Amazonが自社の広告事業をひそかに合理化している。広告主が製品をWebサイトに直接販売しているか、あるいは製品をサードパーティの販売者として購買客に直接販売しているかに関わらず、同一の場所からキャンペーンを購入できるようにする合理化だ。
Amazonが自社の広告事業をひそかに合理化している。広告主が製品をWebサイトに直接販売しているか、あるいは製品をサードパーティの販売者として購買客に直接販売しているかに関わらず、同一の場所からキャンペーンを購入できるようにする合理化だ。
Amazonはここしばらく、ファーストパーティの販売者とサードパーティの販売者がキャンペーンを管理する方法の相違をなくそうと努力してきた。しかし、今回はそこからさらに一歩踏み込んだ形だ。メディア企業4社の幹部によると、Amazonは、すべてのキャンペーンレポートや製品の広告がAmazon Media Group、Amazon Marketing Services、およびAmazon Advertising Platformの各部門にわかれて管理されていたものをひとつの場所に集めた統合プラットフォームを作ろうとしていると言った。
Amazonの広告事業は、新規に取引をする企業にとっては難解だ。直販と小売など、企業形態によって異なる部門が対応しているからだ。
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統合することによる影響
「Amazonの営業担当者から、広告プラットフォームの統合版を開発中だと連絡があった」と、ある幹部は、匿名を条件に話してくれた。「いったんプラットフォームの仕組みがわかってしまえば、扱いやすいものだ。しかし、どちらを支持するかについては、ブランド間でますますギャップが広がってきている。それに対応して異なるサービスを提供すると、管理するのが難しくなる」。
同社の先月の収益報告において、AmazonのCFOであるブライアン・オルサフスキ氏が広告購入プロセスをより「使いやすくする」、「自動化する」変更をほのめかした際に、増加しているメディア収益の障害について触れた。収益が上がらない、あるいは収益の低い四半期が数年間続いたが、広告のおかげで今回の第1四半期でAmazon史上2番目に高い収益となる四半期を迎えられた。ただ、大手ブランドの大半が購入すべきインベントリーの額については依然として懐疑的だ。この件についてAmazonにコメントを求めた。応答があり次第、この記事を更新する予定だ。
ハイブリッドにサービスを利用する販売者なら、この変化の影響をもっとも強く感じるだろう。メディア購入者によると、そのような販売者はAmazonの両方のマーケットプレイス上でペイドサーチプログラムをしばしば実行しているが、ふたつのプラットフォームは相互に競合しており、人為的に入札額が上昇してしまう可能性があるため、注意が必要だという。データセットを統合すれば、それらのブランドはこの問題を回避できる。
Amazonの努力の集大成
長い間、Amazonは自社のブランディングやコンテンツ、製品開発、マーチャンダイジング、広告などに注力してきたが、ブランドが自社製品へのトラフィックの合計やどこからトラフィックが来ているかをもっと簡単に確認できるようにすべきだと、マーケットプレイスイグニッション(Marketplace Ignition)の製品担当バイスプレジデントを務めるトッド・ハーリック氏は言った。
「Amazonの第一目標は、実際には、効率性を生み出すために別々に構築されたふたつの異なるソフトウェアツールを統合することにあると考えている」と、ハーリック氏は語る。「これはAmazonでは常に起こることだ。Amazonはしばしば試験的な試みを行うため、ときに同一のニーズに対して複数のソリューションを提供してしまうことがある。その結果、最終的にそれらソリューションの重複の解決を試みることになる」。
広告主に対して一元的に管理できるマーケットプレイスを用意すれば、ファーストパーティの販売者とサードパーティの販売者が同一の機能にアクセスできるようにするというAmazonの努力の集大成になるだろう。直近の手本となる例が現在試験中だ。Amazonに製品を販売している企業は、カスタマイズ可能なグラフからキャンペーン全体のトレンドの追跡、注文数などの指標を含め、詳細なデータをもとにしたレポーティングを試している。米DIGIDYで見られるダッシュボードによると、このテストはプライムデーの数日前からはじまった。
「いまだ発展途上の状態」
「最終的に、広告主はキャンペーンがどのように新しいビジネスを促進するかを、完全かつ継続的に把握したいと考えている。統合プラットフォームはその手助けをしてくれる」と、広告エージェンシーのトムブラス(Tombras)でAmazon Servicesのディレクターを務めるケビン・パックラー氏は語る。「Amazonの広告ビジネスは成長途上にある。だから、このプラットフォームが進化し、拡大し続ければ、より多くの選択肢が利用可能になると期待しており、それによってのみ、Amazonの提案の価値が向上するだろう」。
広告を単一の場所から購入する広告主が増えることが望ましい。Amazonは直近の四半期に22億ドル(約2440億円)の収益を上げた。一方で、GoogleとFacebookはそれぞれ280億ドル(約3.1兆円)と133億ドル(約1.4兆円)の収益を上げた。デジタルエージェンシーであるロースト(Roast)の常務、レス・オーウェン氏は、Amazonの広告ビジネスは過大広告されているが、より成熟した競合企業であるGoogleやFacebookと比較すると、依然として「よちよち歩きの子供の段階」だと言った。