ハイテク小売チェーンのベストバイ(Best Buy)は、顧客基盤との深い関係とテクノロジーやエレクトロニクスへの高い需要の組み合わせが、競合他社との差別化につながると考えている。そんななか、同社は自社でのメディア広告販売事業を開始した。
ハイテク小売チェーンのベストバイ(Best Buy)は、顧客基盤との深い関係とテクノロジーやエレクトロニクスへの高い需要の組み合わせが、競合他社との差別化につながると考えている。そんななか、同社は自社でのメディア広告販売事業を開始した。
同社のCMOであるフランク・クロウソン氏によると、ベストバイ広告(Best Buy Ads)と呼ばれるこの新しいメディア・ネットワークは、すでに個別に取引パートナーとなっているテクノロジー企業をはるかに超えて、あらゆる種類の潜在的な広告主をターゲットにする計画だという。「我々の顧客との深い関係と、我々が持っている自社データを持ってすれば、我々は本当に非常に幅広い人々のグループを理解することができる」とクロウソン氏は言った。これらの潜在的広告主は、自動車、クイックサービス・レストラン、ゲーム、映画、金融、その他のカテゴリーから生まれる可能性がある。
2023年には500億ドル突破の予想
クロウソン氏は、本事業の初年度において同社が予想している売上高の概算は明らかにしなかった(ミネソタ州リッチフィールドに本社を置く、同社の会計年度は2月から1月となっている)。このネットワークの運営には、クライテオ(Criteo)やGoogleなど、さまざまなテック企業パートナーが携わっている。
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ベストバイによると、同社は顧客とのやり取りを毎年30億回行っており、クラウソン氏は、同社がほかの小売業者よりもこれらのやり取りからより深いレベルの洞察を生み出していると述べた。「購入の観点からだけではなく、購入前の調査、(製品の)組み立てなども含まれている」と彼は言った。「我々の顧客に対して効果的にサービスを提供するのに役立つだけでなく、広告パートナーに洞察を与えることができる、本当に深いレベルでのエンゲージメントがある」。
ベストバイは、競争の激しい市場に参入すると言っても過言ではない。ウォルマート(Walmart)からターゲット(Target)に至るまで、複数の小売大手企業がここ数年、この市場に参加している。フードチェーンのアルバートソン(Albertson)やホームセンターのロウズ(Lowe’s)は昨年参入したばかりだ。eマーケター(eMarketer)は、デジタル小売メディア広告が2022年に413億7000万ドル(約4.7兆円)に成長し、2023年には500億ドル(約5.7兆円)の大台を突破すると予測している。
キャリア開発にも焦点を当てる
ベストバイはまた、同社によるティーン・テック・センター(Teen Tech center)を通じて、広告業界でのキャリア開発に焦点を当てた 「キャリア・パスウェイズ・プログラム(Career Pathways program)」を立ち上げると発表した。このプログラムに参加する10代の若者たちは、全国規模でのテックとエレクトロニクス分野の広告業務を体験することができる。クロウソン氏によると、このプログラムの目標は、将来の広告業界でのキャリアを目指す、アメリカの人口が抱える「幅広い層に対応する」多様な人材候補者の流れを作ることだという。このプログラムに参加する10代の若者は、インターンシップ、専門家とのメンターシップ、そして有給での職業体験をするようになる。
[原文:Best Buy launches its own in-house media network]
MICHAEL BÜRGI(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)
Illustration by IVY LIU