長年にわたり、Twitterをカスタマーサービスツールとして利用してきたブランド各社。通常の苦情からハッシュタグ荒らしまで、さまざまなことに対処している。そんななか9月中旬、米国でTwitterにアップデートが実施され、ブランドと顧客のコミュニケーションが、双方向で大幅に容易になった。
長年にわたり、Twitterをカスタマーサービスツールとして利用してきたブランド各社。通常の苦情からハッシュタグ荒らしまで、さまざまなことに対処している。そんななか9月中旬、米国でTwitterにアップデートが実施され、ブランドと顧客のコミュニケーションが、双方向で大幅に容易になった。
ブランドのアカウントを探しに来たユーザーや、ブランドのタグが付いたツイートやダイレクトメッセージを見ているユーザーには、「Provides support(サポートを提供する)」ボタンが表示される。ユーザーはこれをタップするだけで、ブランドに問い合わせできるようになった。Twitterは数カ月前から、ダイレクトメッセージをアップグレードするなど、マーケター向けにカスタマーサポート機能を改善する取り組みを段階的に進めている。
「今回のアップデートで、Twitterは会社の受付デスクになった。顧客はここを訪れて、適切な部署に案内してもらえる」と話すのは、デジタルエージェンシーのヒュージ(Huge)でソーシャルメディア部門アソシエイトディレクターを務めるケビン・デル・ロザリオ氏だ。「以前は、どこを訪ねたらいいのか誰にもわからない、大ざっぱでわかりにくい場所だった」。
Advertisement
カスタマーサービスの取り組みを強化
最近では、Facebookの「Messenger(メッセンジャー)」とインスタグラムの2つが、ブランド向けのソーシャルカスタマーサービスを提供するチャネルとして存在感を強めている。競争が激しくなるなか、Twitterがサービスを進化させるのは理にかなっているだろう。
実際、デルタ航空(Delta Air Lines)、通信大手のT−モバイル(T-Mobile)、ユナイテッド航空(United Airlines)などいくつかのブランドが、自社のアカウント(@delta、@TMobileHelps、@united)で、この新機能をすでに利用している。新機能では問い合わせ対応時間も表示できるため、ユーザーは返信してもらえる時間を予測しやすくなる。
「Twitterが先ごろ公開した新機能は、カスタマーサービスに注力する彼らの取り組みをさらに強化するものだ」と、ユナイテッド航空でソーシャルメディアおよびコンテンツマーケティング担当ディレクターを務めるK.C.グリーン氏は話す。「こうした機能のおかげで、ユナイテッドが専用のソーシャル対応チームを設けていることを、顧客にすぐに理解してもらえるようになる。加えて、顧客はこれまでよりはるかにすばやく担当部署にコンタクトを取り、問題を早く解決できるようになるだろう」。
T-モバイルのアカウントは6つ以上
Twitterでカスタマーサービス製品責任者を務めるイアン・ケーンズ氏によるとブランドの多くは、さまざまな製品ラインや部署コミュニケーションに利用するために、複数のアカウントを所有しているという。ブランドにとって、こうすることのとりわけ大きなメリットは、カスタマーサポートに寄せられた問い合わせを適切なアカウントに効率よく振り分けられることだ。
たとえば、T−モバイルは、カスタマーサービス関連のすべての問い合わせを@TMobileHelpsで受け付けているが、@TMobileや@TMobileAtWorkといったほかのアカウントも運用している。その理由は、同社のTwitterカスタマーサービスチーム「Tフォース(T-Force)」がTwitterで対応する顧客の数が、1カ月あたり18万人を超えているためだ。
「我々はボットではない。生身の人員のチームが問い合わせを受け、対応している」と、Tモバイルのソーシャルメディアケア担当ディレクター、ミッシェル・マットソン氏は話す。「(Twitterは)カスタマーサービスにとってもっとも重要なツールのひとつだ」。
デルタ航空は1つですべて対応
一方、デルタ航空のアプローチは異なる。同社はカスタマーサービス関連の対応を@deltaというアカウントのみで行っているが、このアカウントはプロモーションやマーケティング関連のあらゆる取り組みにも使われてきた。
以前は、@DeltaAssistという別のアカウントを使って、予約変更、フライト情報、空港情報、そのほかのサービスをリアルタイムで顧客に提供していたという。だが、同社は2016年4月、すべてをひとつのアカウントに集約することにした。
「顧客が必要とするすべてを、ひとつの場所から提供できるようにしたいと考えた」と、カスタマーケアおよびソーシャルメディア担当マネージャーのタミー・ダンカン氏は語る。
Twitterを必要としないブランドも
当然のことだが、すべてのブランドがこの新機能を利用しているわけではない。また、すべてのブランドがTwitterをカスタマーサービスツールとして積極的に利用しているわけでもない。
たとえば、化粧品企業のベネフィットコスメティクス(Benefit Cosmetics)では、Twitterから寄せられるカスタマーサービス関連の問い合わせの数が、カスタマーサービス専用アカウントを必要とするほど多くなったことは一度もない。@TMobileのほかに@TMobileHelpを運用しているTモバイルとは、事情が違う。
「現時点では、自社アカウントをサポート専用アカウントにする計画も、サポート時間を延長する計画もない。我々の大きな目的は、『Benebabes(ベネベイブ)』(ベネフィット製品のファン)にさまざまな話題を提供して彼らと交流することであり、Twitterアカウントをサポート窓口として限定的に利用することではない」と、ベネフィットでソーシャルメディアマネージャーを務めるジンジャー・ペルツ氏は語った。
Tanya Dua(原文 / 訳:ガリレオ)
image by mkhmarketing(Creative Commons)