Amazon の「ストア」機能、検索結果への表示をテスト中:アルゴリズムへの不審が募るなか

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Amazonは、ブランデッドの「ストア(Stores)」を新たに推進することで、企業がより多くの生活者に対し、自社プロダクトを展開しやすくしようとしている。

Amazonストアは事実上、Amazon.com内におけるブランデッドサイトだ。これを利用したマーケターは、競合企業の類似商品をレコメンドされることなく、顧客に対して製品やプロモーションを紹介できる。

Amazonの検索レコメンデーションエンジンに関して、マーケターたちは長年課題を抱えてきた。マッキンジー(McKinsey)によると、Amazon.comにおける2018年の売り上げのうち35%以上は、この検索エンジンのアルゴリズムに起因している。Amazonの売り上げにとって、これは非常に重要であるものの、マーケターたちのそこに対する影響力は最小限しかない。このレコメンデーション機能に関するコントロールが限定されているなかにおいてマーケターたちは、自分たちの製品にマッチした検索ワードでありながらも、競合製品が上位に表示されるリスクがある。

「我々のブランドを検索すると、おそらく我々の競合も表示されるだろう。これは広告主として支出している我々が望む結果ではない」と、DIGIDAYと話してはいけないことになっているシニアマーケターのひとりは語ってくれた。個々のセラーをプロモートするのではなく、Amazonはカタログとベストセラーをプロモートしていると、このマーケターは言う。

ブランデッドストアのページを改善することで、こういった懸念を軽減することがAmazonの狙いだ。現在、検索結果にストアが表示されるべきかどうかのテストを行っている。

「ストア」機能のアップデート

このデザインのモデルを見たエージェンシー・エグゼクティブのひとりによると、ストアは検索結果の一番下に、画像とブランドストアの名前がカルーセル形式で表示されるだろう、とのことだ。スリーパイプ(Threepipe)の新興リテール部門マネージングパートナーであるジョアンナ・ランバジーヴァ氏は、ブランド認知とストーリーテリングキャンペーンに取り組む、Amazonの幅広い試みの一貫が、ストアのプロモーションだ。

Amazonのデベロッパーたちはまた、サイトの見た目をより企業たちがコントロールできるようなアップデートに取り組んでいる。ストアに繋がるコンテンツ管理システム(CMS)を改善することで、より良い画像を導入したり、お気に入りのストアをフォローするオプションを持つことができる。

AmazonがAmazonストアをローンチしたのは2017年。これはマーケットプレイス上でプロダクトとブランドを展示できる、無料のセルフサービスプロダクトとして企業向けに提供された。ほかにも「Amazonストアフロント(Amazon Storefronts)」も存在しており、名前は似ているが、こちらは企業がセール中のプロダクトをリストアップするものとなっている。Amazonストアはマーケットプレイス上におけるブランド専用のスペースであり、入手可能なプロダクトを展示しながら、ブランドのルック&フィーリングを展開することができる。これらのストアの問題点は、企業側が有料広告、もしくは外部の検索経由などを通してオーディエンスを誘導しなければ、見つけることが難しいことだ。

Amazonは本稿に関してコメントを拒否した。しかしAmazonと近い情報源によると、Amazonは常に新しい体験をテストしているという。

アルゴリズム問題の捉え方

ストア機能に関して、これらすべての更新が行われたからといって、Amazonに対する捉え方が変わるには十分ではない。それでもブランド力を使って競争の激しいマーケットプレイスで有利な状況を生み出すことがより容易になるだろうと、ランバジーヴァ氏は言う。加えて、ブランデッドストアはAmazon.com上で唯一、マーケターたちが外部ソースからタグを通じてトラフィックをトラッキングできる場所となっている。

「プロダクト、そしてその周辺プロダクトを備えた、構造がしっかりとしたブランドストアを作ることは、顧客の体験を形作るだろう」と、オムニコム・メディア・グループ(Omnicom Media Group)の新しいeコマース部門であるOMGトランザクト(OMG Transact)でAmazon部門ディレクターを務めるダン・シモンズ氏は言う。「正しい形で遂行されれば、このユーザーの行動は、Amazonの機械学習のなかでひとつのユーザートレンドとして認識される可能性がある。そうすれば、レコメンデーションの下に何が表示されるか、という点に影響を与えるかもしれない」。

アルゴリズム問題は特に新しい問題ではないが、ストアがそれの解決に役立つかもしれない。ビルケンシュトック(Birkenstock)のような企業は、2016年という早い段階でAmazon.comからプロダクトを引き揚げている。自社のプロダクトを生活者に閲覧してもらうための支出が、レコメンデーションエンジンを通すことで、不本意にライバルのフットウェアメーカーの売り上げに貢献してしまう、という懸念が原因だった。これに従う形で、ナイキ(Nike)やイケア(Ikea)といった企業はAmazonでオススメとして紹介されることは、リスクと天秤にかけた時に意義があるのか、疑問を呈した。しかし、Amazonのマーケットシェアが高いことから、マーケットプレイスは検討の価値があるとされた。

悩み続けるマーケターたち

Amazon.comで売ることに伴う困難に、マーケターたちは取り組まなければいけない。Amazonにとっては、ひとつのプロダクトを複数のセラーが販売することが有難いこととなる。それを製造している会社だけじゃなくて、だ。

現在、より大きな、プレミアム企業たちが自分たちのD2Cオプションを確立しつつあるなかで、Amazonと両者にとって利益がある形での協働が可能なのか葛藤を持つところが増えている。Amazon上で何がオススメとして表示されるか、コントロールは限定されているからだ。

ほかのマーケットプレイス、さらには自社サイトと比べても、Amazon.comからのトラフィックと収益は利益を生みづらい。それだけでなく、ブランド認知力の向上にも役立たないと、ますます多くのマーケターたちが感じており、Amazonのレコメンデーションプロセスは好まれていない。「ブランドにとってもっとも利益率の高いプロダクトや戦略的に重要な範囲を、Amazonはあまりプロモーションしてくれない。そのことはブランドとAmazonの間に距離を生んでいる」と、スターコム(Starcom)のパフォーマンス部門マネージング・パートナーであるポール・カサミアス氏は説明する。

「Amazon上でブランド構築ができるかどうか、短期と長期の両方において意義のあるセールスチャンネルになるのかどうか、いまだに悩んでいる企業は多い」と、デジタルエージェンシーのクラウド(Croud)でeコマース部門責任者を務めるアンディ・シヴィター氏は言った。

Seb Joseph(原文 / 訳:塚本 紺)