ロレアル(L’Oréal)傘下のセイヤーズ ナチュラル レメディーズ(Thayers Natural Remedies)ではイメージチェンジが進行中だ。
エックスゲームズのスポンサーシップで新イメージをアピール
セイヤーズ ナチュラル レメディーズは、7月21日から23日まで、スケートボードやモトクロス、BMXなどが競われる毎年恒例のエックスゲームズ(X Games)大会のメインスポンサーを務めた。セイヤーズが参加するのは今回が初めてで、大会で唯一の美容ブランドだった。ほかの主なスポンサーには、モンスター(Monster)エナジードリンク、パシフィコビール(Pacifico beer)、ハリトスソーダ(Jarritos soda)、ビザ(Visa)、ホットウィール(Hot Wheels)など。セイヤーズのスポンサーシップには、BMX競技でのブランデッドランプ、セイヤーズのモジュラースケートパーク、参加者とアスリートのためのセイヤーズエクストリームスキンケア(Thayers Xtreme Skincare)ラウンジなどがあった。同社はエックスゲームズのスポンサーシップページにも掲載されており、Amazonストアフロントへのリンクもあった。セイヤーズはターゲット(Target)やウォルマート(Walmart)をはじめとする量販店でも取り扱われている。
セイヤーズの参加は、176年の歴史を持つ同ブランドの新たな出発を意味する。セイヤーズは2020年8月、ロレアルに4億ドル(約565億円)で買収された。2021年8月には、ウィッチヘーゼルなどの主力製品の天然成分を強調した初のテレビコマーシャルをリリース。当時のブランディングは、自然に存在する成分を使うという同社の伝統とクリーンとの連想にフォーカスしていた。しかし、エックスゲームズのスポンサーシップは、農場から肌へ、楽しくてフレンドリーという同社のブランディングから離れた。その狙いをロレアルのセイヤーズ ナチュラル レメディーズのシニアバイスプレジデント兼責任者、デリック・ブッカー氏はこう語る。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
ロレアル(L’Oréal)傘下のセイヤーズ ナチュラル レメディーズ(Thayers Natural Remedies)ではイメージチェンジが進行中だ。
エックスゲームズのスポンサーシップで新イメージをアピール
セイヤーズ ナチュラル レメディーズは、7月21日から23日まで、スケートボードやモトクロス、BMXなどが競われる毎年恒例のエックスゲームズ(X Games)大会のメインスポンサーを務めた。セイヤーズが参加するのは今回が初めてで、大会で唯一の美容ブランドだった。ほかの主なスポンサーには、モンスター(Monster)エナジードリンク、パシフィコビール(Pacifico beer)、ハリトスソーダ(Jarritos soda)、ビザ(Visa)、ホットウィール(Hot Wheels)など。セイヤーズのスポンサーシップには、BMX競技でのブランデッドランプ、セイヤーズのモジュラースケートパーク、参加者とアスリートのためのセイヤーズエクストリームスキンケア(Thayers Xtreme Skincare)ラウンジなどがあった。同社はエックスゲームズのスポンサーシップページにも掲載されており、Amazonストアフロントへのリンクもあった。セイヤーズはターゲット(Target)やウォルマート(Walmart)をはじめとする量販店でも取り扱われている。
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セイヤーズの参加は、176年の歴史を持つ同ブランドの新たな出発を意味する。セイヤーズは2020年8月、ロレアルに4億ドル(約565億円)で買収された。2021年8月には、ウィッチヘーゼルなどの主力製品の天然成分を強調した初のテレビコマーシャルをリリース。当時のブランディングは、自然に存在する成分を使うという同社の伝統とクリーンとの連想にフォーカスしていた。しかし、エックスゲームズのスポンサーシップは、農場から肌へ、楽しくてフレンドリーという同社のブランディングから離れて、「完全に不完全でありながら楽しむ」という発想への移行を狙ったものであると、ロレアルのセイヤーズ ナチュラル レメディーズのシニアバイスプレジデント兼責任者、デリック・ブッカー氏は述べている。
「ナチュラルであるだけでは十分ではなかった。それは期待されていることだったから」とブッカー氏。「(エックスゲームズの後援は)セイヤーズがこれから行っていく予想を超えた新しいエクスペリエンスの最初のものだ。消費者について、そして信頼できる方法で表現することについて学び、トーンを変えることにした」。
「不完全でいい」Z世代を対象にしたブランディングへ移行
セイヤーズがターゲットにしている顧客はZ世代だ。セイヤーズは伝統的なマスブランドとして世代を超えた幅広い顧客ベースを持っているが、「完全に不完全」という表現はZ世代の文化やブランド全体に見られるものだ。ニキビパッチを販売するスターフェイス(Starface)は、ジャスティン・ビーバー氏らがよく使っている星や雲、ハートの形をしたパッチを展開し、ニキビがあることについて楽しさを加えた。一方で、完璧に厳選されたインスタグラムフィードを持つことは、Z世代の基準からするとありえないと思われ、その人はソーシャルメディアに対して古い考えの持ち主だと見なされる。ニッチなソーシャルアプリ、ビーリアル(BeReal)が2022年にZ世代から支持されてメインストリームに食い込むことができたのは、まさにそれが過剰に細工されてポーズを決めた写真に対する代替的なアプローチだったからだ。エックスゲームズのスポンサーシップの背後にあるセイヤーズの考えは、大胆で、意外で、エッジが効いているものになるということだった。ブッカー氏は、エックスゲームズの参加者はスケートボードやモトクロスなどの型破りなスポーツを行うことに対して遠慮を感じたりせず堂々としていると述べている。
「新しいセイヤーズは、消費者がいる場所、つまり彼らが安全に感じられて遠慮なく楽しく過ごせる場所に存在していたいと考えている」とブッカー氏は言う。「消費者が極限の活動をするとき、セイヤーズは彼らの激しくて堂々としたライフスタイルにマッチするスキンケアを提供する」。
パイパー・サンドラー(Piper Sandler)が半年ごとに実施している「テイキング・ストック・ウィズ・ティーン(Taking Stock with Teens)」調査によると、10代にもっとも人気のあるスキンケアブランドは、セラヴィ(CeraVe)、ジ・オーディナリー(The Ordinary)、セタフィル(Cetaphil)、ドランクエレファント(Drunk Elephant)、ラ ロシュ ポゼ(La Roche-Posay)などだ。彼らが関心を寄せている主な社会的要因には、環境、人種的平等、中絶の権利、経済インフレ、そしてウィロープロジェクト(The Willow Project)と呼ばれるアラスカの石油掘削計画の可能性などがある。エックスゲームズとは別に、セイヤーズは4月にソーシャル、デジタル、テレビで世界的なキャンペーンを実施し、その最新のポジショニングを紹介した。このキャンペーンには生意気な言葉遣いが取り入れられ、「不完全な」肌を持つモデルが登場した。これは、どのようなライフスタイルであってもあらゆる肌に配慮するという同社のミッションを表したものだ。
ロレアルのネクストビッグブランズ(Next Big Brands)のゼネラルマネージャー、デティ・ンコンコ氏は次のように述べている。「エックスゲームズは、情熱や大胆不敵さ、そしてもちろん楽しさの融合を表しており、これらの資質は当社ブランドの価値観に、そして消費者に完全に共鳴している」。
このエックスゲームズとの提携の成功は、売上の増加よりも、参加者がセイヤーズに対して良い印象を持ったかどうかにかかっている。エックスゲームズは8日間のイベントの来場者数を公表していないが、日本やコロラド州アスペンなどで開催された過去のエックスゲームズでは約4万人が参加している。ブッカー氏からはスポンサーシップ関連の費用については共有されなかった。
エックスゲームズでのスポンサーシップとブランド機会に加えて、セイヤーズはソーシャルメディアコンテストとエックスゲームズ関連の小売アクティベーションを実施した。ゲームズ中にローンチされた #ThayersTonerTrickコンテストでは、セイヤーズをタグ付けして、最高のスキンケアの「トリック」をTikTokに投稿すると、賞金1万ドル(約141万円)獲得のチャンスがあった。また、インフルエンサー10人をエックスゲームズに招待し、ソーシャルコンテンツを作成したり、プロスケートボーダーのナイジャ・ヒューストン氏による特別なスケートレッスンを体験してもらった。ヒューストン氏は7月21日にセイヤーズ・ラウンジで行われた交流会にも出席した。
「当社はスキンケアコミュニティの一員として、(イベントなどに)参加するすべての人を確実に対応したいと考えている」とブッカー氏。「さまざまな人々が大勢いたので、セイヤーズは美しい素肌のための信頼できる解決策であるというメッセージを前面に押し出して広められる」。
[原文:Beauty & Wellness Briefing: L’Oréal-owned Thayers makes a bid to be edgier at X Games]
EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)