複数のブランドがFacebook上でリアルタイムプロモーション機能を試し、ターゲティングしたユーザーをライブ動画配信に注目させている。彼らのプロモーション動画広告は、ライブストリーミングの最中にニュースフィードに表示される。その現状と今後について、レポートする。
複数のブランドがFacebook上でリアルタイムプロモーション機能を試し、ターゲティングしたユーザーをライブ動画配信に注目させている。彼らのプロモーション動画広告は、ライブストリーミングの最中にニュースフィードに表示される。
テキーラメーカーのホセクエルボ(Jose Cuervo)は、「マルガリータの日(National Margarita Day)」の2月22日、エージェンシーのCP+B L.A.と組んでFacebookライブ動画のリアルタイムプロモーションを実施。メッセージがコアターゲットに届くよう、事前に設定したオーディエンスのセグメントをターゲティングし、総視聴数13万5878回を記録した。
また、ソーシャルメディアエージェンシーのランドリー・サービス(Laundry Service)は、最大級のクライアントの製品ローンチに向けて2月下旬、やはりライブ動画のリアルタイムプロモーションを実施。SS+Kやブルーファウンテンメディア(Blue Fountain Media)など、ほかのエージェンシーもこのところ、さまざまなクライアントのためにリアルタイムプロモーションを試したり、テストの準備したりしている。
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「規模」で広告主を魅了
Facebookライブ動画のリアルタイムプロモーションは現在、オークションに基づくCPM(インプレッション単価)で販売されていると、匿名希望のエージェンシー幹部2人は語った。ただ、そのうち1人によると、Facebookライブ動画への支出の増大が必須なことから、CPMが高く(平均6ドルに対し56ドル)、ビューレートは低い(平均25%に対し15%)。その結果、視聴単価(CPV)はかなり高くなっている(平均0.01ドルに対し0.36ドル)という。
「ライブ動画のリアルタイムプロモーションにより、我々はライブ動画の視聴回数を増やせるようになった。視聴回数が増えるのはいつだって良いことだ」と、ランドリー・サービスの戦略担当バイスプレジデント、ジェレミー・レオン氏は語る。「非ライブコンテンツを宣伝するプロセスに比べるとまだ洗練が足りないが、少しずつ良くなってきている。私の予測では、すぐに非ライブ動画のプロモーションと同程度の効果になるだろう」。
ブランドは現在、Facebookのライブストリーミングが始まる前か終了後に、スポンサード投稿を通じてライブ動画を宣伝できる。しかし、DIGIDAYがすでに報じたように、Facebookは2016年末から、一部のブランドがライブ動画をリアルタイムで宣伝できるようにしてきた。そうしたブランドのひとつ、ベネフィット・コスメティクス(Benefit Cosmetics)は、これまで配信済みのライブストリーミングも終了後に宣伝してきた。3月には、ブロンザー(ほおなどを褐色に塗る化粧品)2製品の認知度向上のため、Facebookライブ動画のリアルタイムプロモーションを利用する予定だ。
平均視聴時間にも寄与
Facebookライブ動画のリアルタイムプロモーションは、ブランドが注目を集める方法としては割高かもしれない。しかし、SS+Kのシニアデジタルストラテジスト、クラウディア・ククロフ氏によると、Facebookがブランドのオーガニックリーチを数年前に大幅に縮小したことで、Facebookで既存オーディエンスの2%以上にリーチしたければ、有料プロモーションが不可欠になったという。また、Facebookが動画消費量の増大を奨励する方向へ進むなか、ブランドはソーシャルコンテンツを同プラットフォーム向けに最適化することも重要だ。
「我々はこのツールを使い、ある非営利クライアントのために、オーディエンス13%に対して、オーガニックなリーチを達成できた。このクライアントは、次世代の活動家にリーチしてエンゲージすることを目指していた」と、ククロフ氏は明かす。「我々は有料プロモーションで既存のファン基盤を超えて、膨大な数のターゲットユーザーのフィードにリーチできた」。
広告エージェンシーのノース(NORTH)でソーシャルコンテンツのディレクターを務めるスチュワート・パーキンズ氏によると、Facebookライブ動画のリアルタイムプロモーションの効果は、クリエイティブが表示される新規ユーザーを増やすことだけではないという。さらに、大半のブランドにとって2つの中核的なKPI(重要業績評価指標)である、動画視聴数と平均視聴時間もそれぞれ伸ばすというのだ。
認知度の向上に最適
そのうえ、ブルー・ファウンテン・メディアのシニアメディアディレクター、ダベイシュ・シン氏によると、ターゲティングが非常に細かく、年齢などのユーザー属性だけでなく地理情報も重視しているという。したがって、たとえば、特定のロケーションで一定の期間に販促をおこなうレストランのブランドが、その地域のユーザーに向けてライブ動画のリアルタイムプロモーションを実施できる。
「認知度の向上を目指すブランドにとっては、素晴らしいツールだ」と、シン氏は評価する。「たとえ聞いたことがないブランドでも、私に向けて期間限定の魅力的なキャンペーンを案内してきたら、チェックする可能性が高い」。
ただし、リアルタイムプロモーションの最大の利点は別のところにある、とシン氏は指摘する。通常のFacebookライブ動画では、ユーザーがブランドと対話できる一方で、ブランドがすべてのコメントを解析して消費者との関係を発展させるのに使えそうな、十分な機能を備えたツールが存在しない。そこで、Facebookはライブ動画のリアルタイムプロモーションで、フィードされたライブ動画を観た人やコメントした人にブランドが簡単に連絡を取れるよう、インターフェイスの改善に取り組んでいると、シン氏は語る。
インターフェイスの改善
「Facebookライブにこれまで欠けていたのは、システマチックなツールだ。それがないため、ブランドは自社の動画に基づく関係をフォローアップして発展させることができなかった」と、シン氏は指摘する。「しかし、この新しい機能は非常に興味深いものになりそうだし、ブランドがコンバージョンを追跡するのに実際に役立つだろう」。
Facebookの関係者は、この機能を広く提供開始する時期について明言を避けた。
TANYA DUA (原文 / 訳:ガリレオ)