美容ブランド各社も、 Facebook 広告のボイコットに参加: 「変化を求めていると認識してほしい」

米国でSNS上のヘイトスピーチ抗議キャンペーン「ストップ・ヘイト・フォー・プロフィット(Stop Hate for Profit)」が広がりを見せている。同キャンペーンには、いまや120社以上が参加するなか、ビューティーブランドからもFacebookとインスタグラムへの広告を停止するところがでてきた。

ユニリーバ(Unilever)とバーチボックス(Birchbox)もまた、6月26日にキャンペーンへの参加を表明。これまで参加企業には、リフォーメーション(Reformation)やパタゴニア(Patagonia)、ノース・フェイス(The North Face)、エディー・バウアー(Eddie Bauer)、REI、アイリーン・フィッシャー(Eileen Fisher)、ベライゾン(Verizon)、ベン&ジェリーズ(Ben & Jerry’s)といた大手ブランドが名を連ねる。同キャンペーンは、米国のADL(名誉毀損防止同盟)、NAACP、スリーピング・ジャイアンツ(Sleeping Giants)、カラー・オブ・チェンジ(Color of Change)など、6団体が立ち上げ、7月にFacebookへの支出を停止することを呼びかけており、CBDのパーソナルケアブランド、クッシュ・クイーン(Kush Queen)も参加している。

同キャンペーンはFacebookに対し、経営陣に人権に関するインフラを充実させるための役職を設けること、サードパーティによる監査を受けること、サービス規約に反するコンテンツの横に広告が表示されたときは通知と払い戻しを行うことを要求している。このキャンペーンが問題視しているのが、「重大な暴力を扇動したり助長したりする発言」「暴力的な使命を標榜する組織や個人」、そして「暴力性や非人道性、劣等、排斥、差別」といった要素を含むヘイトスピーチやそれに伴う行為だ。

「いま立ち上がることが大切」

バーチボックスはFacebookとインスタグラムへの7月の広告支出をすべて取りやめると発表した。いずれもこれまで同社にとって非常に大きな割合を占めてきた広告チャネルだ。同社は6月26日、インスタグラムに「私たちがFacebookに対して、変化を求めていると認識してほしい。そしてStopHateforProfit.orgの要求する変化に対し、コミットすることを要求する」と投稿した。

バーチボックスの共同経営者兼CEO、カティア・ボーシャン氏は「当社は広告支出の大半をFacebook、インスタグラム、Googleに費やしてきた。ほかにはほとんど使っていないといっても良い」と語る。いずれもFacebookが保有するサービスだ。さらに売上の60%がペイドメディアによるものだという。

「いま、リスクをとって立ち上がること以上に大切なことはない」とボーシャン氏は述べている。「当社は美容業界の変化に貢献してきた。そしてこれから『どのような世界や社会で暮らしたいか』を考え、それを実現するために取り組んでいきたい」。

「自分たちの立場を再考せねば」

パーソナルケアや美容、食品、飲料を提供するコングロマリットであるユニリーバもまた同日、今年いっぱいFacebook、インスタグラム、Twitterへの広告を取りやめると発表した。同社のブランドにはダヴ(Dove)やダーマロジカ(Dermalogica)、インスタグラムがメインのダラーシェーブクラブ(Dollar Shave Club)やタッチャ(Tatcha)などがある。

同社は「いま、これらのプラットフォームで広告を出し続けるのは、人々や社会に付加価値をもたらさない」と、声明で発表している。「必要なときに、自分たちの立場を再考せねばならない」。

一方、これまで不適切なコンテンツを問題視し、ブランドセーフティと広告支出の削減を表明してきたP&Gは、現時点でキャンペーンへの参加を発表していないものの、米DIGIDAYへのメールで広告支出を見直すとしている。

ユニリーバは世界的にみても最大級の広告主だ。同社の決算報告によれば、2019年の同社の「ブランドとマーケティング投資」は82億ドル(約8900億円)にものぼる。オンライン広告プラットフォームのパスマティックス(Pathmatics)によると、同社はFacebookに2019年には4230万ドル(約46億円)、今年6月25日までに1180万ドル(約13億円)を支出している。同社の消費者向けブランドには飲料のリプトン(Lipton)、ダヴ、男性向け化粧品ブランドのアックス(Axe)などがある。

「ブランド各社がついに本気に」

スリーピング・ジャイアンツの創業者、マット・リビッツ氏は「広告主は最近、Facebookのヘイトスピーチを本格的に問題視するようになった」と語る。「だがFacebookは市場で独占状態にあるため、おそらく本当に心を痛めていても、中途半端な対応で何もしてこなかった。これまで先延ばしにしてきたブランド各社だが、ついに本気になったということだ」。

ほかのデジタルネイティブなビューティーブランドと同様、バーチボックスもまたインスタグラムへの広告依存度は大きい。ボーシャン氏はインスタグラムへの広告支出は「Facebookよりはるかに多い」と明かす。同氏はそのぶんの広告支出をほかのデジタルプラットフォームや、プログラマティックなどのフォーマットに移すとしている。

リビッツ氏は、インスタグラムが「ほかのSNSと同じ問題を抱えている」と指摘する。「過激派が人々を勧誘している。大半のプラットフォームでは、エンゲージを高めるという理由からこれを見過ごしてきた」。

「ここでこの問題を解決せねば」

6月26日、マーク・ザッカーバーグ氏はタウンホールミーティングを開催して同キャンペーンについて言及、ポリシーを変更すると発表した。広告についてFacebookは「特定の人種、民族、国籍、宗教、社会階層、性的指向、性同一性、移民が、他者の身体的安全、健康、生存に対する脅威であると主張することを禁止ずる」と定める一方、有料ではない投稿でこうした声明を行ったアカウントを停止するといった措置については記載がない。

著名人が利用規約に違反する「ニュースになりそうな」投稿も消すことなく、警告を表示するだけだ。例外が「暴力につながるか、投票券を奪うことにつながる」投稿で、たとえ著名人の投稿であっても削除される。投票に関する情報は投票情報センターへのリンクも含まれ、ザッカーバーグ氏は「投稿内容が正確かを判断するものではない」と語る。

「ストップ・ヘイト・フォー・プロフィット」は、こういった取り組みだけでは不十分だと主張する。

「これまでもFacebookに訴えてきた。彼らは何度も謝罪してきた。だが、Facebookでは何度も大変な問題が起きてきたにも関わらず、改善への取り組みは本当にちっぽけなものだ。ここでこの問題を完全に解決せねばならない」。

LIZ FLORA(原文 / 訳:SI Japan)