2012年のロンドン五輪は、米国テレビ史上最多の視聴者数を記録したイベントだった。だが、それから4年たち、ソーシャルメディアの世界は劇的に進化した。
FacebookとTwitterが従来のメディアに肩を並べる一方、Snapchat(スナップチャット)はライブストリーミングの一大勢力に成長した。一方、米国におけるソーシャルメディアユーザーの数も、全プラットフォームの合計で10%増加した。8月5日に開幕したリオ五輪がどのように視聴されるかを、5つのグラフから読み解いていこう。
4年という歳月は、インターネットの世界では永遠にも等しい。
2012年のロンドン五輪は、米国テレビ史上最多の視聴者数を記録したイベントだった。だが、それから4年が経ち、ソーシャルメディアの世界は劇的に進化した。
FacebookとTwitterが従来のメディアに肩を並べる一方、Snapchat(スナップチャット)はライブストリーミングの一大勢力に成長した。一方、米国におけるソーシャルメディアユーザーの数も、全プラットフォームの合計で10%増加した。
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「オリンピック開催のたびに、同じ見出しが踊ることになる。それは『史上もっともソーシャルメディアを巻き込んだ大会』というものだ」と語るのは、スポーツマーケティング・エージェンシーのオクタゴン(Octagon)でコマーシャル・コンサルティング責任者を務めるダニエル・ハダッド氏だ。「とはいえ、2012年以降、主要な視聴習慣は確実に変化した」。
これを念頭におきつつ、8月5日に開幕したリオ五輪がどのように視聴されるかを、5つのグラフから読み解いていこう。
在宅観戦
ジカ熱が流行している状況で、現地で観戦する旅行者のフライト予約は伸び悩んでいる。あまりの低迷ぶりに、リオ五輪は「在宅観戦オリンピック」と揶揄されるほどだ。2014年のサッカー「FIFAワールドカップ」ブラジル大会よりも来訪者は少ない。だが、現地観戦客の減少が予想される一方、変わらないこともある。王者として君臨するのは、相変わらずテレビの生中継なのだ。
ライブストリーミングやソーシャルプラットフォームの台頭にもかかわらず、複数の消費者調査から、視聴者はほかのプラットフォームよりもテレビ中継を好んでいることがわかった。
保険会社アリアンツ(Allianz)が最近実施した調査は、消費者の60%以上がリオ五輪をテレビ観戦する予定であり、オンライン視聴を予定している消費者は8.5%にすぎないことを示している。最下位は、ペリスコープ(Periscope)やSnapchatといったライブストリーミングプラットフォームだった。
「人々がいずれテレビのスポーツ生中継を見なくなる、との悲観的予測も存在するが、我々の予想は、オーディエンスが非常に多くなるというものだ」と、ハダッド氏。「ドラマやニュースとは違い、スポーツの視聴は依然としてテレビの役割だ」。
ただし2012年以降は、テレビを見ながらモバイルデバイスを使用する人々、いわゆる「セカンドスクリーナー」が急激に増加してきた。したがって、たとえリアルタイムの情報をソーシャルメディアから得ていなくても、ソーシャルメディアを使っていないとは限らない。
金はFacebook、銀はTwitter
リオ五輪におけるソーシャルメディアの主な役割は、ほかのスポーツイベントと同様、大会のハイライトにリアルタイムで反応するコメントの場ということになる。視聴者はまた、ソーシャルなプラットフォームを通して、生中継にチャンネルを合わせるタイミングを知ろうとしているようだ。
「いまでは、イベントを最初から最後まで座って見たいという人は減っている」と、ハダッド氏は指摘する。「むしろ、試合中のハイライトの前後にオーディエンスが急増すると我々は予測している。金メダルの行方が決まる瞬間にしか興味がないのなら、それまで2時間も座して待つ必要はない」。
Twitterは五輪のツールを強化しているものの、もっとも使われるプラットフォームはFacebookになるだろう。
ブランドマーケティング支援のクラウドタップ(Crowdtap)が実施した調査によると、視聴者の86%がセカンドスクリーンでFacebookを利用し、Twitterとインスタグラムがこれに続くという。
「テレビ中継での出来事と同時に盛り上がる場所は、依然としてTwitterだ。ただし、長いディスカッションについては、Twitterだと散らかってしまうが、Facebookならまとまりやすい」と、ハダッド氏は語る。
ダークソーシャルの台頭
Facebookは2012年当時も存在していたが、この4年間に台頭したのは、「ダークソーシャル」と呼ばれるプライベートメッセージングのプラットフォームだ。アドプラットフォームのレイディアムワン(RadiumOne)の調査によると、消費者の74%はダークソーシャルでコンテンツを共有し、24%はダークソーシャル以外ではコンテンツを共有しないという。以下のグラフは、通常のソーシャルのチャネルとともに、ダークソーシャルのチャネルの内訳を示している。
これらのダークソーシャルチャネルでは、五輪関連コンテンツの共有がすでにはじまっている。しかも多くの競技では、こうしたチャネルがコンテンツ共有の大多数を占める。レイディアムワンの英国での分析によると、五輪サッカー関連コンテンツの実に85%が「WhatsApp(ワッツアップ)」やFacebookの「Messenger(メッセンジャー)」といったダークソーシャルで共有されたという。
ダークソーシャルでシェアされた割合が高い競技には、ほかにも自転車、ラグビー、ゴルフなどがある。
YouTubeのロングテール
大会そのものは2週間で終わってしまうが、オリンピックのデジタルな「第2の人生」は長い。YouTubeなどのプラットフォームには、大会に関連する多数のハイライト、マッシュアップ、プレイリストがあふれる。モバイルデバイス上での五輪コンテンツ視聴も増えている。
YouTubeの最近のレポートによると、同サイトの五輪コンテンツのうち、モバイルで視聴される割合は現在65%になっているという。モバイルの比率がもっとも高い国はサウジアラビアで、87%を占めている。
Grace Caffyn(原文 / 訳:ガリレオ)
Image from Thinkstock / Getty Images