コロナ禍によって急激に減っていた結婚式だが、5月には大きく復活を遂げるべく、結婚式業界は準備を進めている。そのため、ブライダルブランドや小売業者は、この急増に備えて準備を進めている。一方、以前は参入していなかったブランドたちも、ブライダルに進出することで、より多くの売り上げを得るチャンスを期待している。
コロナ禍によって急激に減っていた結婚式だが、5月には大きく復活を遂げるべく、結婚式業界は準備を進めている。多くの人がワクチン接種を受け、気候が温暖になることで、結婚式や人の集まりがより実現しやすくなるだけでなく、昨年延期された多くの結婚式が夏に予定されている。つまり、2年間の結婚イベントが1シーズンに詰め込まれることになる。
2月に発表した調査によると、2021年には2020年に比べて結婚式の件数が47%増加する見込みだとザ・ノット(The Knot)は述べている。そのため、ブライダルブランドや小売業者は、在庫を増やしたり、マーケティングを強化したりすることで、この急増に備えて準備を進めている。一方、以前はブライダル分野に参入していなかったブランドたちも、この波に先駆けてブライダルに進出することで、より多くの売り上げを得るチャンスを期待している。
結婚式に焦点を当てたエディトリアルサイトのオーバー・ザ・ムーン(Over The Moon)は、125以上のブランドと4000のプロダクトを持つeコマースプラットフォームを9月にローンチした。創設者のアレクサンドラ・メイコン氏によると、パンデミックは当初、売り上げを妨げたが、自宅の庭での即席結婚式を行う顧客向けに、より手頃な価格で夜間に配送されるドレスの売り上げを伸ばすことに成功したという。そして今、6月と7月には本格的な結婚式が復活すると予想している。その準備として、メイコン氏と共同ファウンダーのエミリー・ギラーガ氏は3月22日、キュレーションされたウェディングレジストリ(結婚式祝いの登録表)をローンチした。キッチン用品のような従来から結婚式祝いで人気のプロダクトに加えて、これまでブライダル分野では販売してこなかったブランドの高級ファッションプロダクトも含んでいる。
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「現在は伝統的なブライダルブランドと新しいブランドに分かれているが、一般的な既製服、ジュエリー、アクセサリーのブランドから多くの関心が寄せられており、彼らはブライダル分野が今年のビジネスの主要な原動力になることに気づき始めている」と、ギラーガ氏は述べた。
コロナ禍で変わった消費者行動
メイコン氏によると、結婚式が復活する一方で、花嫁が買い物をする方法、特にスケジュールが変わったという。パンデミックの前は、実際の結婚式の7カ月前にドレスを購入していた。今では、それよりももっと式日程に近い時期まで待っているという。
ビジネスの10%が花嫁顧客と結婚式が牽引していると述べる寝間着ブランドのモーガン・レーン(Morgan Lane)は、結婚式の売り上げがまだあったにもかかわらず、2020年の結婚式の広告を完全に中止した。これは、結婚式が延期された顧客に対して無神経だと思われないようにするためだと、創設者のモーガン・カーティス氏は述べた。現在同社には、顧客の結婚式で得られたユーザー生成・広告コンテンツの蓄積があり、結婚式の大部分が戻ってくると予想している5月からそれらをリリースする準備ができている、と彼女は言った。
この記事のために話を聞いたブランドのなかで、昨年の結婚式のキャンセルで失った収益を正確に述べることはなかったが、キャンセルと延期が売り上げにマイナスの影響を与えたとすべてのブランドが言った。
敏捷なチームを持つことが重要
ディヴィッズ・ブライダル(David’s Bridal)のようなブライダルプラットフォームもマーケティングを強化し、新たなパートナーシップを構築している。先週同社は、メンズスーツ・レンタルサービスのザ・ブラック・タックス(The Black Tux)との提携を立ち上げた。現在ザ・ブラック・タックスは、ディヴィッズ・ブライダルの独占メンズ部門のプロバイダーであり、全米280以上の同社店舗に出店している。
ディヴィッズ・ブライダルで戦略的パートナーシップ部門の責任者、かつバイスプレジデントを務めるマギー・ロード氏によると、結婚式が急増するよりもずっと前から、同社の新しい取り組みであるダイアモンド・ロイヤルティ・プログラム(Diamond Loyalty Program)を実施するように確信を持って進めていたという。このプログラムは、同社を通じて結婚式の計画を立てることを顧客に奨励するポイントと賞品を提供するもので、12月に開始されたが、今年後半に結婚するカップルをターゲットとしていた。
ブラック・タックス(Black Tux)のアンドリュー・ブラックモン最高経営責任者によると、結婚式の急増に備えてすべてのウェディング企業がサプライチェーンとマーケティングに多額の投資をしているという。ブラックモン氏によると、ブラック・タックス社では、6月に予定されているレンタルの増加がようやく見え始めたところだという。これを受け、同社は保有する在庫量を増やしている。ブラック・タックスの在庫は昨年の同時期より50%増えた。
「昨年は、敏捷なチームを持つことの重要性を示してくれた」 とブラックモン氏は言った。「需要が完全に落ち込み、その後、散発的に戻ってきた場合には、迅速に人員をシフトすることが助けとなる。需要が高まったときには臨時雇いを採用し、必要なときに必要な場所にすぐに出荷できるように、倉庫ではより多くの人員を採用している。(需要は)また州によって大きく異なる。カリフォルニアとニューヨークはほとんど結婚式を挙げず、すぐには再開しないだろうが、テキサスとフロリダは、事実上、すでに完全なボリュームに戻っている」。
[原文:Bridal fashion brands are gearing up for the return of weddings]
DANNY PARISI(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)