7月30日の午後に発表された、 Amazon の第2四半期の収支報告によれば、同社の売上高は前年比40%増の889億ドル(約9兆3990億円)に達し、利益は52億ドル(約5498億円)。また、1株あたりの利益は、アナリストが予測した1.50ドル(約159円)をはるかに超える10.30ドル(約1089円)だった。
新型コロナウイルスのパンデミックで多くの企業が混乱に陥るなか、Amazonは上昇を続けている。
7月30日の午後に発表された、2020年第2四半期の収支報告によれば、同社の売上高は前年比40%増の889億ドル(約9兆3990億円)。利益は52億ドル(約5498億円)を記録した。また、1株あたりの利益は、アナリストが予測した1.50ドル(約159円)をはるかに超える10.30ドル(約1089円)だった。
Amazonの好調は驚くにはあたらない。過去3カ月間、ほとんどの人が日用品をオンラインで購入することを余儀なくされており、Amazonは依然として米国最大のeコマースプラットフォームだからだ。eマーケター(eMarketer)のデータによると、Amazonは米国のデジタル販売市場の38%のシェアを占め、2位のウォルマート(5.8%)を大きく引き離している。それでも、不確実性に対処しつつ利益を伸ばしたAmazonの実力は注目に値する。今回の収支報告で特に興味深いポイントを、以下に紹介する。
Advertisement
不確実性のなかでの増益
前回の収支報告でCEOで創業者のジェフ・ベゾス氏は、投資家にとって不穏な言葉を、こう語っていた。「我々はこの40億ドル(約4229億円)すべてと、追加投資をもう少し行なって、新型コロナウイルスの影響下でも製品を顧客に届け、従業員の安全を確保できる体制を整える予定だ」。当時、それは理にかなった判断だった。なぜならそのとき、多くの製品倉庫が前例のない状況下で稼動しているうえ、世界規模のパンデミックによりサプライチェーンが閉鎖されていたからだ。
そして最新の声明のなかでベゾス氏は、当初予測されていた純利益の40億ドル全額を、すでにコロナウイルス関連支出に費やしたことを明かした。一方で、過去3カ月間に同社はさらに12億ドル(約1269億円)の追加利益を得たが、これは売上高の大幅な増加によるものだと考えられる。「きわめて異例の四半期だった」と、ベゾス氏は声明で述べた。
サードパーティセラーの躍進
新型コロナウイルスが最初に米国を襲ったとき、Amazonはプライムフルフィルメント用の倉庫に納入する製品を、いわゆる必需品だけに限定する決定を下した。これにより、プラットフォームを利用する多くのセラーが痛手を被っただけでなく、Amazonのサービスに依存するブランドにとっても、フルフィルメントが利用できなくなる事態となった。
一方で、これがサードパーティセラーの大幅な躍進にも繋がった。第2四半期のサードパーティセラーサービスの売上高は182億ドル(約1兆9242億円)に達し、前年比53%増となった。この成長率は、Amazon全体のオンラインストアの売上高を上回っている。
このニュースを、プラットフォーム上の一部のセラーは複雑な思いで受け止めていることだろう。7月下旬、ベゾス氏はAmazonに競争を妨げる恐れがある商慣行があるとして、米国議会委員会で追及された。その際同氏は、Amazonが自社のポリシーに反し、サードパーティセラーのデータトラッキングを実施して、プライベートブランド事業の振興に利用していた可能性を認めた。
ベゾス氏の告白は、プラットフォームを利用する小規模ブランドが直面する困難を表している。多くのブランドがAmazonを利用するのは、Amazonが世界最大のオンラインマーケットプレイスであるためだ。しかし、彼らが獲得する売上の一部はAmazonに渡る。しかもAmazonは、その気になればセラーの競争相手として振舞うこともできる。「Amazonは二重の搾取を行なっている」と、ボブスレーマーケティング(Bobsled Marketing)でCEOを務めるキリ・マスターズ氏は、ベゾス氏の議会証言を分析する記事のなかでこう指摘した。「Amazonは、セラーから多額の手数料を徴収し、さらにセラーの販売実績に基づいて自社製品を開発している」。
今回の収支報告でAmazonは、中小企業への貢献を強調した。同社のデータによれば、中小企業は同社のプラットフォーム上で「過去1年間に34億点以上の商品を販売し、推定110万人の雇用を創出」したという。
労働環境にフォーカス
Amazonが抱えるもうひとつの大きな問題は、倉庫で働く従業員が置かれている危険な労働環境だ。たとえば、新型コロナウイルス感染拡大の初期、ペンシルベニア州のAmazon倉庫で働く従業員から、陽性反応が出たことがほかの従業員に知らされたが、対策についてはほとんど何も指示がなかった。当時、この倉庫に勤務する従業員の娘は、米DIGIDAYの姉妹メディア、モダンリテール(Modern Retail)の取材に対し、「業務に大きな変化はない」と語っている。「ソーシャルディスタンスの確保を試みてはいるが、労働は長時間に渡る」。加えて、ほかの倉庫でも感染者の増加は続いた。
収支報告のなかで、Amazonは「従業員とパートナーに健康と安全を提供」することを最優先事項のひとつに挙げた。さらに、6月に従業員に支給された臨時の「感謝手当」に言及したものの、以降は従業員に追加の危険手当は支給されていない。
加えてベゾス氏は、現在Amazonでは医療団体と提携し、同社従業員専用のヘルスセンターの設置が進められていると述べた。
[原文:Amid Congressional scrutiny, Amazon posts 40% growth in third quarter]
CALE GUTHRIE WEISSMAN(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:Kan Murakami)