敏感肌用スキンケアブランドのビークマン1802 (Beekman 1802)は、7月16日、12年の社歴で初のブランドアンバサダー契約を締結。お相手は、TikTokのスター、キャット・スティックラー(Kat Stickler)氏。なぜハリウッドのセレブではなく、TikTokのインフルエンサーなのか。
敏感肌用スキンケアブランドのビークマン1802 (Beekman 1802)は、7月16日、12年の社歴で初のブランドアンバサダー契約を締結。ヤギミルクを使った製品で知られる同社は、ハリウッドのセレブではなく、TikTokのスター、キャット・スティックラー(Kat Stickler)氏との協働を選択した。
TikTokインフルエンサーがブランドアンバサダーになった経緯
ビークマン1802は以前、2021年までに1億ドル(約110億円)の売り上げを目標としていた。同社の製品は、テレビショッピングチャンネルのQVCやHSN、アルタビューティ(Ulta Beauty)、自社のD2C eサイトで取り扱われており、デジタル小売と実店舗の両方でブランド認知度を高めるために典型的なアンバサダーを選ぶこともできた。共同創設者のブレント・リッジ氏とジョシュ・キルマー=パーセル氏の両者は、テレビショッピングネットワークに定期的に登場しているため、彼ら自身がマイクロセレブリティやブランドアンバサダーとしての役割を果たしてきた。同社は、2020年7月、アルタビューティでローンチして若い顧客層に認知されたあと、直接顧客にアピールするために2020年12月にTikTokに進出。現在、約8万人のフォロワーを抱える。スティックラー氏に主要製品であるブルームクリームを進呈したところ、彼女は6月26日にその製品について投稿した。そのあとの48時間で売り上げが300%増加、若い顧客層に対する真のインフルエンサーとしての彼女の実力が証明されたのだった。
とはいえ、TikTokでは700万人以上、インスタグラムでは63万人を超えるフォロワーを持つスティックラー氏は、典型的なビューティインフルエンサーではない。当時の夫とともに行った一連のいたずら動画でTikTokで注目されるようになった。夫妻は3月に動画で離婚を発表したが、スティックラー氏は同じTikTokアカウントを使い続けている。ユーモアとエネルギーにあふれ、オンラインファッションサイトのシェイン(Shein)やターゲット(Target)などのブランドや小売業者がスポンサーになっている投稿や、ヒスパニック系の母親を演じたりすることで知られている。また、5月にフォロワーが600万人に到達したときや離婚手続き中には感情的な動画もときどき投稿している。
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ビークマン1820のCMOであるブラッド・ファレル氏はこう述べている。「当社のインスタグラムには堅実なフォロワーがいるが、ミレニアルやZ世代の若者層と関係を築いて、新製品について語ってもらいたいと思っていた。TikTokでは、巨額を投じる伝統的な大手ブランドと競わなければならないのだが、他社がすでにコラボしているビューティインフルエンサーとは協働したくなかった」。
スティックラー氏との契約は2021年末まで、ビークマン1802のクリティカリーカインド(Clinically Kind)スキンケア製品に特化している。彼女のソーシャルメディアアカウント全体に、一連の製品のプレゼント、スポンサーつきコンテンツの投稿や動画が含まれる予定だ。また、コンテスト優勝者2人(とその同伴者)は、8月にニューヨーク州シャロンスプリングスにあるビークマン1802の本社でスティックラー氏と会うことができる。
企業の価値観と一致するアンバサダーを起用
ファレル氏によると、ビークマン1802は潜在的なインフルエンサーパートナーシップを評価する際、フォロワーの規模、エンゲージメント、オーディエンスのデモグラフィックなどの従来の指標を含む、インフルエンサーのルーブリック(評価方法)を重視しているそうだ。また、インフルエンサーのパートナーが、思いやりを含む同社の価値観を表していることを確認している。同社は、2021年の前半に、思いやりを推進するため、慈善団体や少額の助成金に分配するための10万ドル(約1100万円)の基金と5人の活動家と医療専門家による思いやり評議会を設立した。また、ファレル氏は、契約が2022年まで延長されるかどうかによるものの、スティックラー氏が将来この評議会に加わる可能性があると述べた。
「(影響は)見えないかもしれないが、意地悪な言葉や意見や行動がTikTok上で人々に与える影響は理解されていない」とスティックラー氏はいう。ビークマン1802とのパートナーシップの一環として、彼女は過去のいたずら動画に一味加えたコンテンツを制作する予定だという。誰かにランダムな親切行為を行い、それに対する相手の反応を即時に録画するそうだ。
[原文:Beekman 1802 looks to TikTok for first-ever brand ambassador]
EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:小玉明依)