人気ポッドキャスト「ザ・スキニー・コンフィデンシャル(The Skinny Confidential)」を主催するローリン・ボスティック氏は、同名を冠した商品ラインを4月7日にデビューさせた。このたび立ち上げた新しい美容ブランドについて、ボスティック氏が詳しく説明する。
ポッドキャストのホストたちも、セレブリティやブロガー、インフルエンサーのように美容分野で存在感を発揮したいと望んでいる。
ポッドキャスト「ザ・スキニー・コンフィデンシャル(The Skinny Confidential)」を主催するローリン・ボスティック氏は、同名を冠した商品ラインを4月7日にデビューさせた。ホット・メス・アイスローラー(Hot Mess ice roller、69ドル)やアイス・クイーン・フェイスオイル(Ice Queen face oil、46ドル)のほか、美容や健康に関連する20商品を開発中だ。ボスティック氏は、ポッドキャスト以外の媒体でも幅広いリーチを誇る(インスタグラムのフォロワー数130万人、Facebookのファン数27万8000人、ニュースレターの購読者数3万8000人、ブログの月間インプレッション数260万回)。だが、開始から5年になる「ザ・スキニー・コンフィデンシャル」は、9000万回もダウンロードされており、桁違いである。
「私が健康とフィットネスについてブログで発信を始めた2010年は、(ポッドキャスティングは)決してクールではなかった」とボスティック氏。「ポッドキャスティング業界の今の状況は、2010年のブログ業界のよう。当時、ブログを開設したのだと周りに言うと『どうやってお金を稼ぐのか?』と、まるでエイリアンでも見るような目で見られたものだ。ポッドキャスティングは今、勢いを増し始めたところで、さまざまな人がこの業界に飛び込んできている」。
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顎の手術後にリンパドレナージで使った金属製のローラーから着想を得てアイスローラーを開発するといった、ボスティック氏のブランド立ち上げのストーリーには説得力がある。だがこのブランドの強みは、オーディエンスとの結びつきだろう。たとえば、ボスティック氏がほかの美容ブランドとコラボレートしたり、商品を紹介するだけでも売上が向上する。エレミス(Elemis)とコラボレートしたポーチ付きコスメセットは、2000セットがエレミスのサイトでわずか3時間で完売した。そして、イットコスメティクス(It Cosmetics)のCCクリーム(肌色補正機能付きのクリーム)や、ラネージュ(Laneige)のリップスリーピングマスク(Lip Sleeping Mask)、シャーロット・ティルブリー(Charlotte Tilbury)のピロートークリップスティック(Pillow Talk Lipstick)は、ポッドキャスト内でボスティック氏が使い方のコツを紹介したことで完売につながったといわれる。
このたび立ち上げた新しい美容ブランドについて、ボスティック氏が詳しく説明する。
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ーーアイスローラーは他ブランドからも発売されている。あなたの商品の特長は?
アイスローラーを使い始めた2015年当時は、まだ何もなかった。いろいろなブランドから発売されるようになり、すべて試してみたところ、冷たさが持続しないし、頑丈でもない。ほとんどがOEMで、安く製造されたもののようだった。私の商品は、イタリアのデザイナーが私の手の形に合わせて作ったもので、頑丈で冷たさが持続し、見せる収納にも適したデザインなので引き出しにしまい込まれてしまうこともない。まさに私が望んでいたように、顔の上でコロコロと転がし、首から胸までもマッサージできる。多くの人は、スキンケアやメイクアップで肌に塗るものについては意識するのに、顔の輪郭を引き締めて見栄えをよくするにはむくみを取る必要があるということを理解していない。
ーーこの商品ラインが、あなたのオーディエンスの要望に応えているという自信は?
ビューティウェルネスは、私のサイトやポッドキャストがもっとも強みとしているカテゴリーだ。eメールやSnapchatメッセージ、Facebookグループなどで、オーディエンスに毎日のように発信している。そのなかでよく聞くのが『まぶたが腫れる』という悩みで、解消するには余分な水分を排出する必要がある。オーディエンスが私から聞きたいのは、どの化粧品を買うべきかではなく、たとえばボトックスの代替案としてのリンパドレナージや美容鍼といった、もっとニッチなこと。ドライブラッシング(乾いた肌をブラシでこする美容法)のような、とてもユニークで変わっている美容法について聞きたいのだ。ポッドキャストでもっとも人気を集めたのはデニス・グロス博士(皮膚科医)、ジョージア・ルイーズ氏(フェイシャリスト)、バーバラ・シュトルム博士(スキンケアドクター)が登場するエピソードで、ここでは私自身が編み出したコツについても話している。コンテンツマーケティングを過去5年間にわたって実施してきたなかで、この商品ラインをローンチするのはとても自然な流れだ。
ーーどのような人が、あなたのオーディエンスなのか?
まず間違いなくミレニアル世代の女性で、年齢は25~40歳。子どもがいる人も、そうでない人もいる。一般的なのは、サイドビジネスの追求に興味を持つような人たち。中米のオーディエンス層が厚いが、ロサンゼルスやニューヨークも多い。彼女たちは、私が制作するどんなコンテンツに対しても、常に価値が得られることを期待しているので、私のブランドから売り出す美顔ローラーもしっかりした品質であることが重要だ。パッケージや箱を開ける瞬間を思い浮かべながらデザインし、化粧台の上にどのように置かれるかを考え、冷たさを維持できる時間を決めるのに4年もかかったのは、私のオーディエンスがそういうことに関心を持つからだ。
オーディエンスの貴重な時間を割いてもらっているので、何かを持ち帰ってもらえる有意義な時間にすることを、常に心掛けている。ポッドキャストは、掃除、スキンケアのルーティン、料理などさまざまなことをしながら聞けるので、オーディエンスは日々の生活をより良いものにする情報を効率よく収集することができる。これは、時間を消費するほかのソーシャルメディアプラットフォームとは大きく異なる点だ。私はポッドキャスティングでは常にオーディエンスを第一優先とし、ゲストはその次だと考えている。
ーーローンチ時のマーケティング戦略は、どのようなものか?
非常に多角的なアプローチをとっている。まずは私のプラットフォーム、次に夫(マイケル・ボスティック氏、ディア・メディア・ポッドキャスト・ネットワーク[Dear Media Podcast Network]の共同設立者兼CEO)のポッドキャストで、スポット広告を流す予定だ。でもブランド名をただ出すだけで、内容との関連性が薄いものは流したくない。オーディエンス数が多くても、そのような広告では意味がないからだ。広告はシームレスであるべき。ポッドキャストのインベントリは膨大にあるが、広告が売上に直結するとは限らない。
スキンケア領域のマイクロインフルエンサーとも連携するが、ただ単にタイアップ広告を出すようなことはせず、彼らに新商品を贈る予定でいる。人々はコミュニティを通じて商品を手に取り、試し、好みのコンテンツを得る。これは私の望むコンテンツでもあるので、互いにとってwin-winとなる。
ーーポッドキャストのホストが、美容ブランドを続々立ち上げるようになると考えているか?
ホストたちがまだ商品を発売していないことについては特に驚かないが、そのうちローンチするだろうと思う。ブロガーやポッドキャスターにとって大切なのは、意思を明確に示すこと。その辺のTシャツに自分のブランドをペタッと貼りつけるだけでは、うまくいかない。自分なりの観点があり、それがストーリーとの整合性があれば、うまくいく。
[原文:Are podcast hosts the next beauty founders?]
PRIYA RAO(翻訳:田崎亮子/編集:長田真)