッションを3週間で達成した。コーチは父の日にも似たキャンペーンを行っている。
シャネル(Chanel)
バーバリー同様、シャネルも「WeChat」をコンテンツマーケティングに活用している。しかし、シャネルはバーバリーやコーチのようにサービスアカウントではなく、サブスクリプション(購読)アカウントを擁する数少ないラグジュアリーブランドだ。

ユーザーはそれぞれのスタイルをクリックすると詳細が見られる
サブスクリプションアカウントにすることでシャネルは、コンテンツをより高い頻度でポストできる代わりに、コマース機能へのアクセスは制限される。シャネルはアカウントを通じてプロダクト情報、ブランドの歴史、ファッションテスト、イベント、メイクアップアドバイスに、会社のニュースを届けるミニサイトのような物を作り上げた。そこでは文字ベースの記事もビデオコンテンツも両方届けられる。

ファッションテスト
これによってシャネルはユーザーが馴染んでいるアプリから離れることなく、エンゲージすることができている。
Yuyu Chen(原文 / 訳:塚本 紺)
Homepage images via Burberry and Chanel.