「我々のECサイト利用者は、前年同期比の2倍となった」: 韓国コスメ のアモーレパシフィック、J・ハンソン氏

韓国の美容ブランドや韓国コスメにインスパイアされたブランドはここ数年、米国をはじめ世界で急速な成長を遂げた。なかでもアモーレパシフィック(AmorePacific)は、コロナウイルスの影響から他社に先駆けてECに力を注いできたブランドのひとつだ。

同社の米国担当プレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるジェシカ・ハンソン氏は、米DIGIDAYの姉妹メディアであるグロッシー(Glossy)の「ビューティー・ポッドキャスト(Beauty Podcast)」で次のように語っている。「当社はもともとECを非常に重視してきた。いまの情勢はそれを加速させたに過ぎない。年初からの当ブランドのECサイトの利用者は、2019年の同時期と比べてすでに2倍になっている」。

アモーレパシフィックが米国市場で展開するブランドは、アモーレパシフィックのほかにもラネージュ(Laneige)、雪花秀(Sulwhasoo)、イニスフリー(Innisfree)、マモンド(Mamonde)、プリメラ(Primera)、アイオペ(IOPE)などがある。同社は3月17日時点でイニスフリーが米国に展開している全店舗を閉鎖した。これはセフォラ(Sephora)が5つのブランドの店舗について同様の決定を下したのと同じ日だ。

パンデミックによって店舗での販売は停止したものの、ハンソン氏はカスタマーは同社ブランドへ強い愛着を持っており、特に米国内での売り上げを支えているという。「高級ブランドにとって特に重要なのが旅行客だった。いまや失われたカテゴリーだ」と、ハンソン氏は語る。「世界中どこを見渡しても、かつてのような人の移動は起きていない。だが国内での売り上げは変わっていない」。

以下に、同氏へのインタビューの一部をお伝えしよう。なお、発言の意図を明確にするため一部に若干の編集を加えている。

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韓国コスメが提供するセルフケアの視点

「韓国の美容ブランドは当初はただのトレンドだったが、いまや独自の地位を占めるだけの規模に成長した。韓国女性のスキンケア方法など、独自のストーリーテリングが可能な要素を有している。韓国女性はセルフケアにすべてを捧げている。おろそかにすることはなく、物質的なケアにとどまらず、積極的なケアを行っている。韓国女性にとってスキンケアは非常に若い頃から身についている、人生の一部とも呼べる概念であり、学べることは多い。いま使える時間が増えている人も多いなか、米国でもそういった流れが生まれつつあるように思う。クレンジングは大きなトレンドとなった。韓国で行われているダブルクレンジングはもっとも有効な洗顔方法のひとつだ」。

ロイヤルカスタマーによって支えられる売り上げ

「ブランドに興味があるカスタマーや購入したことのあるカスタマーはすでに市場に組み込まれており、とどまり続ける。中国や韓国ではそういった現象が見て取れる。両国、そして米国で現在唯一課題として残されているのが、当ブランドには関係性の薄い分野だが、旅行業界だ。高級ブランドにとって旅行客は特に重要な存在だったが、それが失われてしまった。世界中どこを見渡しても、かつてのような人の移動は起きていない。だが国内での売り上げは変わっていない。アモーレパシフィックを使っていたのに、すぐにドラッグストアのブランドやターゲット(Target)で売っている商品を使うようにはならないのだ。カスタマーは市場にとどまり続けている」。

制御できるものを制御する

「当社はもともとECを非常に重視してきた。いまの情勢はそれを加速させたに過ぎない。年初からの当ブランドのECサイトの利用者は、2019年の同時期と比べてすでに2倍になっている。私が常々言っているのが、ECサイトは自分たちで制御できるチャネルだということだ。カスタマーについて把握できるし、ロイヤルカスタマーを生み出せる。それに卸売では不可能なものを提供できる。非常に大きなチャンスが広がっているのだ。そしてチャンスであると同時に困難さも伴う。ノードストローム(Nordstrom)やニーマン・マーカス(Neiman Marcus)、ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)、セフォラ、アルタ(Ulta)といった企業は業界のエコシステムにとって欠かせない一部となっている。だが彼ら自身も、業界は移り変わっていくことは理解しているはずだ。こういった移り変わりは制御できるものではない。一方、自分たちの環境は制御できる。私たちはこれまでもそうやってきた。いまのオムニチャネルのアプローチでは、優先順位付けと、それをどのように実施していくか見極めることが重要だ。いまは以前よりもそれが少し明確になっている」。

原文 / 訳:SI Japan)