オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group、以下ABG)は3月にリーボックの買収を正式に完了するが、同社はこの大規模な買収についてすでに壮大な計画をもっている。そのABGはファーフェッチの子会社であるニューガーズグループと提携した。この意味するところは?
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group、以下ABG)は3月にリーボック(Reebok)の買収を正式に完了するが、同社はこの大規模な買収についてすでに壮大な計画をもっている。
新生リーボックへの戦略
ABGがファーフェッチ(Farfetch)の子会社であるニューガーズグループ(New Guards Group、以下NGG)と提携することが、2月23日に発表された。NGGはオフホワイト(Off-White)やヘロンプレストン(Heron Preston)などのラグジュアリーブランドを所有している。NGGはリーボックのヨーロッパでの流通を引き継ぎ、また、ABGのブランド戦略と協力して全マーケティングやリーボック新製品のデザイン、ヨーロッパ全体の小売業者や顧客との関係の管理を担当することになる。
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さらに、NGGはABGと2つめのライセンスを取得して、リーボックの代理としてラグジュアリーブランドと協働し、ヨーロッパを含む50カ国以上の高級小売店でリーボック製品を販売するという。
ハイファッションへの拡大の可能性
ABGの社長でCMOでもあるニック・ウッドハウス氏は、この提携はリーボックの可能性を解き放つチャンスであると、Glossyに語っている。リーボックと同世代といえるナイキ(Nike)やアディダス(Adidas)は支障なくストリートウェアやスポーツ、ラグジュアリーファッションの境界を越えることができた。同氏はリーボックにもそれを実行する能力が備わっていると考えている。
ウッドハウス氏いわく、「リーボックはラグジュアリーブランドではないが、ナイキもノースフェイス(North Face)もそうではない。だが、人々はラグジュアリーな服装とナイキを合わせているではないか。リーボックとナイキはともに成長したようなもので、リーボックにはナイキと変わらない素晴らしいヘリテージと血統がある。両者ともスポーツとファッションの交わる場所に位置している。リーボックがナイキのようなブランドになれないという理由はまったくない」。
リーボックをハイファッションへ拡大するというウッドハウス氏の願望は、同氏が吸引力として言及したオフホワイトのようなブランドで成功を収めたNGGとの提携の裏にある主な理由のひとつである。
新しいビジネスモデルでブランドを復活させる計画
リーボックの当面のフォーカスはクラブシー(Club C)と4000ロウ(4000 Low)という主要なシューズラインである。ウッドハウス氏は、それぞれの製品をリーボックのナイキ ダンク(Nike Dunk)とエアフォース 1(Air Force 1)にたとえている。この2製品はリーボックの全売上高の50%以上を占めており、ラグジュアリー分野での将来のコラボレーションの焦点となるだろう。NGGが関与してデザインされたコラボレーションはまだ発表されていないが、コラボレーションの際にはNGGが製品のデザインを主導するだろうと同氏は述べている。
リーボックをナイキに匹敵するラグジュアリーブランドにするというウッドハウス氏のビジョンは、ABGの買収戦略と一致している。ABGは、この3年間、業績を好転させるために倒産した企業や経営危機に瀕している企業を買収している。その中には、フォーエバー21(Forever 21)、アエロポスタル(Aeropostale)、ブルックス・ブラザーズ(Brooks Brothers)が含まれる。
「我々は(ブランドとしては素晴らしいが)事業モデルが成功していないブランドを買収している」とウッドハウス氏。「リーボックには何の問題もない。懐かしさにあふれた素晴らしいブランドだが、アディダスの中でもがき苦しんでいた」。
[原文:Authentic Brands Group taps New Guards Group to ‘unlock Reebok’s luxury potential’]
DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)