自然健康食品ブランドを展開するスワンソン・ヘルス・プロダクツ(Swanson Health Products)が中国の消費者市場で存在感を示すため、中国語サイトの開設を予定している。同時に、アリババ傘下のTモール(Tmall)とJD.comでの販売も強化する。
自然健康食品ブランドを展開するスワンソン・ヘルス・プロダクツ(Swanson Health Products)が中国の消費者市場で存在感を示すため、中国語サイトの開設を予定している。同時に、アリババ傘下のTモール(Tmall)とJD.comでの販売も強化する。
ノースダコタ州ファーゴに本社を置くスワンソンは2年前から、中国のオンラインマーケットプレイスで商品を販売している。TモールとJD.comは米国のAmazonに匹敵する巨大な存在だが、スワンソンは公式サイトを開設することで、マーケットプレイスでは足りない部分を補い、顧客との直接的な関係を育み、顧客についてもっと学びたいと考えている。
マーケットプレイスに出店すれば、多くの顧客を得られるが、ブランドが顧客関係を「所有」するわけではないため、細かい顧客像をつかむことができない。スワンソンのCOO、ジョン・アイゼル氏は「多くの顧客はブランドと直接的な関係を築きたがっている」と話す。「公式サイトを開設すれば、『swansonvitamins.com』と同じブランドの雰囲気を感じてもらいながら、米国とは異なる物流で、中国の顧客に商品を届けることができる」。
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中国展開のポイント
スワンソンのパートナー企業として、中国でのEC事業と小売戦略を担当しているアゾヤ・インターナショナル(Azoya International)の米国法人でマネージングディレクターを務めるフランクリン・チュウ氏によれば、独自のECサイトにはいろいろな利点があるものの、外国ブランドが中国でリーチを最大化するには、マルチチャンネルのマーケティングが不可欠だという。具体的には、検索エンジンのBaidu(百度)を活用したマーケティング、WeChat(微信)やWeibo(微博)といったソーシャルネットワークへのデジタル広告掲載などだ。オンラインショッピングガイドやインフルエンサーとも連携している。アゾヤは中国での市場拡大を目指す欧米ブランドの手助けを行っており、ほかのブランドでも大きな効果が出ている「walk into(突撃)」戦略を検討している。中国のインフルエンサーを外国の製造施設に連れて行き、消費者の信頼を高めるという戦略だ。この取材がデジタル広告になり、インフルエンサー自身もソーシャルメディアのフォーラムにレポートを投稿する。
中国語のECサイトを開設する際に考慮すべきことのひとつが、米国サイトに負けないくらいの品ぞろえを確保することだ。スワンソンはTモールとJD.comでの販売実績、アゾヤ独自の市場調査に基づき、もっともよく売れている商品をデジタル広告やPRコンテンツで宣伝している。
「多くの場合、(中国の顧客は)中国語サイトを見るとき、別のウィンドウでスワンソンの米国サイトも開く」と、チュウ氏は話す。「(品揃えが)顧客の信頼につながる。米国サイトで売られている商品と中国市場で売られている商品が同じだという信頼だ。さらに、商品の品質や価格の公正さへの信頼にもつながる」。
米国戦略との共通点
スワンソンの中国におけるEC戦略は米国の戦略と共通点がある。米国では、Amazonやイーベイ(eBay)で販売し、小売店と卸売契約を結んでいる。中国でのアプローチもよく似ているが、米国よりデジタルへの依存度が高いと、スワンソンは述べている。Tモール、JD.comなどのマーケットプレイスで販売し、デジタルメディアマーケティングとB2Bの卸売契約で、それを補う形だ。
「小売業者が自前のサイトを有する最大の利点は、すべてのデータにアクセスできること。マーケットプレイスは一部のデータしか共有しない」と、チュウ氏は説明する。「今後、(スワンソンは)リアルタイムの情報にアクセスし、トラフィックやカスタマーエンゲージメントを把握できるようになる。その結果、マーケティングや予測の精度が大幅に向上するだろう」。
コアサイト・リサーチのアナリスト、フレダ・ワン氏によれば、中国では、中間層の健康意識が高まっているという。これは、彼らが栄養補助食品に喜んで投資することを意味する。ただし、市場は飽和状態で、外国ブランドがシェアを拡大するには、何より明確なメッセージを伝える必要があるのだ。
「高品質、科学による裏づけ、認証などをアピールするだけでは不十分だ。顧客を深く理解し、彼らに向けてマーケティングしなければならない」。
外国ブランドに機会
チュウ氏によれば、中国のサプリメント市場は競争が激化しており、多くの外国ブランドが参入しているだけでなく、地元の大手ブランドも存在感を示しているという。ただし、中国市場では、外国ブランドの方が信頼されているそうだ。
「顧客は国内市場で入手できない商品にとても大きな期待をかけている。特にウェルネス分野では、外国ブランドの方が明らかに好まれる。スキャンダルが相次いだ影響で、一部の顧客は中国製品に不信感を抱いている」。
Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:ガリレオ)