世界最大級の広告主であるプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、不透明なデジタル広告環境の一掃を強力に進めてきた。事実、同社はオンライン広告の費用を削減している。だが、オンライン広告費の削減は、売り上げに全く影響を及ぼさなかったと10月5日(現地時間)、同社チーフ・ブランド・オフィサーは述べた。
本記事は、DIGIDAY[日本版]の兄弟サイト、ミレニアル世代向けのビジネスニュースサイト「BUSINESS INSIDER JAPAN」からの転載となります。
世界最大級の広告主であるプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、不透明なデジタル広告環境の一掃を強力に進めてきた。事実、同社はオンライン広告の費用を削減している。
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だが、オンライン広告費の削減は、売り上げに全く影響を及ぼさなかったと10月5日(現地時間)、同社チーフ・ブランド・オフィサーは述べた。
「今年の3月以降、1億ドル(約113億円)以上の無駄な経費を削減した。当社の広告が、テロリストの動画など悪質なコンテンツの横に表示される可能性をなくすことができなかったためだ」とP&Gの最高ブランド責任者(CBO)マーク・プリチャード氏は全米広告主協会(Association of National Advertisers)のカンファファレンスで語った。
「それでも我々は売上目標を達成した。オンライン広告費の削減が賢明なことだったと証明することができた」
世界的に見て、P&Gは販売数を2%増加させ、売上高は2%増加の161億ドルに達した。業界の成長が滞る中で、今年度は成長を加速させた。また、プリチャード氏、今年末までにMedia Rating Councilの認証を受けた第3者によるオーディエンスデータの計測を行わないデジタルメディアへの広告出稿は取り止めると改めて表明した。
「現在、これらのプロセスの約3分の2は完了している。今年末までにはほぼ完了する予定だ」と同氏は述べ、従わない者にとって結論は明らかだと警告した。
「我々は、自分たちのお金で当社の意志を示す。我々のお金を粗悪なメディア・サプライチェーンに費やすことはしない。我々にとって本当に意味のあることに投資する。つまり、より優れた広告と成長を促すイノベーションへの投資だ」
プリチャード氏は、P&Gは次世代のデジタル広告を作り出すために、Facebook、Instagram、Snap、WeChatと協力し、またアマゾンやアリババなどのEコマース大手と連携して、IDデータを使って、ユーザーの購買行動に直結した訴求に取り組んでいる。
「これは30億ドル規模の当社のEコマース事業を加速させ、20%のコスト削減を実現する。だが最も大切なことは、消費者の広告体験をより良いものにしていることだ」
プリチャード氏はまた関心はブランドにとっての安全性から「メディアのコンテンツの質」を高めることへとシフトしていると語った。そしてP&GはYouTubeと協力して、100%の安全性が保証できるチャンネルの特定を行っており、同様にFacebook、Snap、Twitter、テンセントともコンテンツの質の向上を目指す取り組みを行っていると述べた。
同氏によると、広告代理店、メディア、レップ(仲介業)、そしてユーザーの囲い込みを図る「ウォールド・ガーデン」(Facebook、Snapなど大手SNSを意味する)など、デジタルメディアに関わる全てのプレーヤーが参加し、この変革に取り組んでいる。
「強制はできない」
プリチャード氏は、ウォールド・ガーデン、つまり大手SNSは独自の計測手法と分析手法を使用しているにもかかわらず、同社はなぜ、まだ彼らにお金を投下しているのかという質問に対して、そう答えた。
「だが、我々のお金の全てが彼らのうちの1つ、もしくは複数に投下されるわけではないこと、そして彼らも成長していることは確かだ」
[BUSINESS INSIDER JAPAN オリジナル記事]
(翻訳:まいるす・ゑびす)