アメリカン・イーグルは、Snap ARストアを通じて中古品を販売し、Z世代の顧客がスムーズに再販購入できるように促進している。アメリカン・イーグルのこれまでのARストアは総収益で1000万ドル(約13億円)を上げており、同社は現在、売上成長のためにこのテクノロジーにさらに注力している。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
再販業者、スレッドアップ(ThredUp)の2023年4月のレポートによると、Z世代による購入は今後5年間で古着の購入の約3分の2を占めると予想されている。アメリカン・イーグル(American Eagle)は、Snap ARストアを通じて中古品を販売し、Z世代の顧客がスムーズに再販購入できるように促進している。アメリカン・イーグルのこれまでのARストアは総収益で1000万ドル(約13億円)を上げており、同社は現在、売上成長のためにこのテクノロジーにさらに注力している。
Z世代に魅力的な方法で古着を販売するのはブランドにとって困難だった。過去のインタビューでブランド幹部らはその理由として、スムーズではないウェブサイト統合、望ましい商品を調達する難しさ、ソーシャルプラットフォームやブランドのサイトで個々の製品を宣伝するための適切な方法がなかったことなどを挙げていた。近年、自社やサードパーティチャネルを通じて再販を提供することはブランドの大きな関心の的になっている。たとえば、ノース・フェイス(The North Face)は2022年にリニュード(Renewed)という再販サイトをローンチしている。
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Snap ARが使える再販ストアのローンチ
アメリカン・イーグルは4月14日にオンライン再販ショップ、RE/AEをローンチした。このショップには対応するSnap ARポップアップショップがあり、200点が取り扱われている。アメリカン・イーグルのアプリとウェブサイトで購入客は1980年〜2000年代の厳選スタイルのなかから好きな服を購入できるようになった。顧客は、アメリカン・イーグルのSnapのアカウント上でSnapレンズフィルターを使ってバーチャルストアを閲覧したり、AR試着することができる。
「古着をトップナビゲーションに持ってきたのは初めてだ。トップナビゲーションはどのeコマースサイトにとっても重要な場所だ」と述べているのは、アメリカン・イーグルCMOのクレイグ・ブロマーズ氏だ。「そのおかげで、これまで以上に古着の露出が増えている」。
ブロマーズ氏によると、アメリカン・イーグルはSnapchatレンズのポップアップストアからサイト上の再販バーティカルまでシームレスな体験を提供することを優先したという。「何かが(購入客の)目に留まったなら、その体験のなかですぐに購入できるのがセールスポイントだ。ほかの場所にアクセスする必要も、購入するためにスレッドアップやAEサイトに移動させられることもない」。
Z世代を狙ったSnapchatの活用
アメリカン・イーグルのフォーカスグループによると、Z世代にとっての主要なアプリ2つはTikTokとSnapchatであり、エンターテイメントにはTikTokを、コミュニケーションにはSnapを使用しているという。同社はSnapchatへの注力を強化している。毎月7億5000万人のアクティブユーザーを抱えるSnapは、特にZ世代をターゲットとするブランドのあいだでブランド主導のARアクティベーションにおいて頼れる存在になっている。ニューバランス(New Balance)、パタゴニア(Pangaia)、グッチ(Gucci)などのブランドがSnapでARアクティベーションをローンチしている。これまでのところ、RE/AEのSnap ARポップアップストアは、アメリカン・イーグルのベンチマークレートと比較して5%上回るスワイプアップを獲得している。アメリカン・イーグルからはベンチマークレートは共有されなかった。
Snapの小売・eコマース担当米国責任者であるアンソニー・ディムッチオ氏は、Snapはアメリカン・イーグルのマーケティングチームと協力して、アメリカン・イーグルの店内購入体験を再現したと述べている。「ARポップアップストアでは、顧客が興味のあるスタイルをシームレスに選択して詳細を知ることができるようになっている。世界中のZ世代の92%がショッピングにARを使うことに関心があり、我々は持続可能性が彼らにとって非常に重要であることを知っている」と、同氏はスナップチャット・ジェネレーション2022(The Snapchat Generation 2022)レポートを引用して語っている。
Z世代向けに小規模なコレクションを期間限定で提供
Snapのデータによると、Snapユーザーの3人に2人が毎日ARを利用しており、アプリをダウンロードしたユーザーの70%以上がアプリ使用の初日にARを利用している。これまでの会話においてSnapのラグジュアリー部門責任者、ジェフリー・ペレス氏は、ブランドが考えているように、高解像度とシームレスな体験がARアクティベーションの成功の鍵であると述べている。アメリカン・イーグルはこれまでにSnapchatで7つの拡張現実ストアを運営している。
アメリカン・イーグルの場合、ARショップはブランドイメージの構築と販売促進に役立っている。同ブランドは、2020年以来、Snapで運営されている(複数の)ARストアから1000万ドル(約13億円)を超える収益を得ている。ブロマーズ氏は「小売業者として、当社はもはや小売業界だけでははなく、エンターテイメント業界にいる。ほかにはないユニークで人目を引く体験が際立っており、売上につながっている」。
しかし、SnapchatでZ世代にリーチするのは容易ではない。「我々がこれまでに学んだのは、20点ほどのタイトなコレクションに注力して、約2~3週間の期間限定でストアを維持すべきということだ」とブロマーズ氏は述べ、シームレスな体験の重要性についても繰り返した。「マイナスの意味ではないが、Z世代については、注意力が非常に短く、体験に手間がかかるようなら即刻離れて違うことをやりだすと言われている」。
アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(American Eagle Outfitters, Inc.)は15億ドル(約2014億円)を報告。これは2022年第4四半期から1%の減少だったが、アナリストの予想を上回った。
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)