フォーエバー21 、買収したABGが考える「再生計画」とは?

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2019年末に破産申請したフォーエバー21(Forever 21)だが、このブランドが抱えていた問題は明らかだった。店舗数を800まで拡大しすぎて、客足と収益が追いついていなかったのだ。だが、サイモン・プロパティ・グループ(Simon Property Group)およびブルックフィールド・プロパティ・パートナーズ(Brookfield Property Partners)と立ち上げた合弁企業で、先ごろフォーエバー21を買収した、オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group:以下、ABG)には、事態を好転させる計画があるようだ。

ABGのある担当者によれば、フォーエバー21再生の優先事項は主にふたつあるという。ひとつは実店舗展開を再構築すること、そしてもうひとつは、サプライチェーンの改善だ。同社はまず店舗投資の改革に注力することにしており、店舗保有モデルをやめ、フランチャイズモデルのように各店舗のオーナーにライセンスを与える形に切り替えることを検討している。

実店舗とサプライチェーンの改善

サイモンとブルックフィールドがパートナーとして参加しているのは、こうした実店舗へ注力する方針があるからだ。ABGもエアロポステール(Aéropostale)、ナイン・ウエスト(Nine West)、ノーティカ(Nautica)といったブランドで実店舗運営の経験は重ねてきているが、サイモンとブルックフィールドはどちらも実店舗運営が専門だ。またサイモンはすでにフォーエバー21店舗の主な所有者になっている。

実店舗改革のあとは、サプライチェーンに焦点を当て、より合理的に無駄なく迅速に商品を市場に投入しながらも、ファストファッション商品製造につきものの落とし穴を回避できるような方法を模索していく。このステップはまだ計画段階であり、詳細は明らかにされていない。

無名のスタートアップだったABGは、この10年間で、50のブランドを抱える年間売上100億ドル(約1.1兆円)規模の企業にまで成長してきた。買収する企業もますます規模が大きく、多様になっている。2019年にはバーニーズ(Barneys)と、買収先としては初のメディアとなるスポーツ・イラストレイテッド(Sports Illustrated)を買収している。こうした最新の買収を見ても、ABGの債務状況ははっきりしない。2016年には4億5000万ドル(約492億円)の負債を抱えていたが、2019年現在、同社の価値は負債も含めて40億ドル(約4380億円)とされている。

フォーエバー21を買収した目的

だが、フォーエバー21は、ABGが抱えるブランドのほとんどが持っていないオーディエンスへのアクセスをもたらしてくれる。そう、Z世代だ。AGBの担当者は、現在同社のポートフォリオは、ほぼミレニアル世代に焦点を当てたものになっており、フォーエバー21を買収した理由のひとつが、同ブランドの持つZ世代オーディエンスにあると語っている。

「フォーエバー21は消費者へのリーチ力も非常に強く、大きなポテンシャルを秘めた強力な小売ブランドだ」と、ABGのCEO、ジェイミー・ソルター氏は、プレスリリースで述べている。

今回AGB、サイモン、ブルックフィールドは、これまで3社で立ち上げてきた合弁企業とは異なり、3社それぞれがフォーエバー21事業全体の一部を取得する形を取っている。2016年に破産申請したエアロポステールを3社で買収した際には、ABGがブランドの知的財産を100%コントロールし、あとの2社がオペレーションを分担していた。だが今回は、ABGとサイモンがそれぞれ全体の37.5%を取得し、残り25%をブルックフィールドが取得している。

ABGが本当に今回の計画をうまく遂行できるのかは、現時点ではまだわからない。ただ、フォーエバー21を用いてZ世代を獲得したいのであれば、若い顧客たちに、今後もこのブランドで買い物をしたいと思わせるような説得力が必要となってくる。

「ターゲットを絞り込むことが重要」

「ABGがどんな形でフォーエバー21を改革するにしても、今後どんな体験を提供するブランドにするのか、しっかり時間をかけて判断してから実行すべきだ」と、ブランド・リテール・コンサルティング企業フィッチ(Fitch)で、エグゼクティブディベロップメントディレクターを務めるアラーナ・エヴァーソール氏は語る。

「ABGのような企業は、経営難に陥ったブランドを買収することに定評があるが、大抵はオペレーションと財務に焦点を当てている。だが、フォーエバー21を救おうと思ったら、焦点をブランドのロイヤルカスタマーに当てる必要があるだろう。ターゲットを絞り込み、全方向にむけたブランドを目指すのをやめることができれば、カルトなファンが生まれる可能性があり、そのファンはその先何年もついてきてくれるはずだ」。

Danny Parisi (原文 / 訳:ガリレオ)