今注目を集める、ライブコマースイベント。この時流に乗るのが、エイボン・カンパニー(The Avon Company)だ。エイボン・カンパニー(旧ニュー・エイボン・カンパニー)は4月29日に、4回目となるショッピングイベントをライブ配信した。同社は昨年8月、販売員による初のライブコマースを試験的に実施している。
今注目を集める、ライブコマースイベント。この時流に乗るのが、エイボン・カンパニー(The Avon Company)だ。
エイボン・カンパニー(旧ニュー・エイボン・カンパニー)は4月29日に、4回目となるショッピングイベントをライブ配信した。同社は昨年8月、販売員による初のライブコマースを試験的に実施している。エイボンは通常、販売員を集めたオフラインのコンベンション(イベント)を毎年開催し、米国では9000人以上が参加していたが、COVID-19のため、ライブ配信でのショッピングイベントに切り替えた。8月以降にも、販売員のためのイベントを1月に、一般向けのイベントを3月と4月末に開催。イベントは約30分間で、エイボンのサイト(Avon.com)から視聴できる。ある販売員は、4月末のイベントの参加人数について正確な数字を明らかにはしなかったが、「数千人」であったと述べた。
「我々は販売員たちとともに、デジタル化を力強く推進してきた」と語るのはエイボン・カンパニーのイベント担当ディレクター、ジェイソン・シガラ氏だ。「バーチャルメイクや、販売員が自由にカスタマイズして顧客に送ることができるバーチャルカタログを用意した。販売員が顧客のお宅を訪問することができない今、ライブコマースは顧客との接点を設けて販売につなげる手段となっている」。
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「新たな販売チャネルになっている」
エイボンの販売員はそれぞれ、ライブコマースへの特別招待リンクを持っているため、顧客は特別価格での購入ができ、販売員は売上の手数料を獲得できる。同社がライブコマースで使用しているのは、LiSAというソフトウェアだ。
ライブコマースイベントは中国などで日常的に使われており、アリババ(阿里巴巴)の年間最大のネット通販セール「独身の日」は今や文化的な意味合いを持つイベントにまでなった。それでも欧米諸国では、まだ注目を集め始めたばかりだ。QVCやHSN(どちらも米テレビショッピング大手)が立ち上がって40年近くが経つが、2020年に米国各地で外出が制限されたことで、ブランドはインスタグラムやFacebookなどのライブ機能を用いた新しい様式のライブ配信を導入するようになった。最近ではビューティカウンター(Beautycounter)、ダーマロジカ(Dermalogica)、ブルーメ(Blume)などといったブランドが、ライブコマースに投資している。
「中国の(ライブコマースの)急成長ぶりや、データ、販売数を、多くのブランドが目の当たりにしている」と語るのはライブスケール(Livescale)のコミュニケーション責任者、マディソン・シル氏だ。ライブコマースのソフトウェアを提供する同社は、アーバンディケイ(Urban Decay)やランコム(Lancôme)も手掛けてきた。「中国ではSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行によって、ライブ配信が普及した。現在起こっていることは、過去に起きたことを反映したもの。西側諸国でもこの新しいツールの導入が進み、ブランドにとって新たな販売チャネルになっている」。
事前プロモとメリットの提示が重要
エイボンが販売員によるライブコマースを初めて実施した際、これがどの程度受け入れられるか、そしてエンゲージメントにどのような影響を与えるかを入念に調べたかったとシガラ氏は語る。イベントではDJによるハッピーアワーや、すべてのセッションの前には賞品や景品の贈呈が行われた。オーディエンスはプログラム開催中に買い物をすることができ、限定販売や新製品について問い合わせると直接レスポンスがもらえる時間も設けられていた。2回目の販売員イベントで60ドル(約6600円)と100ドル(約1万1000円)の2種類のセット商品を用意(初回イベントでは60ドルのセット商品のみ)したところ、注文売上が平均で26%も増加。シガラ氏は売上高の数字を具体的に示すことは避けたが、初回のオンラインイベントは、2019年にニューオリンズで開催したオフラインイベントの2倍の売上を生み出したという。2回目のライブコマースイベントは、その初回イベントからさらに76%増を記録した。プログラム参加者の約8割が、携帯電話で視聴した。
「2回のイベントから分かったのは、視聴しながら買い物もできるイベントとしてプロモーションが必要だということ。抽選を行い、限定特典も発表するなど、ライブ視聴者が享受できるメリットを示す必要がある」とシガラ氏。「販売員にとっても顧客にとっても、このふたつがライブで参加する主な理由だ」。
これまでに実施したイベントでの成果を考慮し、2021年内には、販売員向けのライブコマースイベントをあと2回、一般向けのイベントも11回開催する予定だ。新製品発売や製品のイノベーション、季節のキャンペーンに合わせて、開催時期を調整している。ライブコマースのプログラムを常に新鮮で刺激的なものに保つため、エイボンでは販売員同士の競演や、インフルエンサーの起用なども検討しているが、イベントの尺は約30分に保つ考えだ。
「ライブコマースは重要なツールになる」
「ライブコマースが重要なツールになることは間違いない」とシガラ氏は語る。「我々は今後も、ショッピングのデジタル化を続けていきたい。リテールの未来はデジタル化にあり、デジタルサービスの提供において進化を続けなければ、後れを取ることになると確信している。(デジタル化によって)競合他社との差がつき、将来の販売員たちに魅力的に映ることを願っている」
[原文:Avon Company sets digital retail ambitions on livestream shopping]
EMMA SANDLER(翻訳:田崎亮子/編集:長田真)