クリーンビューティ を拡大する、米・美容ブランドの挑戦:ビューティカウンターの新たな製造基準

ビューティカウンター(Beautycounter)が、クリーンビューティの定義を拡大している。同社は2月13日、「ブループリント・フォー・クリーン(Blueprint for Clean)」と呼ばれる新たな製造基準を導入した。

ブループリント・フォー・グリーンでは、透明性を高めるために12の基準が設けられており、動物実験をしていないことを示す「リーピング・バニー(Leaping Bunny)」認証の取得を製造パートナーに義務付けたり、使用禁止リストに含まれる成分の種類を1500から1800に増やしたりしている。だが、この新しいガイドラインにはもっと大きな目標がある。それは、ビューティ製品に光沢を与えるために使われる鉱物であるマイカ(雲母)の調達に関して、サプライチェーンの透明性を高めることだ。マイカの採掘がもっぱら児童労働によって担われていることが報じられるなど、マイカの調達は以前から問題が指摘されてきた。

「成分の禁止だけで満足しない」

2014年に化粧品の販売を開始したビューティカウンターは、インド、日本、ブラジル、米国で2年前から製造パートナーへの対面調査を実施し、77%のパートナーの調査を完了した。この調査は2020年末までに終える予定だと、ビューティカウンターでソーシャルミッション担当シニアバイスプレジデントを務めるリンゼイ・ダール氏は話す。こうした取り組みは、ビューティカウンターが以前から行っている社会的活動や法的活動の一環であり、同ブランドが掲げるクリーンミッションの中心的活動だ。

「独自の禁止成分リストを作成しているブランドは数多くあるが、我々はすべてのビューティブランドがクリーンビューティになることを期待し、また目指している。成分を禁止するだけで安全性を確保できるわけではないのだ」と、ダール氏は語った。

米DIGIDAYの姉妹サイトであるグロッシー(Glossy)が過去に報じたところによると、ビューティカウンターは2018年に売上高が3億2500万ドル(約333億円)を超え、2019年には広告支出とメディア支出が25%増えたという。ただし、同社は最新の財務情報を明らかにしていない。ビューティカウンターはネットワークマーケティング企業として運営されており、現時点で5万人以上のコンサルタントを抱えているが、同社の製品は店舗やオンラインでも購入できる。営業利益率が高いかどうかは不明だが、売上高では、ビューティカウンターは大手クリーンビューティブランドのひとつに数えられる。たとえば、2010年に設立されたタタ・ハーパー(Tata Harper)は、2017年の売上高が6500万ドル(約66億円)といわれている。同じ年のオネスト・カンパニー(The Honest Company)の売上高は3億ドル(約307億円)だった(同社は企業価値が10億ドル[約1024億円]を超えたこともある)。ビークマン1802(Beekman 1802)は、2020年に1億ドル(約102億円)の売上高を見込んでいる。

児童労働の搾取を抑制するため

ビューティカウンターは、今回の発表にあたって、マイカの採掘を取り上げた12分間のドキュメンタリー動画を自社サイト(Beautycounter.com)で公開した。同社は動画を見た人に対し、この動画をシェアするよう呼びかけるとともに、児童労働の搾取に手を染めていないブランドの製品を購入し、政治指導者に行動を求めるよう訴えている。ダール氏によれば、ビューティカウンターには、ブループリント・フォー・クリーンをほかのブランドと共有し、製造パートナーに何を要請すべきか判断するためのガイドラインやサプライヤーの最新評価リストを提供する計画もあるという。評価リストは納期順守や品質保証に関するランキングなどを掲載したものだが、ビューティカウンターでは、製品の性能、安全性、持続可能性、労働慣行といった項目も追加している。

さらにダール氏は、同じくマイカに依存しているテック業界や自動車業界の人たちと議論し、サプライチェーンの透明性を確立する方法に関する情報を共有していると語った。また、製造パートナーの調査を終えたあとに、これまで企業秘密とみなされてきたサプライヤーの推薦リストを他社と共有することも検討している。

「こうした取り組みは、マイカに依存しているほかのビューティ企業や業界とベストプラクティスを共有しようという我々の試みの一例だ」と、ダール氏は話す。「ビューティカウンターだけでは、労働や調達の問題を解決できない。こうした取り組みは、ある時点で完成するものではなく、続けていく必要があるのだ」。

価値提供する企業をアピール

行動主義やクリーンビューティの面でビューティカウンターが業界のリーダーとしての地位を維持すべく行っている大規模な取り組みは、ブループリント・フォー・クリーンだけではない。9月には、「ルッキング・グッド・イズ・オンリー・ハーフ・ザ・ピクチャー(Looking Good Is Only Half The Picture)」と題するキャンペーンをオンラインと屋外広告で展開し、ビューティカウンターが製品だけでなく価値を提供する企業であることをアピールした。トライブ・ダイナミックス(Tribe Dynamics)によれば、ビューティカウンターはこの1年間にメディア価値を高めており、特に2019年3月から5月にかけて、非常に大きなメディア価値を獲得したという。これはおそらく、法的活動を支援する目的で毎年3月に行っている「マーチ・フォース(March Forth)」キャンペーンによるものだ。

ビューティカウンターでCEOを務めるグレッグ・レンフルー氏によれば、同氏はマーチ・フォースのようなキャンペーンがブランド認知度の向上につながると信じているという。さらに、同社のマーケティングでは、ブランドそのものに重点を置くよりも、自社の主張やブランド価値を配下のコンサルタントに周知するための資産、メッセージ、キャンペーン作りに主眼を置いていると同氏は話す。ソーシャルチャネルで「#betterbeauty」というハッシュタグを使ってこのブランドのことを投稿する人の数は、毎月平均で336名に上っている。

「この特別なハッシュタグ(#betterbeauty)はアーンドメディアバリュー(Earned media value:EMV)が低い月もあるが、長期にわたって一貫したブランドアイデンティティの一部となっているように我々には見える」と、トライブ・ダイナミックスの共同創業者兼プレジデントであるコナー・ベグリー氏は指摘する。「ブランドが誠実さを保ち、社会的活動に関して一貫したメッセージを発している限り、このような活動はブランド認知度の構築につながる」と、べグリー氏は語った。

Emma Sandler(原文 / 訳:ガリレオ)