「ライブ配信」先進国、中国の後に続く西側ブランドたち

中国ではショッピングのライブ配信が人気を集めている。アリババ(阿里巴巴)が11月11日の「独身の日」に開催した同国で最大のショッピングフェスティバルにおいても、ブランド各社はこの配信を戦略上極めて重要な位置づけとして活用した。

今年、アリババはキンバリー・カーダシアン・ウェスト氏と中国の配信者ビヤ・フアン氏とともにフェスティバルを開始した。ウェスト氏は自身のプロデュースするフレグランスであるKKWを中国の消費者向けに宣伝した。アリババによれば、フェスティバル当日にライブ配信を行ったブランドの数は、昨年より200%増加したとのことだ。

米国と中国におけるオンラインショッピングの主な違いは、中国でEC取引を行っているのがアリババと、そしてライバルのJD.comの数少ないプラットフォームに限られていることだ。だが中国でショッピングのライブ配信が人気を集めるなかで、米国でも特に中国のバイトダンス(Bytedance)が有するアプリのTikTokはさらなる人気を獲得できる可能性を秘めている。

フォレスター・リサーチ(Forrester Research)のシニアアナリスト、シャオフェン・ワン氏は「あらゆる分野、とりわけECにおいてここ2年でライブ配信は大きく伸びている」と指摘する。昨年の独身の日にもライブ配信を行ったブランドはいたが、今年と比べれば小規模だったという。

中国のライブ配信事情

アリババは2016年からタオバオ(淘宝網)やTモール(天猫)にライブ配信機能を追加している。アナリストらは、中国の消費者が安価に動画を配信できるようになり、スマートフォンが普及したのに伴って、同国のライブ配信は大きく伸びたと指摘する。中国には8億人以上のインターネットユーザーがいると考えられており、これは世界最多だ。
さらに中国では5Gにアクセスできる都市が増えている。最新の無線通信ネットワークである5Gは4Gと比べて20倍以上のダウンロード速度を実現するとされている。

これにより、とりわけショッピング動画において極めて重要な動画配信におけるラグが減少することになる。中国のEC市場への米国ブランドの参入を支援しているアゾヤ・グループ(Azoya Group)でマーケティングおよびパートナーシップマネージャーを務めるカー・ツェン氏によれば、ショッピングのライブ配信でもとりわけ人気を博しているのが、さまざまな商品を試すインフルエンサーに対してリアルタイムで質問を行える形式だという。

大半のブランドは自社ブランドが展開しているTモールや、多数のフォロワーを抱えるインフルエンサーのいるタオバオでライブ配信を行っている。だが、ほかにも中国版TikTokであるドウイン(抖音)や、若い女性向けのデジタルファッションマガジンとして知られているMOGUなどもライブ配信プラットフォームとして人気を集める。

西側企業もライブを活用

独身の日のキャンペーンでカーダシアン・ウェスト氏とライブ配信を行った人気配信者のフアン氏は、最近中国のスターバックス(Starbucks)と提携して配信を行っている。また、オースティン・リー氏もまた美容関連の試供品配信で知られている。

米国のブランドもまたライブ配信に注目するなかで、支援を目的としたスタートアップも登場しはじめた。フォアランナーベンチャーズ(Forerunner Ventures)やユニオンスクエアベンチャーズ(Union Square Ventures)の出資を受けているショップショップス(ShopShops)は、中国消費者向けに米国ブランド商品をライブ配信で紹介することを専門としている。同社はスタジアム・グッズ(Stadium Goods)やエバーレーン(Everlane)といった、まだ中国にオフィスを構えるほど余裕のないスタートアップをターゲットとするサービスだ。ショップショップスは司会として教育を受けた人材を揃えており、中国への商品発送も請け負う代わりに売上の20%を手数料として受け取っている。

ツァン氏によれば、これまでTモールやタオバオでライブ配信を試みてきた西側企業の大半がファッションブランドで、とりわけ中国オフィスを有する大手ブランドが多いという。ロレアル(L’Oréal)は今年、独身の日に初の24時間ライブ配信を実施した。エスティローダー(Estée Lauder Companies)は独身の日の2週間前から毎日ライブ配信を行い、当日に販売される限定版商品の予約を受け付けていた。同社によれば、この先行販売だけで1億4300万ドル(約156億円)の売上を達成したという。

準備が整ってない企業も多い

英国ブランドの中国市場参入を支援するエマージング・コミュニケーションズ(Emerging Communications)でプランニング担当リーダーを務めるロッキー・チー氏によれば、同社が担当するウェルネスブランドに対し、最近タオバオから英国ブランドを紹介するライブ配信に参加しないかと話を持ちかけられたという。同氏は、ほとんどのブランドは、まずこういった形式のライブ配信を実験的に行い、どのインフルエンサーと組むのが適切化を見極めることになるだろうと語り、次のように述べている。

「英国企業で、自社だけでライブ配信キャンペーンを展開する準備ができているブランドは、あまりないのではないか」。

Anna Hensel(原文 / 訳:SI Japan)