アンダーアーマーは、インスタグラム(Instagram)のIGTVで、エピソード風のコンテンツ配信を慎重にはじめている。だが、その取っかかりとして、まずはYouTube向けに制作されたシリーズの焼き直しから配信しはじめている。
アンダーアーマーは、インスタグラム(Instagram)のIGTVで、エピソード風のコンテンツ配信を慎重にはじめている。だが、その取っかかりとして、まずはYouTube向けに制作されたシリーズの焼き直しから配信しはじめている。
「UAアイコン・クリエイター・コラボ(UA Icon Creator Collabs)」という動画シリーズでは、YouTube上のスニーカーのインフルエンサーであるジャック・スレード氏と、ジャゼリ・アレン=ロード氏の2名をフィーチャー。彼らは、アンダーアーマーの「アイコン(ICON)」というスニーカーをカスタマイズできるサイト向けにスニーカーをデザインしているシェルビー・アンド・サンディー、ケネシャ・スニード、トミー・リム、ヒェス・リー、ジェン・ムッサリなどのアーティストにインタビューを行っている。
IGTVはまだテスト段階
このシリーズには、いまのところ5〜7分の長さとなっている5本のエピソードがあり、それらすべては11月13日にヨコ型の動画としてYouTubeで公開された。11月13日以降も、縦型動画のバージョンがIGTV上で、個別に投稿された。最後のエピソードが投稿されたのは、11月29日だ。2019年には、さらなるエピソードが公開される予定だ。
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アンダーアーマーによると、YouTubeには20万人のアンダーアーマーチャンネル登録者がおり、このエピソードの再生回数は350万回、再生時間は総計で1360万分、そして平均視聴時間は3分47秒だったという。インスタグラムで640万人のフォロワーを持つアンダーアーマーだが、それを考えるとIGTV上でのリーチは著しく低く、これまでの動画の再生回数は1〜2万回だった。
「IGTVは新しいプラットフォームであり、多くの面で確証が持てていない」と語るのは、YouTubeとIGTVの双方に向けてシリーズ動画をプロデュースする、独立系ソーシャルクリエィテブエージェンシーのムーブメント・ストラテジー(Movement Strategy)で共同創設者兼CEOを務めるジェーソン・ミッチェル氏だ。「(アンダーアーマーは)そこでの存在を示し、テストをしたいと考えているようだが、そのプラットフォーム向けに本当に素晴らしいコンテンツを制作するために必要なリソースの確保を正当化するのが困難な状況であり、誰もがどのぐらいのインパクトを与えられるかを見たがっている」。このシリーズの制作費についてアンダーアーマーはコメントを控えた。
タテとヨコ、画角の矛盾
アンダーアーマーにとって、IGTVは後から思いついたことではなかった。アンダーアーマーのソーシャルメディアストラテジー部門でシニアディレクターを務めるジャック・デーリー氏によると、インスタグラム上でIGTVが立ち上げられた2018年6月、このシリーズはまだプリプロダクションの段階だったが、その時点ですでにIGTV向けにまったく同じシリーズを制作するというアイデアがあったという。
ストーリーテリングは同じものだったが、YouTubeのヨコ型のフォーマットとIGTVのタテ型のフォーマットの動画を同時に撮影するうえでは技術的な障壁があった。これまで、企業やインフルエンサーは主に、インスタグラムストーリーのコンテンツをIGTV上で再利用することでテストしてきた。これはストーリー向けの動画はすでにタテ型で作られており、IGTVでの再利用が容易だったためだ。バカルディ(Bacardi)、MTV、ナイキ(Nike)などのいくつかの企業は、このプラットフォームに特化したコンテンツを制作している。
「同じコンテンツをタテ・ヨコ両方用に、しかも同時に制作するような大規模なプロダクションを行うのは今回がはじめてだ」と、デーリー氏は言う。「考え抜いた結果、これは間違いなく我々が乗り越えなければならない新たな課題だった」。
いかに再利用するか
問題は、「安価である」というこのプラットフォームの最大の利点を活かして、いかにIGTV向けにコンテンツを再利用するか、というところにある。
「このふたつはまったく異なるプラットフォームだ」と、ランドー(Landor)でエグゼクティブ・クリエイティブディレクターを務めるマーク・フランケル氏は語る。「IGTVで提供されているコンテンツはより断片的で、インフルエンサーありきのものである一方、YouTubeにはプロフェッショナルに作り込まれたコンテンツがある」。